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皆様こんにちは、投資家Sと申します。
創業(1964年)半世紀を超える投資日報社が、毎週月曜・木曜に発行を行っております、”投資日報α”(月曜版)に”投資家Sの今週の注目銘柄”を連載しております。
8月中旬以降、数社のIR取材を行いました。
私の取材の方法は、自身が執筆を行っているレポートで先に対象銘柄について紹介を行ってから、調査過程で頭の中に浮かんだ疑問を解消する為に話を聞く機会が多いです。
トップに話を聞く機会も有れば、IR担当者の場合も有りますが、トップに話を聞く場合には上場企業トップの貴重な時間を頂く事になる為、事前に相当な準備を行います。
私がインタビュー前に必ず確認を行うのは下記の3点です。
1)有価証券報告書
2)直近の決算説明資料
3)メディア等へのインタビュー記事
1)は、株式投資における基本中の基本だと考えております。会社が発表を行う公的な情報は全てこの書類に記載されていると言っても過言では有りません。投資として保有している会社の有価証券報告書は、必ず確認しましょう。
2)は、足元の業績動向や成長性を投資家にどのように示しているのかが分かります。株価が上昇している会社は、決算説明資料に記載する内容が適格で、投資家が買いたくなる要素が満載です。一方で、ビジネスモデルや成長性は有りそうなのですが、資料を作るノウハウが無い、説明が上手くない会社があるのも事実であり、ここは改善ポイントの1つとなります。
3)は、取材を盛り上げる為には必須となります。取材者は原則聞き手となりますが、流れに応じて話題を振る事も必要であり、この人は自社の事を理解している・近い分野の事にも詳しいと相手が思えば、普段は話さないような本音に近い部分を話してくれる事も出てきます。
私は事実を伝える記者というよりも投資家目線が強い為、どこに改善点や成長性があるのかを重視した取材(実質的には1on1ミーティング)となる事多いです。
主観と客観の2つの目線を持つ事で、対象となる企業が現在どのように市場参加者に見られているのがよく分かります。
億の近道では個人投資家向けの会社説明会を定期的に開催している為、企業のトップに直接話を聞く機会が有ります。
次回以降に参加を検討されている読者の皆様は、上記3点を事前に確認した上で説明会に臨んでみて下さい。
企業のトップも人間ですので、適格な質問や的を射た質問には良い回答が返ってくる事が多くなると思います。
さて今回は、7月末から活況が続いている海運株についてご紹介です。
海運株は典型的なシクリカル(景気敏感)銘柄ですが、今期の利益は猛烈に改善しており、上値を追う余地があるのも事実です。業界トップの日本郵船【9101】を取り上げております。
■投資家Sの今週の注目銘柄 日本郵船【9101】
海運大手日本郵船(以下、郵船)【9101】の株価が8月に入って急騰している。きっかけとなったのは同業の商船三井【9104】が7月30日に発表した第1四半期の決算となる。
足元でコンテナ船市況が活況を呈しており、第1四半期から上方修正を実施。目を引いたのが今期の配当予想となる。
年間配当を従来計画の1株あたり150円から550円に大幅上方修正を行った事により、同業の郵船も大幅な増配が行われるとの思惑で株価は急騰。
7月30日から8月3日までの3営業日で約1,130円の上昇となった。
7月末に5,000円台前半で推移していた株価が短期間に急上昇した為、8月4日の決算発表後に材料出尽くしになるかと思いきや、蓋を開けてみたら更に上値を買われる展開となっている。
同社は市場参加者の期待に応えて大幅増配を発表。従来予想の200円から700円に配当予想の修正を行っている。
日本郵船の株価は8月5日(木)の終値で7,810円となっており、配利回りはなんと8.9%となる。筆者も長らく株式市場を見ているが、時価総額1兆円を超え且つ、配当性向25%の銘柄で利回りが9%近いの株にお目に掛かった事が無い。東証1部の配当利回りランキングでは堂々の1位となり、同業の商船三井よりも高い水準となる。
では、ここから日本郵船の株を買ってさらなる上昇の恩恵に与る事が出来るのだろうか?
筆者の見立てでは上昇の余地はまだ有りとの結論。足元の市況から海運会社の活況は短くても今期一杯は続く公算であり、修正後の配当予想が減配される可能性は低い。
同業の商船三井の配当利回りが7.9%である事を考えれば、郵船についても利回り8.0%程度までの株価上昇は起こってもおかしくない。郵船の配当利回りが8.0%となる株価は8,750円となる為、8月5日終値から860円の上昇余地がある。
直近の価格は2008年以来13年振りの価格水準となり、節目らしい節目が無い価格帯に突入している。現在の価格水準は殆どの買い手に利益が出ている状況であり、買いが買いを呼ぶ展開となれば、10.000円の大台回復も現実となり得る。
超低金利環境が続いている現在の日本において、流動性の高い金融商品でインカムゲインで9.0%も得られる対象は殆ど存在しない。配当利回りに注目した買いがどこまで集まるのか非常に注目される。
9月の中間決算に向けた配当権利取り(中間配当200円)の動きが強まる事となれば、下値は底堅い動きになると考える。何故なら、配当は投資家にとってのフリーキャッシュフローだからである。
(投資日報α2021年8月10日号掲載)
(投資家S)
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▼櫻田 学氏プロフィール
トレース合同会社 社長
株式会社投資日報社 専務取締役
大学卒業後、2004年から証券会社にてFXの仕事に従事。
以後、14年間に渡り、営業・企画・トレーディングの最前線で活躍。
リーマン・ショック・ユーロ危機・Brexit等々の並居る大相場の中、 裏方として市場の最前線で指揮を取り、FXの表も裏も知り尽くす。
2018年秋、11年間勤めたマネックス証券を退社して、暗号資産(仮想通貨)の交換業者となる、株式会社ディーカレットの立ち上げメンバーに加わる。
2020年5月に、相場道を究める為に同社を退職。
個人投資家として株式投資を行いながら、投資に掛ける時間が限られる兼業投資家の方に有益な情報を届ける為、株式について日夜分析を行っている。
日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト(CMTA)
相場に対するモットーは、「利食いたくなったら乗せろ」
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今回ご紹介した日本郵船【9101】はYoutubeでも解説を行って
おります。
https://youtu.be/4KOMvPmhBsw
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)