これまでも述べてきましたように、国内企業業績は好調に推移しており、来年度(14年度)も営業利益ベースで2桁の増益が見込まれます。これは主要先進 国では突出して高い増益率です。日経平均株価で1万4000円台前半の水準は国際比較でも割安感が強まるものと考えます。
13日の日経夕刊のコラム「十字路」では、山口大学経済学部の城下賢吾教授が「米国 株で世界市場を読む」と題して、非常に興味深い見解を紹介していま す。ラパッチ・セントルイス大学教授らは、1980年から2010年まで30年間の日本を含む先進11カ国の月次投資収益率を使い検証したところ、先進国 の株価動向をより良く予想できるのは、自国の金利水準や配当利回りではなく、「米国株の月次投資収益率」との結論に至ったとのことです。米国株が他の先進 国株の先行指標となるわけです。
また、韓国の成均館大学のリー教授の研究でも、日本を含むアジア12市場の動きを予測する上で最も有益なのが、ダウ・ジョーンズの算出する米国株を対象にした株価指数だと結論づけています。
新興国中心に海外経済に対する不透明感が強まっていますが、米国の景気が変調をきたさない限り、日経平均で1万4000円台前半は押し目買いの好機と考 えます。日本のGDPで輸出が占める割合は15%程度であり、マクロ的には日本は内需主体の経済といえます。しかし、株式市場における時価総額、営業利益 の構成比などをみますと、自動車、電機・精密、機械など加工型製造業のウエートが高くなります。以前にも述べましたが、この3業種の業績が好転することが 日本株全体の業績動向を左右するといっても過言ではありません。
米国の景気回復(米国株の上昇)が円安および輸出型製造業の業績改善をもたらし、日本株全体の上昇につながる構図といえましょう。
(水島寒月)
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