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M&A 買う立場と売る立場
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M&A 買う立場と売る立場

2022-12-12 12:26


     企業は何らかの投資をしながら利益を稼ぎ株主にその利益の一部を還元することになる。それぞれの企業ごとに投資の中身は異なるが現状においてはメーカーであれば設備投資がメインであるし、サービス業においては人材投資がメインとなる。

     このほか丸ごと他の会社を買ってしまういわゆるM&Aの手法も存在する。
     他の会社をどうやって買うのかは、多くの個人投資家の皆様には実務上の経験はないかと思われますので定かではないのかと思いますが、まずは買い手であるキャッシュをそれなりに蓄えてきた買い手の側に立つ企業に売り手企業の候補についてM&Aを仲介する証券会社や銀行、コンサルなどの仲介者などから様々な情報が寄せられ、買い手企業は検討を重ねることになります。
     何十、何百もの案件の中で厳選された案件を基に更に検討が重ねられ、デューデリジェンスを経て、条件などが決められ売り手側と株式譲渡契約を交わしてM&Aが成立するというのが一般的な流れかと思います。

     買う立場の企業は多くの案件の中から条件に適った案件を選び出し、それをできるだけ安く買おうと考えるでしょう。一方の売る立場では仲介者も含めて、できるだけ高く買ってくれるところに売りたいと思うでしょう。

     大盤振る舞いで買い手が大事なお金を出しても回収までに途方もない時間をかけていたのではその買い手の裏にいる株主にはななかな恩恵がもたらされないようなこともあります。

     それがM&Aビジネスで起きていることではありますが、買い手企業がM&Aに精通してくるとそうした高値買いをせずに回収できるノウハウを身につけ効率的なM&Aを実行することになります。

     最近では経営者の後継者難に悩む未上場の優良企業が上場しているキャッシュリッチな企業を頼ってアプローチしている事例も多くなっているものと思われます。

     特に上場企業の中には保有するキャッシュを設備投資だけではなく人財投資や時間価値を買うM&A投資に充当する事例も増加しているように思われます。後継者難の企業にとっては相手がキャッシュリッチな上場企業であれば安心です。優秀な人材も揃っているでしょうし、シナジー効果も生まれやすい。

     そんなことで買う企業も売る企業もお互いがWINWINの関係ができてきます。売りたい企業はできるだけ高く売りたいと思っても、相手の意識、経営スタンスがわからない企業に買ってもらうよりは上場していて発展の意欲のある会社の方が残されるであろう従業員に対しても説明がしやすい訳ですから、M&Aは成立しやすいということになるかと思います。

     M&Aの場合、買い手企業にとっては投資金額が相手の保有する純資産以上で買う場合であればのれん代と言う項目が発生し、それを一定期間で償却していくことになります。皆様が保有されている活発なM&Aを実施するような企業もその多くにのれん代(買付けた金額が純資産を上回った場合にその差額が計上される。)が発生し、B/S上の資産項目に掲げられているかと思いますのでご確認下さい。
     毎期毎期のれん代は期間利益の中で償却されていきますので新たなM&Aがないとのれん代の項目は減少していくことになります。

     一方で期間利益は見た目本来計上すべき利益がのれん代の分だけ少なくなりEPSがその分少なくなることになります。こうした点から企業はEBITDAという指標を投資家に示すことで全体の収益性が向上していることをアピールすることになります。

     EBITDAは営業利益に設備投資の減価償却費やM&Aによるのれん代を加えたデータということになります。最近では多くの企業がこのデータを投資家に示すようになってきました。減価償却費やのれん代が多いと利益が少なく見えてしまいますので、これをもって自社の価値がどの程度あるのかを積極的にアピールすることもできるため、低迷する株価に対して株価を上げていくようなアピールをするためにもこの指標が活用されていくことになりそうです。

     また、のれん代には時に負ののれんということもあります。
     買った金額に対して、売った相手企業の純資産がそれ以上の場合には負ののれん代を利益としてその買った決算期に計上することになりますが、それが大きい場合はその期の経常利益がイレギュラーに増加しその後の業績が減益になったりもしますので、業績の一過性の変動を生じやすく投資家にとっては気をつける必要があります。

     M&Aの場合は買った先の企業とのシナジー効果が生じるかどうかも重要な点です。社内資源の有効活用で相手企業を子会社化するメリットが一層生まれることが求められます。上場企業のうちM&Aの手法を積極的に駆使して成長しようという企業は限られいるのかも知れません。M&Aは様々な要因で手間暇がかかることからなかなか本格導入する企業が限られているのかも知れません。M&Aによる成長を掲げている企業で着実に成果を上げ始めている企業に今後、もう少し関心を寄せて頂きたいと思います。


    【M&Aに注力する企業の例】

    1.オークネット(3964)

     のれん代としてB/S上に3Q決算で5.8億円計上
     ブランド品の買い取り販売のギャラリーレアなどをグループ化し業績拡大。
     2019年12月期以降営業利益は25.2億円⇒37億円⇒58億円⇒今期65億円と拡大。中期計画では2025年にEBITDA100億円を計画。今後も約100億円の積極的なM&Aで業容拡大を図る。
     時価総額478億円(年間EBITDA67.4億円の7倍)

     2.ヨシムラ・フードHD(2884)

     のれん代として2QのB/S上に44.9億円を計上。
     全体資産269.3億円の17%がのれん代ということになる。同社のビジネスは複数の中小食品企業をM&Aして相互補完しながら成長するというもの。
     2016年3月のIPO以来、この成長路線を貫いてきた。
     2QのEBITDAは7.4億円(営業利益は海外事業のダウンで1.9億円)で営業利益以外が5.5億円と高水準。
     今期も茨城県笠間市の小田喜商店(年商3.5億円)、細川食品、細川フーズ(年商20億円)のほか、丸太太兵衛小林製麺(年商6.4億円)、林久右衛門商店(年商12億円)などを相次いで子会社化するなど積極的なM&Aで業容拡大を図っている。
     時価総額129億円。(年間EBITDAの8.6倍)


    3.メディカルシステムネットワーク(4350)

     3QのB/Sにのれん代として117億円を計上。全体資産641億円の18%がのれん代。調剤薬局をM&Aでグループ化してきた結果である。
     同社のビジネスは自社調剤薬局(427軒)ではなくネットワーク加盟店へのサポートビジネスが収益源となっている。
     中計ではこの加盟店を現在の7700軒から1万2000軒へと拡大を計画している。
     M&Aによる安定した収益が期待される調剤薬局の取り込みと加盟店の拡大で業容の拡大が中長期で期待される。
     時価総額121億円は年間EBITDA62億円の2倍以下であり評価不足が顕著。


    (炎)


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    です。


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)


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