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街のコンサルタント氏の過去配信ライブラリから、コラムを再編集して掲載いたします。
なお、内容は執筆当時の背景に基づいており、現在の状況と必ずしも一致しないことを予めご了承下さい。
(億の近道・2013/7/11配信号)
※注 2013年7月現在の内容ですので留意下さい。
投資信託の販売が好調のようで、最近では似たり寄ったりの新ファンドの広告を頻繁に目にすることや、「運用は大丈夫か?」と感じるファンドもあったため昨日この文章を書き終えたものの、今朝の紙面に投信統合の記事がありましたので少し加筆します。
販売会社(販売力のある大手銀行・証券)ありきの日本の投資信託業界の事情ゆえに、投資家のメリットがなおざりにされた運営がされてきました。売り易さ ばかりが優先され、大手金融傘下の運用会社(日本では大半が大手金融の子会社)は販売会社の言うなりで、その時その時に売り易い(沢山売れそうな)商品を 作り続けています。もちろん運用会社の役員陣は親会社(販売会社、金融業者)の天下りで占められ、親会社の顔色ばかり見つつ、言われるがままに商品を開発 しています。
そんな訳ですから、見栄えばかりでロクな運用しかせず、保有コストも高い商品が増え続けています。そんな中で今年からは、過去からのレコード(実績記 録)がある同様の商品があるにもかかわらず、中身がほぼ同じ金融商品が従来より高いコスト設定で新商品として沢山出てきています。
買った投信が値上がりすれば「利益確保」と称して売らされ(解約され)、値下がりすれば「今度良い商品が出ました」として売られる(乗り換える)ことで 残高を減らし続け、残高が数十億円にでも減れば真面な運用自体が出来なくなることと、解約に備えるために資産の大半がキャッシュで保持されるなどで、結果 として、一度大きく値下がりし、時間が経って資産が小さくなってしまった投信は、(待てど暮らせど)市場が回復しても基準価格は上がらずに信託報酬だけが 日々引かれ続けるという現象が起こります。
紙面では綺麗な書き方がされていますが、実質的には、小さくなって手間をかけるのも面倒なほど信託報酬も僅かなファンドを集めて、出来れば統合して大き くしてちゃんと運用し直すとともに管理コストも減らしたい訳です。もちろん、ただ解約を進めるだけでは資金流出に繋がりますし、市場環境や投資家の事情を 無視して売りを勧めれば今度は「適合性原則違反」として金商法違反を指摘されるため、今までは中々手が打てずにいました。
まあ、大手金融が監督官庁に相談して(二人三脚で)動ける建付けが出来たために、やっと記事になったと言う事でしょう。日経と言えば体制紙の代表であり、金融行政とも密接に絡んでいますので「あ、なるほど」と感じた次第です。
今春以降は堅調な国内株式市場に引っ張られるように株式関連の投資信託の販売が好調となり、4月以降においては設定上限額に届くオープン投信が増えてい るようです。それに伴って新規設定の投資信託も増加しており、新聞広告等でも頻繁に目にするようになりました。大手金融ほど「ここぞとばかりに」全面広告 を打ち、販売推進をしています。まあ、大手銀行にとっては預金に置いておかれても1円も儲かりませんから有効活用したいのですね。投信になれば黙っていて も毎年1%内外の収益が入りますし、販売時には2~3%も儲かりますから。とは言え良く見ると、今までとどこが違うのか?・・・が不明な「新商品」が以前 より高い販売時手数料と信託報酬を引っ提げて出回っています。
以前から書いていますが、日本の投資信託では新規設定(新ファンド)がやたらと多いです。その主な理由として2点があげられます。
1)過去の類似の投信のパフォーマンス(運用実績)が悪過ぎて、既存の投信では買ってくれない、またはセールストークが組みにくい。
2)日本人の新しい物好きに付け込んだ、エコロジーやエネルギー関連だとして、現時点では海の物とも山の物ともつかない新商品を作っては、イメージだけを前面に押し出す手法のテーマファンドが売り易かった。
