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先読み投資術
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先読み投資術

2014-07-30 00:38
    四半期決算が発表されるようになって忙しくなったと実感している投資家の皆さんにとって3月期決算企業の第1四半期の発表はどのように映っているでしょうか?

     お手持ちの銘柄の第1四半期は8月上旬に集中しているかと思います。第1四半期決算は年間の4分の1に該当し、期初に示している通期計画の進捗度がどの程度なのかを見て通期を占うことになります。

     多くの企業はいくら第1四半期が好調で進捗が良くても通期を変えるまでには至らないと考えられます。
     また、多少悪くても通期を変えないままにするケースが多いのかと思います。

     こうした第1四半期決算の発表前の株価評価と発表後の株価評価では内容によってかなり違ってきます。
     第1四半期が良かったとしても通期を変えないのであれば、株価にはさほど変化はないのかも知れませんが、当然のごとく企業はその好調の背景などを短信で コメントします。更には第1四半期が良くて通期を変えない理由もコメントします。結果としては進捗度の高い企業の通期業績は上方修正の可能性が高まりま す。

     株価は一旦それを織り込みにいくものと考えられます。反対に進捗度が低い企業は投資家の評価は落ちてしまいます。これも企業からその背景について説明がなされます。それが妥当かどうかを投資家は見極める必要があります。

     決算発表の内容を分析し、一歩先を読み解くことが個人投資家の皆さんにも必要になりますが、既に投資され株主となっておられる投資家であれば短期の決算 内容に余り過剰反応し過ぎないで企業から発信される情報を冷静に見守りながらポートフォリオを構築していくことにしましょう。

     四半期決算を先読みする投資にはその想定される内容が株価にどのように折り込まれているかを考えておく必要があります。内容が良くても既に株価に折り込まれている場合もありますが、株価にまったく反映されないまま推移している場合もあります。
     サプライズがあるかどうかを推理してその自信があれば先回りして投資することも可能ですが、予想が外れると結果は残念なものとなります。発表後の内容分析をして基本的には取り組みたいところです。


    【プラスのサプライズ決算例】

    アクセル(6730)の場合

     主にパチンコ・パチスロ機向けのグラフィックLSIのファブレスメーカーであるアクセル(6730)は7月25日に第1四半期決算を発表しました。

     期初に発表した業績見通しは中間期が売上高53億円(▲6.6%)、経常利益7億円(▲21.9%)、通期が売上高105億円(▲4.9%)、経常利益 10.5億円(▲45.9%)というものでしたが、第1四半期の業績は売上高33億26百万円(+5.5%)、経常利益8.9億円(+71.9%)となり ました。期初計画の経常利益7億円を第1四半期で大きく超えているにも関わらず、中間期も通期も修正はしていません。

     しかも受注残が第1四半期末現在で33億26百万円ありますので、中間期の売上は53億円の計画からよほどのことがない限り上回る可能性が高いと見られます。

     パチンコなどの遊技機業界の市場縮小が言われる中で同社の業績も停滞を余儀なくされており、期初計画が慎重なのは仕方ないとしても、第1四半期のこの業績をどう見たら良いのでしょうか。会社側の説明が既になされていますが投資家は納得がいかないだろうと思われます。

     パチンコ機の生産状況次第ですが、同社は市場縮小の中で次世代製品の投入などで中長期的には同市場でのシェアを高めていこうとしています。遊戯機器向け の依存度を下げるために、デジタル簡易無線向け製品の投入などを行っています。中長期的な成長性と足下の業績動向とをどう評価し、株価にどの程度折り込ま れているかを吟味してみる必要があります。(時価:1528円)

     株価は25日の後場に1400円台後半から1500円台前半にやや出来高を伴って上昇。決算は3時半に発表されていますのでインサイダー的な要素が感じられます。


    【これから発表予定の第3四半期内容が注目される事例】

    第3四半期発表を8月8日に控えるアビスト(6087)

     自動車向け機械や機械部品の設計開発アウトソーシング企業であるアビストは昨年12月に上場したばかりの企業。45万株の公募(公募価格3450円⇒時 価2320円)増資を行い15億円の資金を得ていますが、上場後の株価は時価2300円前後と低迷しています。同社は今9月期決算の中間決算を5月14日 に発表し、期初計画の2億88百万円に対して3億56百万円と計画を上回っています。但し、通期の業績計画は据え置いています。

     アビストは水素水事業を新たに開始しており、そのために専用工場を熊本に建設。その立ち上げ費用を見込んで今期の経常利益が前期比若干のマイナスとなる と計画していますが、第2四半期までの業績が堅調であった点が第3四半期で更にどこまで進捗したかを確認することができます。

     下期の経常利益は2億81百万円の計画ですので下期は比較的余裕のある決算となるものと期待されます。


     皆さんにはこうした短期、中長期の業績動向を先読みしながら投資されることで成果を高めて頂きたいと思います。

    (炎)

    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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