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先日、早稲田大学の鎮目雅人教授に「お金」について色々お話を伺いました。
鎮目教授は、経済史の先生で、特に貨幣についての研究について昨年本も出版されています
信用貨幣の生成と展開:近世~現代の歴史実証
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現在みなさんが日常に手にしている「お金」は日本円ですが、これは位置づけ的には法定通貨になっています。
日本銀行法によって強制通用力を持たされているので、日本国民が共通の理解として「お金」だと認識して、信用して利用をしているという仕組みになっています。
今回、鎮目先生と話をしていて気が付いた部分は大きく2つ
・「日本円」の信用は、日本国内の産業の価値に基づいている
・「お金」はあくまでもツール(道具)であり、「お金」そのものは目的たり得ない
ということです。
1.「日本円」の信用は、日本国内の産業の価値に基づいている
これは、私にとっては新しい発見の一つでした。
一般的に習う話では、「お金」=日本銀行券は、日本銀行の信用の元に成り立っていてこの日本銀行の信用が崩れると、「お金」の価値も毀損してしまう
だから日本銀行の信用≒日本政府の信用が大事なんだ
ここから発展して、財政赤字を垂れ流す日本政府が続いてしまうと、将来的には「お金」の価値が減価してしまう、ハイパーインフレになってしまうかもしれない
と考える人や雑誌の記事などを読んで不安に駆られる人が多くいます。
しかし、今回鎮目先生の話を聞いていて理解できたことは
「お金」の信用力は、その「お金」を使って、より「生産的」「世の中に役に立つ価値」を生み出している限りにおいては、毀損されにくい。
というのが歴史的な理解でわかることでした。
例えば、上記に紹介した本の中では、江戸時代に各藩で発行されていた「藩札」についての歴史が書かれています。
「藩札」は各藩で、紙幣として発行されたものなのですが、この紙幣がしっかりと「信用」を保って流通した地域と、「信用」が毀損してただの紙切れになっていった藩とが分かれています。
この大きな原因は、前者では
・「藩札」を利用して、その流通域でより生産を行い、それをもって当時の正貨(金貨・銀貨・銅貨)を得る仕組みが維持された
ことにあり、信用がなくなった後者では
・「藩札」が主に発行体(藩)の財政赤字を補填する目的で発行されており、その「藩札」を利用しての生産活動がうまく機能しなかった
点にあるようだと分析しています。
この考え方からすれば、現在の「日本円」も
・それを利用しているエリア(日本国)が、しっかりと円を使って、生産的な活動、人々の役に立つ経済活動を行っている
という事があれば、通貨の価値は維持されやすく、
・「日本円」の発行が、単に政府の財政赤字を補填する目的のために行われており、その発行される紙幣を使って生産的な活動が行われているとは言い難い
という状況になれば「信用」が毀損していく
という事になります。
つまり、中央銀行の信用や政府の財政赤字そのものよりも、日本円を利用した経済社会がしっかりと価値を生み続けられているかどうかが「日本円」の信用においては大事なのだという事は、私にとっても新しい発見でした。
次回は、「お金」はあくまでもツール(道具)であり、「お金」そのものは目的たり得ないという事についてお伝えしていきます。
株式会社マネーライフプランニング
代表取締役 小屋 洋一
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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