当面は、振幅の大きな相場展開が続くとみられますが、先週も触れましたように、ヘッジファンドなど短期的な運用資金が需給面での節目を通過したこともあり、株式相場は堅調な企業業績などを支えに、徐々に落ち着きを取り戻すものと予想します。
ただ、2閣僚の辞任、支持率の低下など、安倍内閣の政権基盤が揺らいでいる現状は、相場にとり好ましくないものと捉えています。12年末以降の国内株式相場の上昇には、「アベノミクス」という、かつてない鮮明なマクロ経済政策が大きく寄与してきたからです。
年末にかけ、安倍内閣は、内政では消費税再増税の可否の最終判断、外交では、北朝鮮の拉致問題の解決、11月のAPECにおいて日中、日韓首脳会談が実現できるかどうか、などの難題を解決しなければなりません。
22日の記者会見で菅官房長官が、「消費再増税は11月17日のGDP速報値などを踏まえて判断する考えに変わりはない」と述べたことに関し、従来の 「12月8日のGDP改定値をみて判断する」から変化したことで、「再増税の見送りないし凍結に踏み切る」のシグナルと判断する見方も一部で出ています。
来15年を展望しても、地方統一選、安倍首相の自民党総裁としての任期到来(9月)などに加え、戦後70周年、日韓国交50周年、対華21カ条100周 年など外交面でも微妙な時期となります。いわば、「政治の季節」を迎えるなか、安倍首相の政権運営が、大きな注目点となります。
(水島寒月)
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