そして、特に2000年代に入ってからは、配当金の高さを売りにした毎月分配型や、海外資産を組み入れた投信が人気を博しました。
※毎月分配や為替のリスクを取らせるばかりが良い訳では全く無いのですが、高齢者に「毎月高い分配金が入りますョ~」「年金替わりになりますョ~」との詐 欺もどきのセールストークや資料を使って金をかき集め、当局もそれを許していました(余りに杜撰でクレームが増えた為ようやく規制を強めましたが)。
そんな日本の投資信託事情ですが、それらの中で、幾らか不安に感じるものが散見されます。ここからはあくまでも個人的な感想であり裏が取れた訳ではあり ませんが(と言うか具体的に書けませんため)、これはまともな運用をしているのかと首をかしげたくなるような投信もあります。
それらファンドの運用経過や組み入れを時系列で追っていくと気になる部分が見えて来ます。業界の幾人かは既に気が付いているのかも知れませんが、本当に公正なそして問題の無い運用をしているのか?小職の感覚では何ともキナ臭い。
単にパフォーマンスが良いからと投資するには少々怖いと言うべきか?…例えば、大型の資金で比較的時価総額の小さな銘柄ばかりに投資すれば株価は上が り、基準価格も上がり易くなりますが、果たしてイグジットは大丈夫なのか?オーソドックスなネーミングの公募ファンドなのに、何故に運用ポリシーぎりぎり と感じるほどの偏った投資をするのか?なども気になります。
毎度のことながら被害者が出てから、または不正が公になってから当局が動き出すようでは、またしても日本の金融市場が信頼性を失います。
今日明日に何が起こると言う話では無いのかもしれませんが、国内金融市場の将来のためにも、監督庁等の当局に対しては一層の調査力の厚み、業務クオリ ティーの向上を望みます。もちろん株式及び債券を含めて時価1,000兆円以上の市場を監視するのですから、それこそもっと沢山の予算を組み、そして人材 を登用して然るべきと考えます。
毎度しつこいですが、地元への利益誘導の為に、無用な道路やダムに何千億円もかけている場合ではありません。
(街のコンサルタント)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)
なお、内容は執筆当時の背景に基づいており、現在の状況と必ずしも一致しないことを予めご了承下さい。
(億の近道・2013/7/11配信号)
※注 2013年7月現在の内容ですので留意下さい。
投資信託の販売が好調のようで、最近では似たり寄ったりの新ファンドの広告を頻繁に目にすることや、「運用は大丈夫か?」と感じるファンドもあったため昨日この文章を書き終えたものの、今朝の紙面に投信統合の記事がありましたので少し加筆します。
販売会社(販売力のある大手銀行・証券)ありきの日本の投資信託業界の事情ゆえに、投資家のメリットがなおざりにされた運営がされてきました。売り易さ ばかりが優先され、大手金融傘下の運用会社(日本では大半が大手金融の子会社)は販売会社の言うなりで、その時その時に売り易い(沢山売れそうな)商品を 作り続けています。もちろん運用会社の役員陣は親会社(販売会社、金融業者)の天下りで占められ、親会社の顔色ばかり見つつ、言われるがままに商品を開発 しています。
そんな訳ですから、見栄えばかりでロクな運用しかせず、保有コストも高い商品が増え続けています。そんな中で今年からは、過去からのレコード(実績記 録)がある同様の商品があるにもかかわらず、中身がほぼ同じ金融商品が従来より高いコスト設定で新商品として沢山出てきています。
買った投信が値上がりすれば「利益確保」と称して売らされ(解約され)、値下がりすれば「今度良い商品が出ました」として売られる(乗り換える)ことで 残高を減らし続け、残高が数十億円にでも減れば真面な運用自体が出来なくなることと、解約に備えるために資産の大半がキャッシュで保持されるなどで、結果 として、一度大きく値下がりし、時間が経って資産が小さくなってしまった投信は、(待てど暮らせど)市場が回復しても基準価格は上がらずに信託報酬だけが 日々引かれ続けるという現象が起こります。
