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特許を調べるのに8年前までは特許電子図書館(IPDL)が使われていましたが、それに代わって登場したのが特許情報プラットフォーム、J-PlatPat(ジェイプラットパット)です。
これは従来のIPDLより検索サービス機能が充実しているなどの特徴がありますが、世界各国の出願・審査関連情報を調べる機能をシステムに付加。
外部からの攻撃があったりしてその後セキュリティ対策を講じて今日に至っています。
日本のハイテク企業にとって特許制度は極めて重要な位置付けにあります。
知的財産の代表と言える特許がビジネスを推進する原動力となっていることは自明のことで、特許は企業の今後を占う重要な要素となっています。
ただ相変わらず市場は特許などの知的財産への評価を曖昧にしたまま、見えている資産(現預金、有価証券、土地、建物、設備など)の評価に対してすらまともに評価しないで株価形成がなされていますが、かつては知財が評価の中心となっていた時代もあり企業価値の根源ともなりうることをもう一度思い起こして頂きたいと思います。
多くの日本企業の株価は解散価値であるPBR1倍を割れるなど低評価に甘んじてきました。それはデフレ経済による目に見える資産価値の低落傾向が背景になったためとも言えますが、このところはデフレ脱却の方向性が見えてきましたし、東証による低PBR改善の要請と相まっての株価上昇トレンドが続いてきました。
この潮流にはPBR1倍を超えてきたら終焉を迎えるという可能性を秘めるリスクも考えられますが、企業への評価の高まりの根源に現状はのれん代やソフトウェアを除いてバランスシート上に反映されていない知的財産価値を加えることで更なる評価の高まりとなって現れる可能性も考えられます。
企業には様々なタイプがありますが研究開発型の企業であれば、その成果を特許にしていくことになります。特許化には特許出願⇒市場性の確認⇒審査請求⇒特許庁の担当者による先行技術調査⇒特許承認⇒特許取得といったおおまかな流れがあります。研究開発自体が様々な費用を要するのに特許化するためには更に時間と費用がかかることになります。ですから企業にとってはこの権利をしっかり守る必要がありますし、他社とのクロスライセンスなども含めて知財戦略を構築して自社の業績向上に努める必要があります。
多くの投資家の皆さんは四半期ごと発表される業績に関心をもって投資されているのかもしれませんが、中には企業が発表する特許を絡めた技術情報に関心を寄せておられる投資家もお見えかも知れません。
自ら特許取得に注力していることを積極的にアピールしている企業もありますが、問題はその評価ということになります。
例えば筆者が長期でフォローしていますアドソル日進(3837)もこのところ特許取得が活発です。
特許は発明・出願から20年の間、権利が守られる制度ですが、実際にはこの取得は特許がビジネスとして成り立つ前提がないと意味がなく、出願しても特許化されないままで終える特許もあることになります。
審査請求を経て先行技術調査が特許庁において行われ晴れて特許取得に至ることになりますが、技術力をアピールしているシステム開発企業であるアドソル日進の場合はコロナ禍前までは年間1,2の特許出願、特許取得を行うに留まっていましたが、2020年以降、出願と取得を積極化。取得件数については21年4件、22年2件、23年4件となっており、IoTサイバーセキュリティ、IoT無線、浸水シミュレーション、位置検知システムなどでの特許化が見られます。同社では今後も関連技術の特許化に努めるとしており、これが業績にどのようにつながっていくのかに関心が寄せられます。
特許を巡る話ではデンソーのQRコードが一般に開放され物流、金融業界などの社会システムに多大な貢献をしたというようなスケールの大きな話があります。
新たな盛り上がりはAI関連特許、トヨタなどの全固体電池はじめとしたEVバッテリー、ペロブスカイト太陽電池などの再エネ関連技術が話題になっています。
私たちの生活を革新的に変えていく新技術の登場とともに特許情報への関心もますます高まるものと思われます。
(炎)
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億の近道月曜日担当の人気執筆者、炎のファンドマネージャー(松尾範久氏)が、中小型株情報を中心に、時事の投資テーマやIPO情報、取材やアナリストミーティングの鮮度の高い情報まで、プロの目で見た投資情報をお知らせします。
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執筆者:炎のファンドマネージャー(松尾範久氏)
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