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初めに。
子育ても軍事も医療も・・・、日本政府は財源の目処も無いままに新たな政策を打ち出すことに慣れてしまったようです。巨額なコロナ予備費(麻薬)にどっぷりと冒されてしまったのか。財政を云々する以前に、安易に金(国民からの借り入れ)に群がる政治家の姿に将来の亡国を感じざるを得ません。
マスメディアもだらだらとニュースを垂れ流すだけですから役に立ちません。
これらこそが円安(日本売り)の根源的な原因と感じます。
さて、7月に入って以降、国内株式市場の上値が重くなっています。
恐らく現在程度の円安が続きそうな事と、中国市場などからの資金移動で日本株は循環物色が続きそうな雰囲気ですが、中々強気になれない気分でもあります。
日本市場については沢山の識者がおっしゃる通り、各企業の業績向上策や割安企業の株価対策、株主還元策などが重要なことは間違いありませんが、その一方で、株式市場が活性化するためには取引所など市場を運営する側の意識改革も必要と考えます。
何故に国内株式を買おうとする投資家が増えないのか。
理由は明快であり「安心感が無く」、「儲け辛いから」です。
企業努力が足りないことで株価が上がらないだけでは無く、一つには専門家である証券会社や銀行の回転売買営業(手数料稼ぎ)が続いていることも要因です。
そしてもう一つ重要な要素として、個人投資家の保護や支援など二の次で、発行体(上場企業)寄りの市場運営が続けられていることです。少数株主を軽視する上場企業のために単位株制度を維持し、投資に必要な最低金額が高いことから一般投資家が参入し辛いことも一例です。
先日、JFEHD(5411)が時価総額の10%程の公募増資をするとのニュースがありました。CBと合わせたら約2,000億円。脱炭素化で設備投資に向けた資金が必要なのは分かりますが、前2期で計4,500億円程の純利益を叩き出し、1.4兆円の利益剰余金を持ちつつ配当性向は30%止まりであり、そして実績PBR0.6倍の会社の公募増資です。
業績が改善し、株価も上がり出し、やっと万年割安株の汚名を返上出来そうな雰囲気になってきたところでした。財務戦略については様々なご意見もあると思いますが「このタイミングで公募増資?」と感じたのは筆者だけでしょうか。つまり現経営陣は「今の株価は割安では無い」と判断したという事か。
5.5兆円の総資産と2.1兆円の自己資本にも無駄は無いのか。
日本企業特有の旧来型の財務戦略(将来的な株価戦略が無い)と変わらないと感じましたが、今後の相場の方向性を見ていく上で参考になりそうです。
8月3日のコラムにも書きましたが、幾ら割安でもTOBがされ辛く、昼行灯経営者に優しい市場運営を続け、同時に国内投資家の売買に対しては直ぐに規制をかける意味不明な運営が続いていることも市場参加者が増えない大きな理由と考えられます。
株価が一定以上上がると信用取引規制がかかります。増し担保規制や新規建て規制などですが、株価動向が活況になってきたところで規制が入るために投資家は買い辛くなり、そしてまた、株価が買われ過ぎと感じても空売りも規制されます。
何故にこんな規制があるのかと言うと、大きな株価変動により一般投資家が過大な損失を被ることを避けるためと聞いていますが、これは昭和期の発想であり、現在においては市場関係者の責任回避目的以外の何物でもないと思われます。
国内投資家には直ぐに規制をかける一方で外資に対してはフリーハンドですから、株価が大きく上昇し、信用の買い残高が増えて規制がかかったタイミングで外資系投資家が空売りを仕掛けます。それこそ資金力に物を言わせて強引に空売り(売り崩し)するのですから個人投資家は堪ったものではありません。理論株価など無視でどこまでも売り叩き、投資家が止む無く(泣く泣く)損切するまで下げを誘発させる手法です。
これを国内投資家がやれば相場操縦とみなされて捕まりますが、海外投資家には適用されません。まさに個人投資家が餌食にされている構図です。
このような歪な市場運営をしていては国内投資家が大きく儲ける機会を失うと同時に、セミプロ以上の個人投資家も育ちません。国内投資家には不利な取引を強いる一方、海外投資家にはそれらを逆手にとって儲ける手段を与えているのですから、仕組み上からも国内投資家に不利な市場と言えます。これでは株式市場に参加する投資家が増えるはずもありませんし、投資家層も育ちません。
個人(ローカル)投資家を軽視した運営を続けていては市場が活性化しないことを市場関係者は分かっているはずです。が・・・動かない。何故なら政官と癒着した財界上層部からの圧力を恐れ、問題が起こった際にも責任を取りたくない故でしょう。
行政や大手金融機関から天下りしてきた運営責任者達が惰性で市場を運営し、市場関係者の誰もが責任を回避する。そして個人投資家にばかり損失を押し付けるだけの市場にNISAのお金が流れ込むことは期待できません。
(街のコンサルタント)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)