皆さま、あけましておめでとうございます。
 本年もどうぞ宜しくお願いいたします。


 さて、初めから暗い話で恐縮ですが、昨年末12月29日の日経新聞を読んでいて「この国は大丈夫か?」と、改めて考えさせられてしまいました。
 政府統計の不備、東証市場改革の鈍さ、危機意識の薄いこども家庭庁、桜を見る会やモリカケの有耶無耶の幕引き、コロナ対策のドタバタ継続、生保販売の新指針(=公的保険の説明など民間への丸投げ=役人の責任回避と既得権擁護)・・・などなど。
 これらの記事が1面から8面までテンコ盛りでしたから、読みながら「あ~あ、ダメだこりゃ!」って気分になりました。

 2012年暮れから始まったアベノミクス(13年春から異次元金融緩和)が開始されて丸9年となります。それにより円高を是正し、デフレを止め、円安による輸出産業へのテコ入れと外国人消費の喚起などにより、僅かながらも景気は持ち直しました。
 が・・・、ここまでは異次元金融緩和と円安、大型財投によってもたらされた一時的な回復であり、三本の矢のうち最も重要な成長戦略(構造改革)は既得権を打破出来ないままに、依然として足踏みを続けています。

 構造改革については、戦略が稚拙だった民主党政権が早々に失敗して3年で幕を閉じ、その後を引き継いだ自公政権は9年かけても(やはり)歩みは遅い。
 菅政権では期待した動きが出てきたのですが、首相の発信力の弱さとともに政権党内での忖度政治や既得権の壁などを越えられず、1年で岸田政権に引き継がれました。
 新政権に期待はあるものの先祖返り的な政権となりそうな不安があります。
 国民はサプライズ的な抜本策を期待しているのですけどね。


 これらの荷物を背負って出発する2022年になりますが、これから歩む道程にはコストプッシュによるインフレ懸念という難路も待ち受けています。
 生産者物価が9%も上がっているのに消費者物価を上げられなければ内需企業は利益を出し辛くなります。輸出企業は一部を除いて国内での設備投資に消極的ですから、このまま可処分所得が上がらなければ、国内景気は消費低迷と設備投資減退のダブルパンチを受けることになります。
 楽観的なエコノミストが想定する通りになれば良いのですが、以前のように資源高を円高で吸収する環境にはありません。強気のコメントは多いものの、なかなか強気になり切れないところです。


 これに加えて、皆さまも良くご存じの通り、国内市場では依然として個人投資家に不利な運営が続けられています。投資家保護という名の古い手法を逆手に取られて売り叩かれたり、環境整備が放置されたまま、金融機関ばかりが利益を出し易い商品提供が続けられる事で個人投資家の資産増加は遅々として進みません。人気の金融商品をみても、複雑なファンドや仕組み債などで金融業者ばかりが儲かる商品が多いです。

 民間の出版社であるなら、一握りの儲かった有名投資家の名前を利用して投資本を売ろうとするのは分かりますが、政府が率先して「掛け声だけ」「ただ煽るだけ」の投資喚起策では進展など見込めません。投資教育などと偉そうに言っている場合ではなく、政治家や政府自身が真面目に金融の勉強をし、国内投資家が儲かるような運営をしなくてはいけませんが、責任を避け、面倒を嫌う行政の不作為が続きます。


 何故、貯蓄から投資へとならないのか?以前から分かり切っていたことです。
 最も明確な理由は「儲からないから」です。
 日本国の成長が見通し辛い中で儲からないのであればお金は流れてきません。
 それ故、資金は海外、主に米国市場に流れています。

 あくまでも個人的な感想ですが、株式市場が既に今年前半の材料を織り込み済みとするなら、年後半の不透明さがあるため、今年の国内株式投資については試練の年になるかもしれません。少なくとも春頃までは慎重なポジションでと考えています。

 小職の見通しが当たるか外れるかは別として、余裕を持ち、無理のない、そして楽しめる投資方法を読者ごとに見つけていただきたいと思います。
 業績の変動はあっても、きちんと利益を上げる企業に投資するなら、多少下げても、いずれは時間とともに株価は上がります。


(街のコンサルタント)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)