株式相場はコロナ禍に続く宇露戦争の勃発で調整を続け、日経平均は3月9日に2万4681.74円まで売り込まれた。これが今年の暫定安値だが、この先もなお、下値模索が続くとの慎重な見方が多いように思われる。
 TOPIXも先週末は1800ポイントを割れて終えており、一向に物色気運は盛り上がってこない。

 マザーズ指数も先月に続き700ポイントを割れ低迷状態だが、指標面では割安感が出てきたという印象も持てる。コロナショック時の安値は527.3ポイントで、その水準に接近してきている。

 ここに来てリスクオフを続ける投資家の行動が市場を席巻。コロナ禍で物流の停滞が生じたことと社会生活の変化もあり、抑制されてきた物への想定以上の需要増からインフレが進行。海運市況や木材価格、小麦、アルミなどの市況高騰を招いてしまった。
 こうした状況を見据えて米国は金利の上昇に政策の舵を切った。同時に脱炭素化社会の潮流で再生可能エネルギーやCO2排出の少ない天然ガスへの依存を高め石油への依存を減らす方向性が打ち出されたこともあり新たな石油開発の停止ということも石油の需給をタイトにし結果として原油価格の急騰(一時1バーレル=130ドル台)を招くことになった。
 これに加えて2月24日に起きた産油・産ガス国ロシアによるウクライナ侵攻は天然ガス価格や小麦価格の高騰を招き、経済の停滞が続く日本にとっても先行きの不安が高まる状況となっている。

 こうした先行きの不透明感が漂う局面での投資家の行動は資源など市況高騰の恩恵に与る業績拡大中の企業の株式に向かうか、高配当利回りのバリュー銘柄に向かうことになる。

 昨年11月以降の株式市場のトレンドは高PERの成長株からこうしたバリュー株に向かってきたようだ。または、積極的な売り行動で値下がりによるメリットを享受した投資家もお見えだろう。ないしはリスクを取らずに様子見を決め込んだなどのパターンが考えられる。
 こうした市場の潮流に乗った投資家にとっては、指数は下がっていても意外にパフォーマンスは悪くないのかも知れない。

 昨年12月に起きたIPOラッシュはこうした市場の潮流に沿わないものであったため、相当数の銘柄が初値以降に大きく下落した。IPO市場では過去にもこうした局面があったのだが、ここは忍の一字。機械的な初値買いでリターンを求める投資からじっくりと安くなったIPO銘柄を厳選して投資するスマートな投資家にとってはむしろ歓迎されているのかも知れません。


 様々な思惑がうごめく株式市場。過去の成功体験を持つ投資家にとっては意欲的な成長企業が集積するIPO市場に存在する宝を発掘するチャンスが生まれていそうだ。
 なぜここまで売られるのか、反対になぜここまで買われるのか個別銘柄には謎めいた動きが伴いがち。株価やその派生商品の価格に留まらず原油や金、各種コモディティ価格には実需だけではなく投機的な要素も多分に含まれている。そのために行き過ぎる局面も出てくる。どこまで上がるかと見ているうちにいつの間にか下落トレンドに変わっていたなど日常茶飯事。
 現在、下げトレンドにある株式相場に変化が見出せるとすれば、どのようなことなのか、また昨年来、主たる投資対象となってきた銘柄の物色の潮流が変化するタイミングも含めて今後も注意深く見守ることにしたい。


(炎)


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