1)ウクライナを巡る米欧とロシアの経済制裁の応酬など地政学リスクの高まり
2)米国経済の堅調な回復に伴う米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ観測
の一方、欧州経済の減速による欧州中央銀行(ECB)の一段の金融緩和観測など、主要中銀の金融政策の先行き不透明、など諸々の要因による欧米株式の下 落を受けて、東京市場も調整色を強めていましたが、8日にオバマ米大統領によるイラクへの限定空爆承認を受けて、投資家のリスク回避姿勢が一挙に強まり、 8日の日経平均株価は前日比454円の下落となりました。
来週は、13日に日本の14年4~6月期GDP(1次速報)、14日にユーロ圏の14年4~6月期GDP(速報値)が発表されます。国内の場合は、消費 増税に伴う駆け込み需要の反動減によりマイナス成長となる見通しですが、ここへきてマイナス幅がより拡大するとの見方が浮上しています。4~6月期のデー タは既に過去のものですから、それほど神経質になる必要はないと思います。
ただ、過去のデータとはいえ、「足元の景気が思わしくなく、やはり消費増税によるネガティブな影響は大きかった」との見方が浮上するなか、そうした見方 を補強するような数値が出ることは株式市場にとりマイナスです。ちなみに、8日現在でQUICKが集計した28社の4~6月期GDPの予想の中心値は、 「前期比年率7.2%のマイナス」です。予測のレンジは「同9.3%のマイナスから同6.0%のマイナス」です。
また、欧州経済も減速しています。財政問題による低迷から回復しつつありましたが、90年代の日本同様、不良債権処理が進まないなか、景気の回復力は脆 弱であり、地域的に近いウクライナ情勢の緊迫化なども影響しています。FRB、日銀が量的緩和政策を採用するなか、ECBのみ導入していませんでしたが、 早晩採用に踏み切らざるを得ないと考えます。一方、米国はFRBが量的緩和の縮小を着実に進めており、反対に利上げ時期が取り沙汰されています。このあた りの思惑により、金融資本市場では神経質な展開が続きそうです。
国内株式ですが、主要国の市場との比較でも割高感はなく、企業業績も堅調であることに加え、公的年金の運用改革に伴う下値支えも期待できます。個別の好 業績銘柄、ロボット、水素エネルギー、東京再開発などテーマ性の銘柄、株主還元を強化する銘柄などを物色する好機ではないでしょうか。
(水島寒月)
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