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ゴールデンウィーク明け、7日の東京株式市場は一気に1万4000円台乗せ、為替市場ではドル・円相場が99円台に反騰しました。
ゴールデンウィーク前半は、冴えない米国や中国の経済指標を嫌気、米欧の金融政策決定会合や米国の4月の雇用統計といったビッグイベントを控えてマー ケットは調整しました。G20後に100円寸前まで上昇したドル・円相場は、97円割れ寸前まで反落。95円水準までの調整を見る向きもあり、海外市場動 向が気になっていた方も多かったようです。
連休後半に入ると、様相が一変。欧州中銀の利下げ、米国の雇用統計が予想よりも(良過ぎず)良い数字であったことから、中央銀行の金融緩和姿勢を好材料に株式市場は上昇。ニューヨークダウは15000乗せとなり、万々歳となりました。
この間、主な好材料とされたのは、米国FOMC、欧州中銀の利下げ、米国雇用統計です。
まず、4月30日5月1日実施の米国の金融政策決定会合ですが、量的緩和QE3を続けてきた米国の金融政策は、米経済の好転から出口戦略を模索している とされてきました。ただ、最近発表された指標に芳しくないものも目立ち、例えば、第1四半期のGDPも、予想値3%に対して2.5%止まりで、その他の経 済指標にもバラツキが見られるようになっていました。
今回のFOMC声明文では、
・月間850億ドルのMBSと米国債購入の継続。(量的緩和継続)
・購入規模は「増加もしくは減少」を準備。
・経済成長は穏やかに拡大(足元の経済指標は基調的な変化を示すものではない。)
・ディスインフレ懸念は乏しい。
以上のうち、特に2番目の購入規模は労働市場動向やインフレ見通しによって、金融緩和の「増加」もしくは「減少」というペース変更について加えたことは 注目されます。柔軟に動ける姿勢を示したということです。また、このところ一部で指摘されてきた米国のディスインフレ傾向については認めませんでした。
FRBは、従来言ってきたように失業率7%割れが定着するまで緩和を続け、必要なら拡大もするし、額は調整していくということになるでしょう。ポイントは、失業率が7%(現在7.5%)割れするのはいつ頃になるのか、でしょう。
今回発表された4月の雇用統計で失業率は7.5%に改善していますし、非農業部門の雇用も予想よりも改善されていましたが、労働時間は週0.2時間減少しており、実質的な労働市場は改善していないのではないか、との見方も一部では出ています。
そもそも、先進国の雇用市場状況を過去実績と比較してみるのは、難しくなっているのではないかと思います。労働集約型の産業が減っている中で、雇用自体 の需要が大きくならない傾向ですので、著しい改善は、ハードルがかなり高いように感じます。FRBの金融緩和は予想以上に長引く可能性も考えておいた方が 良いかもしれません。
次に、ヨーロッパ中央銀行の利下げについてです。
春先からECBの利下げ予想が出ていました。当初は、ユーロ売りで反応した市場も、今回は利下げによって経済が改善する方に期待して、一時ユーロは買わ れました。ただ、上値を追うほどではなく、昨日、ECB総裁が更なる利下げについて言及して、ユーロ売りにつながりました。ユーロ相場は読みづらくなって います。
欧州危機は、PIIGSと呼ばれる周辺問題国の債務問題への救済から始まり、緊縮財政が影響した経済低迷がコア中のコア国のドイツ経済にも及んだこと、 準コア国とされるフランス、イタリー、スペイン、オランダ(頭文字からFISH)の経済の低迷も目立ってきています。各国の国債の利回りは大きく低下。経 済低迷の深刻さがうかがえます。
ドラギECB総裁は、マイナス金利の可能性についても言及しています。ユーロのケースでは、マイナス金利の採用は実務上難しいと言われますが、見えてくるのは、状況が大変悪く、金融緩和は更に進むということなのでしょう。
日銀の黒田バズーカから約1ヵ月。
米国の金融緩和の出口は見えにくくなり、欧州は更なる金融緩和を進める中、昨日7日にはオーストラリアが予想外の利下げを実施、政策金利を2.75% に。オーストラリアは、年末までに2%まで下げるとの市場予想があります。国内経済刺激目的もありますが、自国通貨高を避けたいのが本音でしょう。加え て、インドも、先週利下げをしました。
また、オセアニア地域のニュージーランドも住宅価格リスクが落ち着けば、利下げ余地あり、とコメントを出していますし、本日ニュージーランドは自国通貨売りの市場介入を実施しました。
異次元緩和以来、円の独歩安が進みました。相場の方向は円安だと思っていますが、他国の対応の変化を見ると、前号でも記しましたが、ペースはスロー、一 方通行でない可能性は高いのではないかと思いますし、次に一方通行の円安になるときは、日本のネガテイブ材料による円売りが出たときではないでしょうか。
過剰流動性というジャブジャブ音頭で「踊る株式市場」が続いています。
これでは、Sell in Mayじゃなくて、buy in May?というコメントも見られました。株式市場は下がるより上がる方が良い(官房長官 談)のではありますが、5月は未だ始まったばかり。Sell in Mayの教訓は未だ有効かもしれません。心しておきたいと思います。
最後に、年初来の主要通貨パフォーマンスです。対ドル上昇No.1はメキシコ・ペソ(+5.9%)、下落No.1は日本円(-10.9%)です。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
