皆様こんにちは、投資家Sと申します。
 2021年1月から億の近道火曜版に「投資家Sの今週の注目銘柄」を掲載頂いております。

 本連載は、創業(1964年)半世紀を超える投資日報社が、毎週月曜・木曜に発行を行っております、”投資日報 α”(月曜版)に掲載しております。

 4月までは隔週火曜日の掲載となっておりましたが、今月から毎週掲載を行う事となりました。

 私事ではありますが、現在体調を崩しておりほぼ家に引きこもりの状態です。
 不健康になると健康の素晴らしさを実感する事となりますが、健康な時にはその有難みが分からないものです。
 株式投資も同じであり、相場全体が活況を呈しており、持ち株を含む多くの銘柄が上がっている時は、保有銘柄の懸念点や悪材料に目が向く事はありません。一方で、一度下落に転じると、これでもかと言わんばかりの下げが訪れる事となり、好決算=織り込み済み、人気化=信用の売り圧力に晒される事となります。
 私も長い相場人生の中で最も大事なのは“防御力”だというのを身を以て何度も味わってきました。今年の株式相場は、昨年のように順風満帆には行かない可能性が高いと筆者は考えております。

 まもなく上半期が終わろうとしているこのタイミングで、ポートフォリオの見直しに着手してみてはいかがでしょうか?
 守る事に重点を置くと、保有銘柄の選択も変わってくると思います。


 さて今回は、2021年5月上旬に掲載を行った、注目銘柄についてご紹介させて頂きます。


■ベルーナ【9997】


 通信販売大手ベルーナ【9997】は、1977年設立、1994年に株式上場を行っている。

 同社は個人向けビジネスを行っている為、馴染みのある読者の方も多いと思われる。従前までのイメージは、中高年女性向けの衣料品通販会社であったが、現在は取り扱い商品を大幅に拡大させている。
 ここ数年伸びているのは、“専門通販”の分野となり、グルメ・ワイン・化粧品等の特定分野に的を絞った通販の売上が伸びている。

 足元の売上も好調に推移しており、先月15日に発表となった月次報告は、専門通販事業の3月の売上高は28.8%増、主力の総合通販事業についても39.4%増、第3四半期以降の好調が持続している。

 同社は5月13日(木)に21年3月期の決算発表を予定しているが、ここでのポイントは、足元の好業績をどこまで株価に織り込んでいるのか―という点に尽きる。

 先月末から3月期決算企業の決算発表が連日行われているが、エムスリー【2413】、ソニーグループ【6758】等の前期好業績銘柄が軒並み売られており、前期の好業績と今期の伸びを、織り込んでいた銘柄が続出している。


 さて、同社の業績を株価がどこまで織り込んでいるのかを考察してみたい。

 前期の数字は過去最高売上・最高益を更新する見通しとなっており、業績は申し分無い。株価指標はどうかと言うと、PERは約11倍、PBR1.04倍程度となっており、好業績を織り込んでいる水準にはとても思えない。

 直近の株価は、3月中旬・4月中旬に1,350円近辺で上値を押さえられてから下落に転じており、足元は1,100円台で推移している。この状況から、現在の株価が決算発表に向けて好業績を過度に織り込んでいる可能性は小さく、今期業績が前期並みかそれ以上となった場合には、上値追いが見込めると筆者は考えている。

 今期業績予想についてだが、日本国内では3回目の緊急事態宣言が発令中であり、首都圏・近畿圏では百貨店を中心とした商業施設が臨時休業となっており、それに伴い、中高年層が買い物に行けるリアルの店舗が閉鎖されている。
 一方で、コロナ禍も既に1年が経過しており、日本国民の自粛は限界に達しており、足元で増えている豊富なマネーストックを考えれば、消費に向かう“原資”は充分に確保されている。
 従って、事業環境には追い風が吹いており、第1四半期から好調な数字が出て来る可能性が高い。

 米国ではワクチン接種の進展によって、アフターコロナが既にスタートしているが、日本はまだまだWithコロナが続く事となりそうだ。


(投資日報α 2021年5月10日号 掲載)


(投資家S)


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  トレース合同会社 社長
  株式会社投資日報社 専務取締役
  大学卒業後、2004年から証券会社にてFXの仕事に従事。
  以後、14年間に渡り、営業・企画・トレーディングの最前線で活躍。
  リーマン・ショック・ユーロ危機・Brexit等々の並居る大相場の中、裏方として市場の最前線で指揮を取り、FXの表も裏も知り尽くす。
  2018年秋、11年間勤めたマネックス証券を退社して、暗号資産(仮想通貨)の交換業者となる、株式会社ディーカレットの立ち上げメンバーに加わる。
  2020年5月に、相場道を究める為に同社を退職。
  個人投資家として株式投資を行いながら、投資に掛ける時間が限られる兼業投資家の方に有益な情報を届ける為、株式について日夜分析を行っている。
  日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト(CMTA)
  相場に対するモットーは、「利食いたくなったら乗せろ」

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