このところの株式相場の調整の中で投資家心理は沈みがちのようだが、今日は少しだけ皆さんに元気を出してもらいたいとポジティブな情報を提供してみたい。
米国での金利が上昇するから米国株中心に株価は下がり日本株にもマイナスの影響が出るなどというネガティブな見方に翻弄されがちだが、そうした理屈をものともしないでポジティブに株式相場に立ち向かう皆さんにこそリターンはもたらされる。
短期的な相場の変動に翻弄されないで、企業の中身を冷静に見ていくことや企業価値、評価を捉えていくスタンスが求められている点にフォーカスしてはどうだろう。
調整局面だからと言って委縮する必要はない。
「捨てる神あれば拾う神あり。」
むしろ投資チャンスがやってきたとポジティブに捉えるべきではないだろうか。
とりわけ直近のIPO銘柄の調整は大きいが、かつてのIPO銘柄でも同じ出来事があったと記憶する。
ここからは過去のIPO銘柄にフォーカスしてお伝えしておこう。
IPO銘柄は短期ではなく中長期スタンスで臨むことが重要。
皆さんは普段、IPO銘柄を短期で見ておられるのかも知れませんが、過去もそうであったように上場して半年過ぎるとVCのロックアップが外れたりして上場時に良かった需給が悪化し株価は奈落の底に落ちていくことがあります。
その際にちょっとした業績の停滞など伴おうものなら悲惨極まりない株価下落に見舞われることになる訳ですが、投資のチャンスはそうした局面にこそ訪れることになります。
上場して概ね1年から3年からという期間の中にそうしたチャンスがやってくることになります。
ですから現在大きく調整している直近IPO銘柄にもリターンを上げるチャンスがいずれは訪れるとポジティブに考えていくべきなのです。
上場直後の企業も株価は意識している筈です。投資家はそうした企業と運命共同体なのでそうした企業のビジネス内容を理解の上、中長期的な期待と展望をもって接する必要があります。
以下は私が過去見出したIPO銘柄の株価変動を見ておきたいと思います。
1.岐阜造園(1438)上場2016年11月
公開価格1150円(公募40万株)
公開直後安値1012円
時価1030円(昨年6月に2分割実施したので実質は2060円 公開価格比+79%)
名古屋2部に上場した岐阜本社の造園会社で専業では初のIPO。
上場直後に岐阜本社へ企業訪問したことがあるが、中部圏から関東圏への進出を目論んでいたとの記憶がある。
ローカルなイメージだが業績は安定し、大手住宅メーカーとのタイアップなどもあって安定成長が期待されていたので企業訪問まで敢行した。それで確認ができたかと言うとそうでもなかったが企業の対応が好印象だったとの記憶がある。
上場時の予想経常利益は2.5億円(前期4.3億円)と減益見通しでこんなローカルな地方市場に上場している銘柄なんてと馬鹿にした向きが多かったのかも知れませんが、結果としては首都圏の需要拡大を取り込み今期の予想経常利益4.1億円の下で株価は時価総額33億円で評価されるに至っている。評価され始めたのは上場から4年経過の昨年からだが、こうしたロングランでの投資が成果を生んだという事例となります。
2.バーチャレクスHD(6193)上場2016年6月
公開価格1090円(公募12万株)
上場後の安値300円(2020年3月)
IT&コンサル系の銘柄で上場後の業績はやや停滞が見られたが株価は独特の変動を見せ投資家を楽しませてくれてきた。とにかく変動が激しい銘柄で説明会に数回出て社長とも立ち話ながら会話したほかある投資家とともに株主総会にも足を運んだことがある。
基本的にはコールセンター運営やITコンサルが主体の企業で今でいうAIやDXにも絡んだ銘柄ながら株価の低迷時には時価総額は10億円を下回ったことがあった。
無配なので気軽に投資家はこの株で遊んでいるような印象があり、株価下落しても憎めない存在であった。
その同社が今期の業績を一気に上方修正しDX企業としての存在感を示し始めてきたとの印象だ。
今3月期の予想経常利益3.2億円を5.1億円としたのは1月18日。予想EPSは129円に高まることとなった。残念ながらこの見通しが発表されても株価は全体相場の環境悪化で売り物に押される展開。
下振れを見せながらもPER10倍水準という株価には押し目買いも入り底堅いとの印象も持てる。
進化計算ダーウィンを武器にコロナショックで300円という安値をつけた株価は昨年12月に1645円まで戻ってきた。
2016年の上場来高値1986円までにはまだ壁があるが、今後の利益成長次第では意外な株価も想定される訳なので楽しみは先にある。
高値から6分の1となった株価はボトムから5倍。つまり現在の株式市場にもそうした可能性を秘めた企業が数多く存在しているということをご理解頂きたい。
3.ズーム(6694)上場2017年3月
公開価格1520円 上場直後に3540円までついた
株価は上場して3年後に785円まで売り込まれたという経緯がある。
2019年12月期までの業績が停滞したからなのですが、その後の同社のメッセージを見ると新製品開発に積極化している姿と独特の成長指向が感じられた。音楽用電子機器では世界的なブランドを持つ同社はテレビ会議システムのZoomと社名が同じで間違えられ株価が急騰したこともあったが、現在は同社が商標権を侵害していると米Zoomや日本のパートナー企業を訴えるなど自信を漲られている。
というのも業績がコロナ禍でむしろ巣籠り需要もあって欧米中心に急拡大し、業績が伸長しているからでもある。
こうした同社との交流は上場後から続いてきたが、決算説明会には毎回出席しお話を聞いてきた。IPO後の安値形成時には関係投資家にも心配をおかけしたかも知れませんが昨年の11月には4880円という高値をつけ、ボトムから6倍余りに急騰。その後2分割を実施しましたが、これも上場時に私が経営陣と会話した際に示唆した通りに実行された。
残念ながら2分割後の今月28日に1391円まで株価は下落しましたが、今後の復活にも期待が寄せられる。
このように結果論ではあるがIPO後に高値から4分の1以下まで売られた際にいかに注目し、リスクテイクできたかがリターンを高める源泉となっている点をご理解頂ければ幸いです。
このほかでは2017年11月にIPOした木材プレカット大手のシーエスランバー(7808・公開価格1480円)も不人気の中で上場直後の安値762円(2018年12月)から昨年10月の高値4000円まで5倍にま
で上昇した。
つまり高値から大きく低迷し半値水準まで下落しているIPO銘柄には大きくリターンを上げるチャンスもあるということ。
このことを改めて念頭にいれながら株式投資に臨んで頂きたい。
(炎)
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