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市場に嵐が吹いた10月も今週で終わろうとしています。
特に大荒れした10月15は、欧米の11月決算を前に45日前のために、大きな売りが出て市場が動揺したものとされています。その後は、米経済指標や企 業業績で好調な数字が伝わったことや、懸念されていたドイツやEUの経済指標で予想ほど悪化していなかったなどを手掛かりに売りポジションのカバーや安値 での買い出動もあり、昨日28日のニューヨーク市場は17000ドルを回復、日経平均株価も29日前場で15500円台を回復しました。
ドル円為替相場は、15日に一瞬付けた105.28を底に、リスク回避姿勢の緩和や米国の長期金利の戻しを背景に108円台まで戻してきました。
とは言え、今月前半の変動激しい相場の後なので、先週からの反転相場には疑心暗鬼があるのも確かです。また、30日日本時間早朝に結果発表予定の米国の 金融政策決定会合FOMC、30日の米国7~9月期のGDP発表、31日には日銀政策決定会合などの重要イベントが残っていますので、慎重さを緩めずに行 きたいと思います。
28日、29日に行われている米国のFOMCは終了後にイエレン議長の記者会見がなく、経済予測の公表もありませんが、声明文に重要な文言の変更やコメントが掲載されれば、インパクトは大きいので要注意です。
今回のFOMCの注目点は、まず、量的緩和第三弾QE3が終了することを決めるかどうか。大方の予想は終了するとなっていますが、万一、量的緩和として債券購入を続けるという声明が含まれた場合には大きなインパクトがあります。
もし量的緩和を終了しないという議論があるとすれば、背景は物価動向と言われています。連邦準備銀行FRBの政策目標は、雇用と物価の安定の両輪です。 現在の米国の物価動向は目標値2%を下回る1.5%程度ですので、声明文で物価動向への懸念が示される可能性はあります。
次の注目点は、これまで声明文に掲載されていた量的緩和終了後も「相当な期間」ゼロ金利政策を続けるのが適切とする文言が削除されるかどうか、です。さ きにIMFも指摘したように米国以外の主な国の経済成長率が鈍化する中で、FRBもすでに前回の会議でも議論が上がっているように、海外の悪影響に配慮し て文言は従来通りではないかと推測されます。ただ、予想が外れた場合のリスクは想定しておいた方がよさそうです。
さて、米国の債券市場は為替市場を見る上でも、株式市場を見る上でも重要な指標です。
米債10年物利回りは、今月15日に1.86%を瞬間つけました。この水準は2013年5月以来の低い利回り(債券高)です。その後、市場の安定と共 に、利回りは急速に回復して直近は2.29%まで戻してきました。量的緩和を織り込むような2%割れを示現した米10年債は利回りを戻してはいますが、 50日移動平均2.40%、同100日2.46%、同200日2.56%には未だ達しておらず、まだ利回りベースで上値が重い状態です。他市場を見る上 で、今後、債券利回りが良い意味(リスク選考に動く等)で本格的に上昇するのかを良く見ておく必要があります。
一方、今後の金融政策を織り込むと言われる2年債の利回りは、0.39%水準で推移。先月、利上げを織り込んだ時には、0.6%近くまで上昇していまし たので来年前半の利上げ予想は減り、直近の利上げ確率は来年後半に行われるだろうと予想する向きが多数となっています。現在は、中立的に見る向きが多く なったと言えるでしょう。
為替市場では、9月末に比較して、昨日28日までの対ドルで最も上昇したのは南アフリカ・ランド(+4%強)ニュージーランド・ドル(+1.42%)つ いで日本円(1.38%)でした。9月末がドル高基調でしたので、全般的に戻してきたと言えます。最安値をつけたトルコリラや南アフリカランドなどの新興 国通貨が10月になってから上昇率が高くなっているのは興味深いところです。
一方で、選挙で現大統領が再当選したブラジルのレアルは下落しているなど新興国通貨もまちまちの動きです。また、中国元は、今年6月の安値を底に上昇基 調を続けています。背景には、金融政策の自由化、元の国際化があると思います。9月には、人民元とユーロの直接取引が始まり、英国が人民元でソブリン債を 出すなど、市場が広がりを見せつつあります。
最後は、ドル円相場についてです。8月中旬までの101~103円レンジを脱して、110円まで一気に上昇したドル円でしたが、110円水準では米国サ イドからはドル高けん制発言、日本サイドでも円安けん制発言が出て、上値が徐々に重くなり、10月中旬のリスク回避の動きの中で105円台まで下落しまし た。
上昇も反落も、相当なスピードで進んだので、時間調整の意味でも当面は105~110円のボックス相場が続くものと思われます。
今後の相場を見る上でのポイントは、引き続き米国経済、加えて欧州経済の影響に要注目です。一方、円サイドでは、9月も予想以上に増えた貿易収支の累積 赤字、金利の一部マイナス化(日銀の短期国債オペ)、異次元の金融緩和状態に加えて、円安水準と言われる昨今でも増える日本企業による海外企業、海外拠点 への投資による外貨買いは円安の大きな背景の一つでしょう。
為替水準というよりも、今後を見据えて日本市場から海外に軸を置いて行く企業戦略が続いている(これからも続く)ことにも注目しておく必要があるでしょう。
とはいえ、相場は様々な要因で激しく上下します。特に、今年は大きく相場水準が変わった昨年のエネルギーを調整するようなボックス圏での動きが主流で す。ボックス相場では、落ちたところを拾い、舞い上がったところでは手を引いておくのが戦略かと思います。相場での落穂拾いは恐怖感との葛藤になります。
自分の資金と心理を上手く管理する修行は続きそうです。頑張りましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*10月29日午後13時執筆
本号の情報は10月28日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容および拙見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
