本誌でも時々取り上げて参りました福岡に本社を置く金属加工を中心にしたモノづくり企業として創業以来積極的な事業展開を行ってきた日創プロニティ(3440)が先週、アナリスト協会主催の決算説明会に登場。
8月本決算についての説明を石田社長とIR担当役員の諸岡取締役で行いました。
石田社長は創業者からバトンタッチした2代目。諸岡取締役は銀行出身で社長の片腕的存在です。
これでアナリスト協会での説明会は2回目ですが、前回よりも今回の方が参加者が多かったとの印象です。
同社は加工の総合商社を標ぼうしており、自社の大きな工場を福岡と福島に置き、金属加工をメインに行っているほか、数年前にM&Aで最初にグループ入りした群馬県所在の吾妻ゴムではゴム加工も行っています。
かつてはソーラーの架台特需で3期間で50億円もの利益を計上。この蓄積資金をM&Aや設備投資に充当しながら業容を拡大してきました。
現在グループ企業数は9社。
前期は3社(ワタナベテクノス、ニッタイ工業、天神製作所)を一気にM&Aでグループ化したが、今期はこれが通期フルに寄与する見込みで年商は155億円に拡大する見通し。残念ながら利益寄与はまだ限定的なようで本格的な寄与は来期から始まる新中期計画内で実現すると期待されます。
これまでM&Aに投じた資金は51億円で過去8年間に連結化した子会社が創出した利益は19億円。今後もモノづくり企業として積極的に後継者難のモノづくり企業をグループに入れていく方針。
金属、ゴム、タイルと来てこの後はガラスや木材、樹脂へと展開していく計画。
事業領域の拡大を図るとともに新規事業にも挑戦しようとしており、今回は新規にカナエテという会社を設立しモノづくりWEBサービス、つまりモノづくり企業のプラットフォーム事業を開始した。
金属などの素材を加工したオーダー製品を気軽に製作依頼できるモノづくりWEBサービス「Kanaete(カナエテ)」サイトは10月2日にスタート。
モノづくりのプラットフォームを構築。ホビー市場(1.9兆円)の中のクラフト市場(工作、DIY)8675億円のうちの3600億円をターゲットとすることになった。プラットフォームに参加する協力企業はまだ3社と少ないが、今後協力企業とも連携しながらデザイナーやクリエーターを巻き込んでのCtoCプラットフォームへと進化させる計画。
新たなビジネス展開が開花するのはまだ相当の時間がかかると見るが、大規模工場を有す同社のようなモノづくり企業がEコマースを活用する先駆的な存在となることになる訳で今後の展開に注目したい。
こうした積極果敢な挑戦に対して投資家は冷めた目で同社を見ている。期中に上昇修正した前期実績を結果として下方修正したためだが、きちんと管理ができていない点は今後の課題として残るが、新たな挑戦には大いに期待したい。
今年同社株は年初の550円から1011円まで急騰し投資家の期待が高まったのだが、今回はまた700円を割れてきた。
積極経営への評価が再び高まる時期を待ちたいところです。
(炎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)