今週(7月28日~8月1日)の東京株式市場は、日経平均株価で65円、率にして0.4%の上昇となりました。
 週前半は14年度第1四半期(14年4~6月)の好調な決算を背景に買いが入り、29日には終値(1万5618円)で1月23日以来約半年ぶりの高値を付けましたが、後半は米国株の調整などを受けて反落しました。

 米国では、14年4~6月期のGDPが前期比年率4.0%増と市場予想(同3.0%増)を上回りました。個人消費、民間設備投資など民間需要が回復を牽 引しています。年後半も概ね3%程度の成長が続く見通しであり、米国経済は改善基調を回復したといって宜しいかと思います。
 米国株はこれまでたびたび、高値警戒感が取り沙汰されていましたが、今回の調整で下落基調に転じることはないものと考えます。アルゼンチンのデフォルト 懸念、マレーシア航空機撃墜に伴うロシアへの経済制裁強化に伴う欧州の景気減速懸念など不安定要素は目白押しですが、堅調なマクロ景気、企業業績を背景に 上昇基調を回復するのではないでしょうか。

 日本株は米国株の下落によりスピード調整を余儀なくされましたが、その割には底堅いといえます。米国金利の上昇・円安・日本株高のパターンが戻りつつあり、企業業績の好調を受けて、当面は底堅い推移が見込まれます。
 前回も触れましたが、消費増税による景気への影響が想定より軽微にとどまるとの見方から、内需関連企業の業績が期初の想定に比べ上振れすると私自身も見 ていましたが、これまでの決算発表をみると、自動車など外需型加工製造業の業績が思いのほか好調です。トヨタなど大型企業の決算でも好調が確認できれば、 日本株は1万6000円台乗せから、上値を追う動きが続くのではないでしょうか。


【株式指標について =ROE その2=】

 自己資本利益率(ROE)に関し、今回も触れたいと思います。
 14年1月より導入された「JPX日経インデックス400」は6月末の実績をもとに、8月7日に銘柄入れ替えが発表されます。今後、さらに株式市場での関心は高まるものと思われます。
 これまで、国内企業はROEを高めるという意識が大きく欠如していましたので、それを経営の意識の中に喚起するという点においては意味のあることと考えていますが、企業の成長ステージなどを無視して、「何がなんでもROE」というのはいかがなものかと思います。

 東京海上アセットマネジメントのチーフストラテジストの平山賢一氏は、澤上篤人氏、草刈貴弘氏との共著「インフレ時代の資産運用塾」 の中で、「日本には営業利益の半分を研究開発に使うような企業がたくさん存在しますからね。本当であれば、ROEを世界標準の15%に出来るのに、あえて 8%に抑えて利益率を半分にし、研究開発にお金を使う。これを上場企業がやっているのが日本です。ドイツにも似たようなことをやっている企業があります が、大半は非上場企業。研究開発に熱心な企業にわれわれは資金を投入しやすいという点でも、日本の株式市場はすごく面白いですね。」と述べています。
 要は、成長投資と株主還元のバランスではないかと筆者も考えます。

(水島寒月)

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