どんな相場になっても上がる株はあるものです。
 私は全体相場が調整局面を迎えた時こそ個別銘柄の研究を怠らずにいれば有望成長株は見出せるとの信念を持っています。

 それが外れになっても当たりとなっても、とにかく調整局面こそ大事な要素になります。3600社もの企業の中からそれを見出すのは至難の技と言えます が、投資というのはそういう地道な作業があってこそリターンが得られるものだと億の近道の読者の皆さんは昔からお分かりになっているものと思います。

 株式相場は山あり谷あり。リスクマネーを投じて谷を買い、山を売るの作業を継続して億の資産を作っていくことこそ経済の輪に加わっておられる市民投資家 のミッションでもあります。短期的な多少の高値掴みはあっても良い銘柄探しをして信念を持って保有していれば、企業の成長とともに資産は自然に増加してい くものです。
 多少の時間はかかっても企業の成長は時価総額の拡大、株価の上昇につながると信じてリスクマネーを投じる皆さんへのヒントとなるか、本日は直近になって行った成長株探しの報告をちょっとだけ致します。


【日本管理センター(3276)の場合】

時価:1035円 時価総額:93.9億円

1.要約
 同社は2002年6月7日に設立されて以来急成長を続けてきました。2003年に開始した保険付収益分配型一括借上長期保証システム「スーパーサブリー ス」がオーナーの支持を得て事業は急速に拡大し、管理戸数はサービス開始後、約10年で4万5,000戸を突破。今期末5万4,000戸を見込んでいます (但し今期はやや未達になるかも知れません)。

 ハウスメーカー自らが行う例はありますがサブリース専業の企業は他になく、協業パートナー企業(地元建設会社、リフォーム会社、賃貸管理会社など)との 連携を図りながら、積上げ型事業として安定性と成長性を備えた事業基盤を構築。設立後10年で年商は200億円を突破し、2012年にはJASDAQ上 場。本年3月には東証2部市場へ昇格しました。管理戸数の増加に伴い毎期増収、増益のパターンができており、5年後の管理戸数10万戸、10年後は30万 戸、年商2,000億円を目指した積極経営を図っています。
 同社はオーナーの資産最大化をテーマに賃貸住宅経営のサポート役として、少しでも入居率を高めるための施策を行い、オーナーの期待に応えてきたことがこれまでの成長を支えてきました。同社は日本版プロパティマネジメントの確立を目指し、今後も事業の拡大を図る意向です。
 今期より連結決算へ移行し、第1四半期までの業績は、予定通りの増収増益基調を維持。通期では前期比18.5%の増収、同20.5%の経常増益を見込んでいます。
 少子高齢化が進展する流れを読み取り、既にサービス付き高齢者賃貸住宅分野にも進出。オーナーの資産ニーズに合わせた投資不動産売買サポート(イーベス ト)サービス事業の展開など新事業への積極的な取り組みも図っています。上場後の積極的な株主還元(過去3回の1対2の株式分割を実施しました)にも見ら れるように同社は様々なステークホルダーとの連携を図りながら成長を目指しており、業界で先駆した大東建託や東建コーポなどの建築主体の企業を上回るペー スでのスケールアップが期待されます。

2.評価
 2011年10月21日のJASDAQ上場初値は1600円。上場時は認知度が低く、時価総額は15.5億円にしか過ぎませんでしたが、業績の好調、認 知度向上から上場後の安値1570円から2011年12月には6100円という高値をつけ時価総額も59億円にまでアップしました。2012年4月、10 月と連続して1対2の株式分割を行い流動性の改善が図られたことや業績の拡大が見られたこともあり、その後も順調に株価は上昇傾向を辿りました。2012 年12月10日より東証2部に上場。その結果、上場前の株主数77名は前期末には2065名にまで増加しています。2013年3月に上場後3回目の1対2 の株式分割を実施し、発行済み株式数を907万株(上場時は96万6500株)としました。本年5月には1369円という株価をつけ、時価総額は124億 円にまで増加しましたが、その後は全体相場の大幅な調整に伴い、一時900円まで売り込まれるなど波乱の展開が見られます。管理戸数の増加でストック収入 が積み増される収益構造となっており、今後の業績も安定した拡大が見込まれますので調整局面での投資こそ長期的なリターンが上がりやすいと考えられます。

3.経常利益推移

2010.12期  3.3億円
2011.12期  6.1億円
2012.12期  8.5億円
2013.12期E10.3億円
2014.12期E12.7億円(最新四季報)~13.5億円(炎)
2015.12期E17.0億円(炎)→効果的M&Aが成長スピードを速める