特に大荒れした10月15は、欧米の11月決算を前に45日前のために、大きな売りが出て市場が動揺したものとされています。その後は、米経済指標や企 業業績で好調な数字が伝わったことや、懸念されていたドイツやEUの経済指標で予想ほど悪化していなかったなどを手掛かりに売りポジションのカバーや安値 での買い出動もあり、昨日28日のニューヨーク市場は17000ドルを回復、日経平均株価も29日前場で15500円台を回復しました。
ドル円為替相場は、15日に一瞬付けた105.28を底に、リスク回避姿勢の緩和や米国の長期金利の戻しを背景に108円台まで戻してきました。
とは言え、今月前半の変動激しい相場の後なので、先週からの反転相場には疑心暗鬼があるのも確かです。また、30日日本時間早朝に結果発表予定の米国の 金融政策決定会合FOMC、30日の米国7~9月期のGDP発表、31日には日銀政策決定会合などの重要イベントが残っていますので、慎重さを緩めずに行 きたいと思います。
28日、29日に行われている米国のFOMCは終了後にイエレン議長の記者会見がなく、経済予測の公表もありませんが、声明文に重要な文言の変更やコメントが掲載されれば、インパクトは大きいので要注意です。
今回のFOMCの注目点は、まず、量的緩和第三弾QE3が終了することを決めるかどうか。大方の予想は終了するとなっていますが、万一、量的緩和として債券購入を続けるという声明が含まれた場合には大きなインパクトがあります。
もし量的緩和を終了しないという議論があるとすれば、背景は物価動向と言われています。連邦準備銀行FRBの政策目標は、雇用と物価の安定の両輪です。 現在の米国の物価動向は目標値2%を下回る1.5%程度ですので、声明文で物価動向への懸念が示される可能性はあります。
次の注目点は、これまで声明文に掲載されていた量的緩和終了後も「相当な期間」ゼロ金利政策を続けるのが適切とする文言が削除されるかどうか、です。さ きにIMFも指摘したように米国以外の主な国の経済成長率が鈍化する中で、FRBもすでに前回の会議でも議論が上がっているように、海外の悪影響に配慮し て文言は従来通りではないかと推測されます。ただ、予想が外れた場合のリスクは想定しておいた方がよさそうです。
さて、米国の債券市場は為替市場を見る上でも、株式市場を見る上でも重要な指標です。
米債10年物利回りは、今月15日に1.86%を瞬間つけました。この水準は2013年5月以来の低い利回り(債券高)です。その後、市場の安定と共 に、利回りは急速に回復して直近は2.29%まで戻してきました。量的緩和を織り込むような2%割れを示現した米10年債は利回りを戻してはいますが、 50日移動平均2.40%、同100日2.46%、同200日2.56%には未だ達しておらず、まだ利回りベースで上値が重い状態です。他市場を見る上 で、今後、債券利回りが良い意味(リスク選考に動く等)で本格的に上昇するのかを良く見ておく必要があります。
一方、今後の金融政策を織り込むと言われる2年債の利回りは、0.39%水準で推移。先月、利上げを織り込んだ時には、0.6%近くまで上昇していまし たので来年前半の利上げ予想は減り、直近の利上げ確率は来年後半に行われるだろうと予想する向きが多数となっています。現在は、中立的に見る向きが多く なったと言えるでしょう。
為替市場では、9月末に比較して、昨日28日までの対ドルで最も上昇したのは南アフリカ・ランド(+4%強)ニュージーランド・ドル(+1.42%)つ いで日本円(1.38%)でした。9月末がドル高基調でしたので、全般的に戻してきたと言えます。最安値をつけたトルコリラや南アフリカランドなどの新興 国通貨が10月になってから上昇率が高くなっているのは興味深いところです。
一方で、選挙で現大統領が再当選したブラジルのレアルは下落しているなど新興国通貨もまちまちの動きです。また、中国元は、今年6月の安値を底に上昇基 調を続けています。背景には、金融政策の自由化、元の国際化があると思います。9月には、人民元とユーロの直接取引が始まり、英国が人民元でソブリン債を 出すなど、市場が広がりを見せつつあります。
最後は、ドル円相場についてです。8月中旬までの101~103円レンジを脱して、110円まで一気に上昇したドル円でしたが、110円水準では米国サ イドからはドル高けん制発言、日本サイドでも円安けん制発言が出て、上値が徐々に重くなり、10月中旬のリスク回避の動きの中で105円台まで下落しまし た。
上昇も反落も、相当なスピードで進んだので、時間調整の意味でも当面は105~110円のボックス相場が続くものと思われます。
今後の相場を見る上でのポイントは、引き続き米国経済、加えて欧州経済の影響に要注目です。一方、円サイドでは、9月も予想以上に増えた貿易収支の累積 赤字、金利の一部マイナス化(日銀の短期国債オペ)、異次元の金融緩和状態に加えて、円安水準と言われる昨今でも増える日本企業による海外企業、海外拠点 への投資による外貨買いは円安の大きな背景の一つでしょう。
為替水準というよりも、今後を見据えて日本市場から海外に軸を置いて行く企業戦略が続いている(これからも続く)ことにも注目しておく必要があるでしょう。
とはいえ、相場は様々な要因で激しく上下します。特に、今年は大きく相場水準が変わった昨年のエネルギーを調整するようなボックス圏での動きが主流で す。ボックス相場では、落ちたところを拾い、舞い上がったところでは手を引いておくのが戦略かと思います。相場での落穂拾いは恐怖感との葛藤になります。
自分の資金と心理を上手く管理する修行は続きそうです。頑張りましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*10月29日午後13時執筆
本号の情報は10月28日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容および拙見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)