株式市場には多くの企業が上場していますが、その中でも比較的地味なイメージで目立たない企業に今後はスポットを当てていきたいと思います。

 かつて行った試みですが、指標面で低評価に甘んじている類似企業2社を並べて比較してみたいと思います。

 今回は専門工事業界からピックアップした2社を比較してみます。


大成温調(1904)VSテノックス(1905)

 コード番号がお隣同士の両社ですが、上場も1991年で一緒。上場月は大成温調が12月、テノックスが11月とひと月違い。行っているビジネスは同じ建設業ながら空調・給水工事と建設基礎工事で異なります。
 類似点としては両社とも実質無借金経営であるということ。豊富な現預金を保有し、財務の健全性は光っています。

 建設業界で大成というと大成建設を思い浮かべがちですが大成温調も中堅企業ながら厳しい競争を勝ち抜いてきた有力空調・給水工事会社です。
 中国、ベトナムやハワイ、インド、フィリピンへと事業エリアを拡大。日本に留まらず世界を相手にビジネス展開を図っている点では大手ゼネコンに勝るとも劣らない企業だと言えます。
 類似企業としては高砂熱学、朝日工業、三機工業、テクノ菱和などが挙げられます。

 一方でテノックスは建設基礎工事の大手で独自のテノコラム工法を武器に公共工事から民間ビル、住宅までを対象にビジネス展開を図っています。研究開発に 注力しており、建設残土を50%も減らせるという新工法を今後の成長のベースに置いており、東北復興や東京オリンピックに向けた需要を取り込む方針です。
 類似企業としては日本基礎技術、ライト工業、日特建設などがあります。

 さあ、今あなたならどちらを投資対象として選びますか?

 皆さんのご意見をお待ち申し上げます。果たしてどちらに軍配が上がりますか?

粗利率の高いテノックスですか?

受注増加率の大きな大成温調ですか?


・大成温調(1904)

時価442円
時価総額63.5億円
実質時価総額57.9億円

実質現預金(期末現預金―有利子負債)86.2億円(株価=658円)

上場来高値5660円
(1991年12月9日、上場後の発行済み株式数増加率50%)

実績BPS1386円 PBR0.32倍

今3月期予想売上高530億円
同経常利益5.5億円
予想EPS26.7円

第3四半期実績売上高344億円 同経常利益▲1.19億円
第3四半期粗利率8.5% 販管費率9.3%
昨年第4四半期売上高200億円 同経常利益13.67億円
第3四半期連結受注高463億円(+39.8%)
従業員数907名(平均年齢42.8歳、平均年収565万円)
従業員一人当たり売上高5,843万円
外国人持ち株比率3.4%


・テノックス(1905)

時価606円
時価総額46.6億円
実質時価総額41.8億円

実質現預金(期末現預金―有利子負債)50.7億円(株価=735円)

上場来高値8700円
(1992年2月7日、上場後の発行済み株式数増加率31%)

実績BPS1162円 PBR0.52倍

今3月期予想売上高210億円
同経常利益10億円
予想EPS59.2円

第3四半期実績売上高156億円 同経常利益8億円
第3四半期粗利率14.1% 販管費率9.3%
昨年第4四半期売上高 62億円 同経常利益3.84億円
第3四半期連結受注高157億円(+9.2%)
従業員数382名(平均年齢43歳、平均年収588万円)
従業員一人当たり売上高5,497万円
外国人持ち株比率0.1%

(炎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)