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 バフェット発言に続くカーライル社共同経営者など外国人投資家の発言で勢いづく日本株。

 いわゆる巨大マネーを国際分散投資している外人投資家の発言で日本のコア銘柄の株価がこのところ急騰を演じていることはご存知の通りかと思います。
 こうした株式相場の潮流に乗り遅れまいと多くの投資家が行動に出たものだから日経平均やTOPIXは33年ぶりの高値更新だとかメディアが騒ぐことになり、ややバブリーな印象を投資家がもってしまうことになりますが、実際にはそうでもないとクールに見ておられる皆さんも多いのかも知れません。

 現在、東証の市場改革(外国人投資家を呼び込むための)施策が打たれて以降、株式市場はプライム、スタンダード、グロースの3市場に分かれることになりました。現在これら3市場には3798社が上場しています。
 プライム市場には1834銘柄が上場しており、時価総額は788兆円、1銘柄当たり時価総額は約4300億円という水準です。トヨタを始めとした時価総額1兆円以上の銘柄が現在158。
 一方でプライム市場に上場維持できるかどうか懸念される時価総額150億円以下水準の銘柄も168銘柄あります。

 現在の株式相場の上昇を牽引している流動性の高いプライム市場の外国人投資家好みの銘柄、俗に言うインデックス銘柄群がコアの投資対象になっていると言えます。

 一方でスタンダード市場には1439銘柄が上場していますが、時価総額は23.4兆円で1銘柄当たりは163億円という水準ですのでこれらが外国人投資家のターゲットになるのは難しいかと思われます。
 ちなみにプライム市場で最も時価総額が小さいのはピーバンドットコム(3559)で23億円しかありません。これに続くのはワイヤレスゲート(9419)25億円、マイネット(3928)28億円でこれらの銘柄は当然のごとく株価の下落トレンドが続いています。
 東証では流通時価総額100億円以上を上場維持基準としていますので、こうした時価総額が低い銘柄はよほど業績を上げないといずれは上場廃止されるかスタンダードへの市場変更を余儀なくされることになります。
 最近は調剤薬局チェーン事業を展開するメディカルシステムネットワーク(4350)のようにこれを先取りして今のうちにプライムをあきらめてスタンダードに移行すると発表した企業も出てきています。

 200程度の銘柄がこの流通時価総額基準が未達となっていると推察されますが、スタンダード市場の銘柄にも基準(流通時価総額10億円)が未達の銘柄が見出せます。これらの基準未達企業はその対応として一定期間を目標にして業績の向上を図ったりIR活動を活発化させるなどして基準を満たす計画を提示したりしていますが、現状の市場環境では多くは上場を維持できなくなる恐れがあります。
 つまり現在の株式市場は一部の外国人投資家や機関投資家等の投資対象となるコア銘柄のみが株であり、そうでない銘柄は見向きもされない底の浅い株式市場の姿が存在することになります。

 多くの賢明な個人投資家の皆さんはそうした相場の潮流を十分に理解しておられるかと思います。外国人投資家主導のインデックス中心の活況を呈する上昇相場の後にやってくる相場がいつぐらいに始まるのか、いや始まらないのか、始まった場合はどのようなものとなるのかは読み取れませんが、その前提となる考え方は「株式相場は循環する」という点にあるとしか言いようがありません。
 もしこうした前提に立てば今売り込まれている誰も見向きもしていないような銘柄にも投資チャンスがあるということになる訳ですが、それは少数派の意見でもあり孤独の戦いを余儀なくされるとは容易に想像がつきます。


【人気主力株のポイント】



1)NTT(9432)
 ネットでも話題の今月末25分割、時価4133円は分割後の株価165円。
 時価総額14兆円台、株主数69万人のコア銘柄。

2)三菱UFJFG(8306)
 銀行トップ。日本初のステーブルコインの発行を政府に先んじて民間でスタ ート。
 時価967.9円で時価総額12兆円台。株主数88万人。

3)トヨタ(7203)
 世界トップのエンジン自動車メーカー。
 新社長の下で遅れてきたEV戦略推進。子会社ミライズT社が車載用ダイヤモンドパワー半導体をEDP(7794)と共同開発へ。
 10月末まで自己株買い(6月以降上限1億株余り、同1270億円余り)実施中。
 時価2051.5円、時価総額33兆円(自己株除くと27.9兆円)
 株主数未公表。


【株価下落トレンド銘柄群】


1)メディカルシステムネットワーク(4350)
 札幌拠点の調剤薬局事業展開。自社調剤薬局運営とネットワーク加盟調剤店へのサポートビジネスが事業の柱。
 今期で2期連続の減益見通しとなることを嫌気して株価低迷中。
 21年4月高値944円から360円安値まで62%下落。
 2018年12月安値327円、2020年3月安値340円が下値目途か。
 時価364円 時価総額110億円(自己株46万株除く)(年商1125億円、EBITDA56億円、営業利益26億円)EPS33.1円、PER11倍。

2)サイバーエージェント(4751)
 ネット広告、メディア、ゲームなどの事業を展開。ネットテレビ局「アベマ」展開。
 2021年6月高値2441円から5月安値965円まで60%下落後、反転の兆し。
 時価1029円 時価総額5159億円、今9月期予想営業利益450億円(ピークは1044億円)。
 連結子会社のサイゲームス(ゲーム馬娘展開)がコナミより特許権侵害で損害賠償訴訟(賠償額40億円)を受ける。

3)すららネット(3998)
 オンライン教材が学校、個人向け主体に成長期待。海外でも事業展開。
 開発投資拡大から今期の営業利益が減益見通しとなり株価は長期下落。
 GIGAスクール構想とコロナ禍のオンライン教育への関心が高まり2020年10月に9350円(時価総額633億円)の高値をつけた後に5月安値623円(時価総額42億円)まで93%下落しようやく反転の兆し。
 GIGAスクール構想は2024年から2025年にPC入れ替えが予定され、同社もそれに合わせたバージョンアップを推進。
 時価679円 時価総額46億円。今12月期予想営業利益3.9億円。
 無配のため個人投資家の関心が薄れてきたが、そろそろ人気復活を期待したいが果たして・・・。


(炎)


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