億近読者のみなさんこんにちは。
 金融教育の専門家遠藤です。


 日本では「賃上げ」の気運が高まっています。ここ10年、株主還元やROEを意識した株主を向いた経営が上場企業に広がってきましたが、これからは従業員の方を向いた経営がより必要な時代になると思います。

 賃上げがろくにできない企業には優秀な人材が集まらず、ジリ貧になっていくでしょう。そういったこともあり、中には足元の営業利益の減少を覚悟してベアを進める企業もあると思います。


 問題は投資家がそれを先行投資と見るか、単なるコスト増と見るかです。

 固定資産投資で減価償却費が上昇して営業利益が減少しても、投資家は先行投資としてポジティブに受け取ることがあります。しかし、人件費増については、企業側の説明が必要そうです。

 私は、「賃上げをしても結局人件費は増加しない企業が多いのではないか?」と疑っています。ベアによって固定給が増えれば、収益が伸びない限り営業利益は下がります。ということは、企業としては堂々と賞与を下げる理由ができるわけです。
 前払いの固定給が上がれば、後払いの賞与が下がるということです。
 ベアを実施する企業は、「頑張らないと賞与下がっちゃうよ。前払い分が増えたんだから後払い分のお金ちゃんと稼いでよ」と従業員に号令をかけなければいけません。


 もう1つ人件費を上げない方法が「人減らし」です。
 これは早期退職を募る、という方法と新規採用引き締めるという方法でおこなえます。

 これはかなり悲観的な考え方です。
 業績が好調な企業は普通に賃上げと収益アップを両立するでしょう。実際、そういう企業は多いと思います。
 問題は、収益がそんなに上がらないのに、インフレのせいで賃上げを迫られる企業です。

 悲観的な話になりましたが、「就職氷河期が来るかもしれない」というくらいのつもりで真剣に自己研鑽に励むことは、メリットあってデメリットはないと思います。


 ここ数年、コロナ、ウクライナ戦争、インフレ、というように、不意打ちのショックが起きています。

 米国の金融、IT企業が人員削減をしています。日本企業も人件費が上がるわけですから対岸の火事ではありません。

 学生さんは、少数精鋭の人材として選ばれることが求められると思います。


 どんな人材が必要とされるのかは、株式投資を学び、社会を学ぶこと気付きが得られるでしょう。


(遠藤)


[遠藤 功二氏 プロフィール]

 日本FP協会認定CFP
 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
 MBA(経営学修士)

大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。
証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。
自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。

子育て世代のための金融教育サービスFP君
web:https://fpkun.com
メッセージ:koji.endo@fpkun.com

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