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マイクロソフトのクラウドサービスはすでに売上の4割程度になっている。
クラウドサービスではグローバル市場においてアマゾンとマイクロソフトの2強時代に突入している。
クラウドは消費者にとっては、安価なバックアップメモリー的役割を果たしている。
法人にとっては、最新のサービスをアセットから外し費用化できる。
初期投資がなく、すぐにサービスが始められる。
サービスの種類も多く、大手のAzureの場合はすでに数百を超えるサービスを提供している。またグローバルで利用できる。
ただ、従量課金制であり、導入コストは安いが、工夫しなければコストアップになる場合もある。
最小構成なら安いが、専用サーバーとクラウドで同等のサーバーを構築するとAzureやAWSの方が高い。しかしながら、いま売上が加速している背景には生成AIの普及がある。
Azureについては、もともとユーザーインターフェースとしてのMSオフィスとの親和性がアピールポイントであった。
キャッシュフローが数兆円規模に上るアマゾンやMSがデータセンターを拡充して、よりよいサービスへ進化させていくことで、サービスの質量とセキュリティの堅牢さが利点だ。
Azureの顧客は主にグローバル企業であり、たとえば日本企業ではNTTもそのひとつ。最大顧客はすでに年間100億円を超える使用料を払っている。
収益性は非常に高い。
個人的にはRD控除後の売上高純利益率で4割を超えると推定している。
クラウドサービスが近年加速しているのは、オープンAI(生成AIの代表的な陣営)関連のサービスの普及が見込まれるからだ。
実際、マイクロソフトのクラウドシェアは2017年の10%台から見れば上がっている。報道等によればおよそ25%程度のシェアとされる。
https://bit.ly/40Rgfn4
クラウド市場全体も伸びていくのではないか。
将来は、通信環境が5Gミリ波や6Gへの移行が見込まれること、よりIoTからのデータ奪取による自動運転の普及期に入ること、そうなればエッジコンピューティングが盛り上がり、さらにクラウドサービスへのデータ集中が想定される。
Azureは13年目に入っているが、すでに第5世代である。
急激な変化を遂げている。
Azureの第一世代は2010年にスタートした。APIとSQLがメインのサービスであった。
第二世代ではオープンソースソフトウエアが登場。仮想マシンにより低稼働のマシンに作業を移管することができるようになった。リナックスベースもライブラリが充実しつつあった。
第三世代ではIoTサービスが登場。ブラウザーベースで統計ソフトRなどが「自由に」使えるようになった。IoT導入によるビックデータ時代の到来である。
第四世代には、生成AIが登場した。これにより、コールセンターや自動翻訳や資料作成が自動化されつつある。
23年現在、Azure関連のサービスの数は600を超えている。
その中で注目すべきはAzure Arcシリーズである。
差別化戦略サービスとなっている。
Arcにより、旧システム、複数のレガシーシステムを繋げて管理することができる。
企業はなるべく多くのデータを保有し活用したいが、データだけをやみくもに集めているが使い方がわからなくなっている企業もあるだろう。機械学習や生成AIの力を借りれば、目的(教師付き)に応じたデータ解析が可能になるとの触れ込みなのかもしれない。
どこにデータがあっても、クラウドの外であっても(通信さえ制御できれば)仮想サーバー上で管理できる。
それぞれのデータをアークで結びつけるという意味で、Azure Arc enable〇〇などというサービス名になっている。
Arcシリーズには以下がHP上公開されている。
Azure Arc-enabled servers.
Azure Arc-enabled Kubernetes.
Azure Arc-enabled data services.
Azure Arc-enabled SQL Server.
Azure Arc-enabled VMware vSphere and Azure Arc-enabled Azure Stack HCI.
Azure Arc-enabled System Center Virtual Machine Manager.
サービスが多様化し管理が難しくなっているため、クラウド間をまとめる連携ソフトが登場した。
マルチクラウドで分散したサーバー環境を一元管理できるのがAzure Arcだ。
最近はML(マシンラーニング)及びAI関連のサービスが多い。
ユーザーが個人でも気軽に登録できるARUZEのフリーサービスだけで87もの商品がマイクロソフトのHP上で提供されている。
(23年10月現在)
(NPO法人イノベーターズ・フォーラム理事 山本 潤)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織/団体の見解ではありません。)