岸田政権の発足以来、日本株の調整が続いている。
特にマザーズを始めとした新興銘柄や直近IPO銘柄の調整は顕著である。
市場内ではその背景がいろいろ語られており、皆様もそうした要因について認識されているかと思うが、ざっくり言うと…
1.米国の中長期金利の上昇(インフレ抑制に舵を切ったFRBの金融政策が背景)による株価への先行き不安感台頭
日本株にも追随の可能性
2.岸田政権への政策対応への不信感 証券取引税の増税含み
3.コロナ感染拡大(感染拡大ピッチの早いオミクロン株による第6波の到来)
4.ロシアのウクライナ攻撃への懸念
5.コロナ禍での急激なインフレ(コンテナ不足による海運市況高騰、ウッドショックの発生など)
6.脱炭素化による生産投資減による原油価格の上昇傾向継続
7.中国経済をはじめとした世界経済の頭打ち
8.米中対立の構図
9.台湾有事の懸念
10.中国共産党一極支配構造への不信感
11.北朝鮮による相次ぐミサイル発射
などとなる。
こうした厳しい情勢下で株式相場は先行き不透明感が漂い下値模索を余儀なくされていると言える。
但し、過去にもこうした不透明な局面はあったと言えるので必ずしも弱気に傾き過ぎる必要はなさそうだ。
確かにまだ不透明感が漂っているため常識的にはまだ下値模索の展開が続くだろう。
先週金曜日の本誌有力アナリストからは日経平均の2万4000円台も覚悟しないとならないとの見方が示されたが、この見方の背景としてはバリュエーションによって裏付けられるだろう。
株式相場は下げが下げを呼んでボトムをつけるパターンとなりがちであるが、セリングクライマックスがこの先にやってくるまで静観すべきだとの見方が妥当ではある。
日経平均は先週末に2万6000円に接近する場面があったが終値は買い戻しが入ったのか2万6717円と戻って終わった。
東証1部の時価総額は685兆円と700兆円を割れてきた。東証1部の予想PERは14.3倍、実績PBRは1.2倍、配当利回り2.16%という評価となっているが、過去の相場でいくとPBR1倍という水準まで下げる余地があるとなれば日経平均は2万3000円割れまで覚悟しないとならない。
TOPIXだと1600ポイントを割れる水準となるが皆様には覚悟のほどはできているでしょうか。
天下の日銀はどこに行った?と市場参加者からの期待空しくなかなか出動しない日銀ではあるが、流石にこの水準では出てこない訳にはいかなくなるだろう。確か日銀の株式投資のコストは日経平均で2万2000円程度ではなかったか?
売り方もこのあたりは十分承知で売り仕掛けはこの水準を意識したものであろう。
財務省寄りの岸田政権にとって将来は増税路線に向かうことが必定となるが、そのためにもこの夏に予定されている参院選挙での自民党勝利に導く必要があるため日本経済を奈落の底に追いやる訳にはいかない。
そのためには一定水準以上に株価を維持しておく必要がある。
岸田政権が打ち出した積極財政はまやかしとの見方もここに来て台頭しており、株価の下落傾向がそうした不信感を生み始めていると言えそうだ。
株式市場ではここに来て高いバリュエーションをもろともしない成長株投資からバリュー株投資へのシフトをターゲットにする動きが見出せるようだが、これには異常とも言える低PER銘柄群や低PBR銘柄群、更には高配当利回り銘柄群への回帰を促す潮流を生む可能性がある。但し、長期的に日本の株式市場が更に発展するためには成長性の高い銘柄をコアにしていくスタンスが求められる。
一部の偏った業績急向上銘柄で目先を追うか、長期的な成長性を持つ銘柄への投資でリターンを求めるかは各投資家の判断に委ねられることは言うまでもない。
株式市場にとってもそこに集う投資家にとってもここは試練の時かと思われるが、投資対象の選択の仕方によっては大きなチャンスが訪れているとも言える。
また余裕のある投資家にとってはボトム形成のパターンを想定しながら虎視眈々と投資チャンスを伺うタイミングが続くとポジティブに見て頂くことが肝要だと思われる。
(炎)
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