今週(6月23日~27日)の東京株式市場は、日経平均株価で254円、率にして1.7%の下落となりました。
 米株式市場が軟調に推移したことや、為替がやや円高方向に動いたことなどが要因ですが、基本的には5月以降の上昇による短期的な過熱感の広がりが大きいといえます。ある意味、当然の調整といえそうです。

 5月以降の株式相場の復調の要因としては、それまでの相場の抑制要因が薄れたことが挙げられます。

 それは、

1)日銀の追加緩和への過度の期待
2)消費税増税の影響への懸念
3)企業側の14年度業績見通しが保守的なものとなること

などです。

 消費増税に伴う駆け込み需要の反動は当然ありますが、国内景気は底堅く推移しており、デフレ脱却へ向け、消費者物価も強含んでいます。「日銀の追加緩和 がなくとも景気は着実に上向きつつある」、「消費税増税の影響も想定に比べれば軽微にとどまりそうだ」といった安心感が広がりつつあり、企業側の業績見通 しも保守的ではありますが、概ね想定の範囲内に収まっています。

 13年度決算発表を踏まえたアナリスト予想は、自動車、電機・精密、機械などを中心に製造業が堅調に推移するとするものが多く、非製造業は電力・ガスを 除き、総じて控えめな予想でした。ところが、消費増税にともなう内需の落ち込みが軽微にとどまるとの見方から、非製造業、内需株の増額修正期待が高まって います。
 かなり強いエルニーニョの発生の兆しから冷夏になることで消費が失速するとの懸念もありましたが、ここへきて、逆に猛暑になるとの見通しも出てきました。
 設備投資の盛り上がりに加えて、7~9月期には公共工事も集中的に執行される見込みです。海外の地政学リスクは依然くすぶりますが、国内に関しては、懸念材料はかなり薄れてきた感があります。

(水島寒月)

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