銀行の信用不安勃発でまたリーマンショックのような出来事が起きるのではないかと一時懸念された米国シリコンバレー銀行の破綻が日本株にも影響をもたらしています。
ここで考えておきたいのは銀行業、つまりお金を企業や個人に対して貸付けしてその利ザヤを得ている銀行が上場をしているということです。
お金の流れを担う金融業の中核を担う銀行も株式会社として存在している以上は上場していても良いかとは思いますが、問題はその株価評価と上場している以上、株価変動(特に値下がり)によるリスクが一気に表面化する場合があるということです。
日本においては三菱UFJFG(8306)や三井住友FG(8316)などのメガバンクもあれば、各地方にある地方銀行があり、それぞれに役割分担をしていますが、その規模や資金量、収益性の違いが明確にある一方で地域ごとにビジネスの内容は微妙に違っています。
現在株式市場には全国展開の銀行や地銀、第二地銀までおよそ100近くの銀行(持株会社も含む)が上場し、取引されていますが、利ザヤ稼ぎや有価証券売買、手数料収入などで得た利益を配当として株主に配分している状況です。
貸付けすると一定水準の不良債権が発生しますので、これがバブル崩壊後に問題になったことがありますので、銀行の財務には監督官庁の目が光っているということになります。
そうしたバブル経済から抜け出して銀行が健全経営できたのはリスクのある得体の知れないビジネス企業に無理して融資しないできたからだと言えそうですが、その結果としては経済の停滞を招いたという面も否定できません。
何事もリスクを取らないとリターンも得られないという理屈です。
DX社会の中で、依然として銀行のコンピュータシステムは古いままの状態であるとあるシステム会社のトップは先日の説明会で語っていましたが、自らが変わることのないお役所のような体制では銀行業務を営む企業を高く評価できない。
結果として低金利、ゼロ金利時代の中で利ザヤ稼ぎができない中で外債を含めた国債などの資産運用で収益を得るぐらいしかできないできたということになります。
取り扱う資金の額が膨大となる中で、ちょっとした経済変動や金利変動が最終的な利益に影響をもたらす限りはリスクがあって銀行株を買うのはためらわれるとの投資家の評価がこれまでの株価の低迷につながってきたのかも知れません。
このところは低金利政策の変更を示唆する流れから銀行株への評価にもポジティブな動きが見られますが、一方で見えざるリスク(金利上昇による保有債券の価格下落など)も高まりつつあるという点も考えられます。
一連の銀行業務で得られた利益の一部を投資家に配当金として配分している銀行のもう一つの顔は預金者に対しては預けられたお金に対しての金利は雀の涙程度であるという点です。
これは現状3%以上の配当金が株主には配分されるのとは対照的です。
今のところは日本で上場している銀行に破綻を生じるリスクはないと見受けられますが、何らかのきっかけで預金者が一度にお金を引き出す行為に及ぶと破綻に至る可能性もある点、今回の米国シリコンバレー銀行の問題が示唆しています。
今回の問題から改めて高い配当金を払ってまでポジティブな資金調達の必要がなさそうな銀行が上場している意味を考えてみたいと思いますが、銀行株自体は配当利回りやPBRなどの指標面ではとても魅力のある投資対象ではありますが、これは銀行業への不人気が背景になっているものと拝察されます。
【主な銀行株の株価変動と投資指標】
1)三菱UFJFG(8306)
株価840.9円(直近高値比▲15.9%)
2020.3安値380円
⇒2023.2高値999.5円 2.6倍
PER9.6倍 PBR0.61倍 配当利回り3.81%
2)三井住友FG(8316)
株価5258円(直近高値比▲16.0%)
2020.3安値2507.5円
⇒2023.3高値6261円 2.5倍
PER8.7倍 PBR0.57倍 配当利回り4.37%
3)みずほFG(8411)
株価1868.5円(直近高値比▲16.5%)
2020.3安値1084円
⇒2023.3高値2238円 2.1倍
PER8.45倍 PBR0.53倍 配当利回り4.55%
4)ゆうちょ銀行(7182)
株価1124円(直近高値比▲9.8%) 売出価格1131円
2020.7安値785円
⇒2023.3高値1246円 1.6倍
PER12.95倍 PBR0.45倍 配当利回り4.45%
(炎)
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