【アドソル日進(3837)の場合】

時価:1361円 時価総額:20.7億円

1.要約
 コンピュータ産業の黎明期である1976年に日進ソフトウェアとして設立された同社は独立系のシステム開発会社として社会システムを中核に大手企業や公 共向けの情報システムの開発及びソリューションの提供並びに商品化と販売を行う企業として着実な歩みを続けています。ICT産業の急速な発展が見られた 2000年代に入り、事業活動が活発化。2003年には社名をアドソル日進とし、2007年2月にはJASDAQ市場への上場を果たしました。特定のメー カーやユーザーに依存し過ぎない中立的な立場を持った独立系企業としての強みを発揮し、創業以来、顧客の特有な業務に対応するノウハウを長期間蓄積してき た点が同社の強みとなっています。また、優秀な開発スタッフを抱え、特徴あるコア技術を中核としたソリューションを次々と提供するとともに社会インフラの システム構築を数多く手掛け、エネルギー、鉄道、道路、通信、金融等におけるICT企業としての事業基盤を構築してきました。
 企業の基幹システムや鉄道、道路などの公共交通機関の管理システム、ガスや発電などのエネルギー・ライフライン、広域防災や医療ネットワークに加えて金 融機関等のサービスに至るまで暮らしに関わる普遍的な社会インフラの幅広い分野に同社のノウハウと技術が活用され、ユビキタス社会へ向けての新たな技術開 発や新商品開発にも結びついています。高度成長時代から少子高齢化時代を迎え、戦後構築された社会インフラが各方面で老朽化しているとの指摘がなされてお り、昨今話題のアベノミクスにおいても成長戦略の中に社会インフラの再生復活が盛り込まれています。
 同社としても今後はスマートグリッド、スマートハウス、ビッグデータ、M2M(マシンTOマシン)、クラウド、高齢化社会(医療、介護)をキーワードとした新たな事業領域、新たなICT需要を取り込む計画で中・長期的な成長が期待されます。

2.評価
 2007年の上場時(公募価格3150円)につけた株価の最高値は5380円で、その際の時価総額は約40億円でした。その後、リーマンショックが起き て一気に景気が悪化したこともあり成長期待の高かった同社の業績も2008年3月期をピークに2010年3月期のボトムまで低迷し、連れて株価も2010 年には582円という安値をつけ、時価総額は8.8億円まで落ち込みました。業績の変動による株価の変動が如実に結果として表れており、今後も業績の変動 に伴って株価の変動を生じる可能性があります。新中期計画では2016年3月期に年商100億円、営業利益5億円を掲げており、最終年度の予想EPSは 212円を見込んでいます。これに対して最新四季報は2015年3月期の業績としてこの数字を掲げており、明らかに間違いだと推察されますが、前倒しでの 達成を四季報の記者がつかんだのではないかと勘繰りたくなります。上場後6年を経過して業績への自信の表明とも相成って今後の業績進捗とともに株価の上昇 トレンドが期待されますが、先般の調整局面では流動性がない銘柄だけに989円まで売られ一気に直近高値1700円から42%の下落となりました。そこか らは先週末の1520円まで一気に戻るなど乱高下。流動性のない中の株価変動が見られます。なお、同社は配当性向30%を目標としており、前期実績の1株 当たり配当金25円から業績の拡大が期待される2016年3月期は64円を見込んでいます。現状の時価総額は20億円。アベノミクスに関連した長期的な成 長性とPMP(プロダクトマネージャープロフェッショナル)の数が80名以上と豊富な点を評価すれば割安だと判断されます。問題は流動性にありますが、株 式分割などの施策でカバーできると見られます。

3.過去のピーク業績
 2008.3期売上高84億36百万円、営業利益4億31百万円、経常利益4億10百万円、当期利益2億30百万円が上場時の業績のピーク。 2016.12期の売上高100億円、営業利益5億円でこのピークを更新する見込み。来期に更新する勢いがあるかは今期次第ながら高い技術力に裏打ちされ た企業で早期クリアの可能性あり。問題はその後の展開で、事業規模が一段とスケールアップする可能性があります。


 上昇相場の際に例年以上に売れたとされる四季報ですが、今回の四季報の売れ行きはどうでしょう。個人投資家の皆さんが市場離れを起こさない程度に売れていれば、また市場トレンドが復活するのかも知れませんが果たしてどうでしょうか。

 ところで皆さんは1-5月に大きく上昇した銘柄の業績をチェックされていますか。最新四季報が指摘できていない点がそれぞれの企業ごとに存在しています。

 日本コンセプト(9386)は第1四半期の好業績で1940円まで買われた後、6月7日に1286円まで売り込まれましたが、その後は1400円から 1500円まで戻っています。円安メリットが評価されての高値でしたのである程度は致し方ありませんが、第1四半期で既に通期の50%の収益を確保してお り、海外景気の回復を念頭に置くと直近になり1ドル=94円の円高水準にはなっていて為替メリットによる利益が剥落した可能性はありますが1200円台は 売り込まれ過ぎの感触です。今後も為替の変動に株価も連動する可能性は否定できませんが、今後の中長期的な成長を考えますと過度な悲観は禁物です。

 サイネックス(2376)株も5月に1144円という異常な株高が見られましたが、基本的な業績トレンドに変化はないようです。ここに来て株価上昇は一 気に沈静化し株価はかつて続いたように低迷状態ながら、業績のトレンドは不変であることから、再評価の復活待ちの状況です。既に時価総額は自社株を除く ベースで28億円となり、保有する現預金並みになっていますのでこれ以上の下落は余程の業績悪化がない限り無理があります。
 ヤフーに付与した新株予約権の行使期限が今月26日に接近していますが、果たしてどのようになるでしょうか?実質オーナーである村田社長の意向が気になるところです。

(炎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)