*5月8日13時執筆。本号の情報は5月7日のニューヨーク市場の終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
ゴールデンウィーク前半は、冴えない米国や中国の経済指標を嫌気、米欧の金融政策決定会合や米国の4月の雇用統計といったビッグイベントを控えてマー ケットは調整しました。G20後に100円寸前まで上昇したドル・円相場は、97円割れ寸前まで反落。95円水準までの調整を見る向きもあり、海外市場動 向が気になっていた方も多かったようです。
連休後半に入ると、様相が一変。欧州中銀の利下げ、米国の雇用統計が予想よりも(良過ぎず)良い数字であったことから、中央銀行の金融緩和姿勢を好材料に株式市場は上昇。ニューヨークダウは15000乗せとなり、万々歳となりました。
この間、主な好材料とされたのは、米国FOMC、欧州中銀の利下げ、米国雇用統計です。
まず、4月30日5月1日実施の米国の金融政策決定会合ですが、量的緩和QE3を続けてきた米国の金融政策は、米経済の好転から出口戦略を模索している とされてきました。ただ、最近発表された指標に芳しくないものも目立ち、例えば、第1四半期のGDPも、予想値3%に対して2.5%止まりで、その他の経 済指標にもバラツキが見られるようになっていました。
今回のFOMC声明文では、
・月間850億ドルのMBSと米国債購入の継続。(量的緩和継続)
・購入規模は「増加もしくは減少」を準備。
・経済成長は穏やかに拡大(足元の経済指標は基調的な変化を示すものではない。)
・ディスインフレ懸念は乏しい。
以上のうち、特に2番目の購入規模は労働市場動向やインフレ見通しによって、金融緩和の「増加」もしくは「減少」というペース変更について加えたことは 注目されます。柔軟に動ける姿勢を示したということです。また、このところ一部で指摘されてきた米国のディスインフレ傾向については認めませんでした。
FRBは、従来言ってきたように失業率7%割れが定着するまで緩和を続け、必要なら拡大もするし、額は調整していくということになるでしょう。ポイントは、失業率が7%(現在7.5%)割れするのはいつ頃になるのか、でしょう。
今回発表された4月の雇用統計で失業率は7.5%に改善していますし、非農業部門の雇用も予想よりも改善されていましたが、労働時間は週0.2時間減少しており、実質的な労働市場は改善していないのではないか、との見方も一部では出ています。
そもそも、先進国の雇用市場状況を過去実績と比較してみるのは、難しくなっているのではないかと思います。労働集約型の産業が減っている中で、雇用自体 の需要が大きくならない傾向ですので、著しい改善は、ハードルがかなり高いように感じます。FRBの金融緩和は予想以上に長引く可能性も考えておいた方が 良いかもしれません。
次に、ヨーロッパ中央銀行の利下げについてです。
春先からECBの利下げ予想が出ていました。当初は、ユーロ売りで反応した市場も、今回は利下げによって経済が改善する方に期待して、一時ユーロは買わ れました。ただ、上値を追うほどではなく、昨日、ECB総裁が更なる利下げについて言及して、ユーロ売りにつながりました。ユーロ相場は読みづらくなって います。
欧州危機は、PIIGSと呼ばれる周辺問題国の債務問題への救済から始まり、緊縮財政が影響した経済低迷がコア中のコア国のドイツ経済にも及んだこと、 準コア国とされるフランス、イタリー、スペイン、オランダ(頭文字からFISH)の経済の低迷も目立ってきています。各国の国債の利回りは大きく低下。経 済低迷の深刻さがうかがえます。
ドラギECB総裁は、マイナス金利の可能性についても言及しています。ユーロのケースでは、マイナス金利の採用は実務上難しいと言われますが、見えてくるのは、状況が大変悪く、金融緩和は更に進むということなのでしょう。
日銀の黒田バズーカから約1ヵ月。
米国の金融緩和の出口は見えにくくなり、欧州は更なる金融緩和を進める中、昨日7日にはオーストラリアが予想外の利下げを実施、政策金利を2.75% に。オーストラリアは、年末までに2%まで下げるとの市場予想があります。国内経済刺激目的もありますが、自国通貨高を避けたいのが本音でしょう。加え て、インドも、先週利下げをしました。
また、オセアニア地域のニュージーランドも住宅価格リスクが落ち着けば、利下げ余地あり、とコメントを出していますし、本日ニュージーランドは自国通貨売りの市場介入を実施しました。
異次元緩和以来、円の独歩安が進みました。相場の方向は円安だと思っていますが、他国の対応の変化を見ると、前号でも記しましたが、ペースはスロー、一 方通行でない可能性は高いのではないかと思いますし、次に一方通行の円安になるときは、日本のネガテイブ材料による円売りが出たときではないでしょうか。
過剰流動性というジャブジャブ音頭で「踊る株式市場」が続いています。
これでは、Sell in Mayじゃなくて、buy in May?というコメントも見られました。株式市場は下がるより上がる方が良い(官房長官 談)のではありますが、5月は未だ始まったばかり。Sell in Mayの教訓は未だ有効かもしれません。心しておきたいと思います。
最後に、年初来の主要通貨パフォーマンスです。対ドル上昇No.1はメキシコ・ペソ(+5.9%)、下落No.1は日本円(-10.9%)です。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
*5月8日13時執筆。本号の情報は5月7日のニューヨーク市場の終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)