紙面では綺麗な書き方がされていますが、実質的には、小さくなって手間をかけるのも面倒なほど信託報酬も僅かなファンドを集めて、出来れば統合して大き くしてちゃんと運用し直すとともに管理コストも減らしたい訳です。もちろん、ただ解約を進めるだけでは資金流出に繋がりますし、市場環境や投資家の事情を 無視して売りを勧めれば今度は「適合性原則違反」として金商法違反を指摘されるため、今までは中々手が打てずにいました。
まあ、大手金融が監督官庁に相談して(二人三脚で)動ける建付けが出来たために、やっと記事になったと言う事でしょう。日経と言えば体制紙の代表であり、金融行政とも密接に絡んでいますので「あ、なるほど」と感じた次第です。
今春以降は堅調な国内株式市場に引っ張られるように株式関連の投資信託の販売が好調となり、4月以降においては設定上限額に届くオープン投信が増えてい るようです。それに伴って新規設定の投資信託も増加しており、新聞広告等でも頻繁に目にするようになりました。大手金融ほど「ここぞとばかりに」全面広告 を打ち、販売推進をしています。まあ、大手銀行にとっては預金に置いておかれても1円も儲かりませんから有効活用したいのですね。投信になれば黙っていて も毎年1%内外の収益が入りますし、販売時には2~3%も儲かりますから。とは言え良く見ると、今までとどこが違うのか?・・・が不明な「新商品」が以前 より高い販売時手数料と信託報酬を引っ提げて出回っています。
以前から書いていますが、日本の投資信託では新規設定(新ファンド)がやたらと多いです。その主な理由として2点があげられます。
1)過去の類似の投信のパフォーマンス(運用実績)が悪過ぎて、既存の投信では買ってくれない、またはセールストークが組みにくい。
2)日本人の新しい物好きに付け込んだ、エコロジーやエネルギー関連だとして、現時点では海の物とも山の物ともつかない新商品を作っては、イメージだけを前面に押し出す手法のテーマファンドが売り易かった。
そして、特に2000年代に入ってからは、配当金の高さを売りにした毎月分配型や、海外資産を組み入れた投信が人気を博しました。
※毎月分配や為替のリスクを取らせるばかりが良い訳では全く無いのですが、高齢者に「毎月高い分配金が入りますョ~」「年金替わりになりますョ~」との詐 欺もどきのセールストークや資料を使って金をかき集め、当局もそれを許していました(余りに杜撰でクレームが増えた為ようやく規制を強めましたが)。
そんな日本の投資信託事情ですが、それらの中で、幾らか不安に感じるものが散見されます。ここからはあくまでも個人的な感想であり裏が取れた訳ではあり ませんが(と言うか具体的に書けませんため)、これはまともな運用をしているのかと首をかしげたくなるような投信もあります。
それらファンドの運用経過や組み入れを時系列で追っていくと気になる部分が見えて来ます。業界の幾人かは既に気が付いているのかも知れませんが、本当に公正なそして問題の無い運用をしているのか?小職の感覚では何ともキナ臭い。
単にパフォーマンスが良いからと投資するには少々怖いと言うべきか?…例えば、大型の資金で比較的時価総額の小さな銘柄ばかりに投資すれば株価は上が り、基準価格も上がり易くなりますが、果たしてイグジットは大丈夫なのか?オーソドックスなネーミングの公募ファンドなのに、何故に運用ポリシーぎりぎり と感じるほどの偏った投資をするのか?なども気になります。
毎度のことながら被害者が出てから、または不正が公になってから当局が動き出すようでは、またしても日本の金融市場が信頼性を失います。
今日明日に何が起こると言う話では無いのかもしれませんが、国内金融市場の将来のためにも、監督庁等の当局に対しては一層の調査力の厚み、業務クオリ ティーの向上を望みます。もちろん株式及び債券を含めて時価1,000兆円以上の市場を監視するのですから、それこそもっと沢山の予算を組み、そして人材 を登用して然るべきと考えます。
毎度しつこいですが、地元への利益誘導の為に、無用な道路やダムに何千億円もかけている場合ではありません。
(街のコンサルタント)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)