億近読者の皆様こんにちは。

 小学生の親御様のために、お金の教育論について寄稿させていただいております遠藤です。


 お金の使い方の1つ「寄付」の概念を教えることは、とても大切なことです。
 最近金融庁が作成した「うんこお金ドリル」でも一部寄付の概念について触れていました。

 金融経済教育推進会議が作成した金融リテラシーマップ(日本人が最低限身につけておくべき金融リテラシー)でも、ボランティアや寄付については少しですが触れています。


 私は寄付の教育は、自分でお金を稼ぐ、貯める、使う、増やす、ができてからで十分だと思っています。自身で子供にお金の教育をやってみた結果、そう思ったのです。
 金融リテラシーマップでも「寄付」は少ししか触れませんので、多分私と同意見なのだと思います。


 寄付を教える際は、「理想の押し付け」にならないよう気をつけたいものです。


 寄付の話は私の子供のエピソードでお話します。

 私の子供は、初孫、長男なので、とても甘やかされていました。おもちゃを買ってもらっても感謝もせず、誰に買ってもらったかも忘れてしまうような感じだったので「こんな感謝のない心では、良い大人になれない」と思ったのをよく覚えています。

 そこで家庭でお金の教育をするようにしました。そうすると、子供は自分の欲しいものは自分で働いて稼いだお金で買うようになったので、物を大切にするようになりました。じーじが何か買ってあげるといっても「自分で買うからいいよ」というまでになりました。

 このようなお金の教育をしっかり始める前の時、子供がお年玉をもらったので「何かに使いたい」といいました。私は理想の押し付けの典型で「寄付の精神を教えたいなー」となんとなく思っていたので、「お年玉くれたバーバに、なにか買ってあげたら?」と言いました。子供は、バーバの好きな、スタバの甘い飲み物を買ってあげていました。

 それをみてすごく違和感がありました。

「労せず得たお金を人のために使っても、全然偉くない」

 私はこう感じたのです。美しくなかったわけです。
 その光景が。うちの子は、初孫、長男なので物はすぐに手に入ったのでハングリーではありませんでした。余裕資金のお年玉をバーバのために使っても懐は痛まないわけです。

「もっとお金の大切さ教えないといけない」

 こう思ってお金の教育を家でするようになりました。
 効果はさっき申し上げた通りです。子供はすぐに変わりました。

 子供が自分で使うお金を家の仕事で稼ぐようになって久しくなった頃、久々に私は子供に「ママにお花でも買ってあげようか」と提案してみました。私もお金を出すので一緒にママにプレゼントをしよう、という提案です。

 うちの子供は、悩みました。「プレゼントは買ってあげたいけど、自分の買いたいものを計画しているし、はっきり言って自分のお金を使いたくない」という気持ちがひしひしと伝わってきました。

 結局子供は、その月の自由に使える予算のうち、400円はプレゼントに捻出することにしました。これで、漫画一冊がおあずけです。

 この時は、「この子はお金の大切さわかっているな」と確信しました。
 お年玉でバーバに奢った時と全然手応えが違います。なけなしのお金を人のために使うのは大人でもなかなかできないことです。


 このタイミングだと思って、子供に寄付のことを教えました。
 「人のために使うお金を入れる貯金箱」を用意しようというものです。
 学校では赤い羽募金をしてますので、子供は募金については知っています。
 人のためにお金を使うことが素晴らしいことだとも知っています。でも、子供のお小遣いでは、なかなか人のためにお金を使っている余裕はありません。
 「お金に余裕があるから太っ腹」、なわけがありません。

 私の子供は「人のために使うお金を入れる貯金」にお金を貯め始めています。
 このように、寄付金を初めから自分の懐にいれずに、分けておけば、人のためにお金を使うことなんて大したことはありません。人のために使うお金はオフバランス、ということです。

「ママのためにプレゼントは買いたい。でも自分が頑張って稼いだお金を使うのは辛い」この葛藤があったからこそ、「人のために使うお金を入れる貯金」の意味が理解できます。

 なんでも好きなものを買ってもらっている子に「お小遣いの一部は募金しましょう」と教えるだけでは、「ふーんそういうものなんだ」という反応しか得られません。お金の教育は子供が葛藤の中から一皮むける機会を与えてくれます。


(遠藤)


[遠藤 功二氏 プロフィール]

 日本FP協会認定CFP
 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
 MBA(経営学修士)

大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。
証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。
自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。

生き抜く力を育むお金の体験型教室FP君
web:https://fpkun.com
メッセージ:koji.endo@fpkun.com


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)