=弱気こそがバブル形成に重要である=

 もちろんバブルの終盤になると、市場や社会・経済、それにマスコミを含めた世の中は強気一辺倒になります(100人の村で述べているように・・・、詳細は、「勝ち組投資家は5年単位でマネーを動かす」(PHP研究所)などを参照)。しかし、この終盤の「狂乱」とでもいうべき熱狂は、過去の歴史を見る限りせいぜい2~3年です。

 バブルは関数などの累乗曲線と同じように、最初の上昇は比較的緩やかなのですが、徐々に上昇のペースを上げ、グラフの右端に来るころにはほとんど垂直に 立つような感じになります。そのグラフが垂直に立つような暴騰期間が概ね1~3年程度ですが、その上昇率が半端ではないので、暴騰期間がもっと長いような 印象を持っている方も多いようです。

 逆に、バブルの初期から価格上昇ペースが速く「百人の村人」の多くが参加するような状況であると、そのバブルは線香花火のような小さなものになります。 早い段階で村人の多くがバブルに参加してしまえば、それ以上の買い手が現れず、早期に「バブル終了」になってしまうわけです。

 大型のバブル形成にとって重要なのは「上昇エネルギーの貯め」です。バブル形成の初期段階で、「市場価格が上昇しているのに一般投資家が無関心であり、むしろ市場価格下落の可能性に対して警鐘を鳴らしている」状況というのは、大型バブル発生前によく見られる状況です。

 例えば、1990年代後半の株価急騰前の米国では、まだベトナム戦争以後の経済低迷の後遺症が残っていて、経済のファンダメンタルズが改善し株価が大幅 に上昇しているのに、「米国経済の将来が暗いのに対してこの株価はバブルだ」というのがマスコミの論調で、私の友人のディーラー達も、ダウジョーンズを空 売り(特に4000ドル近辺)し、その後の1万ドルをはるかに超える急騰相場の中で討ち死にしました。

 また、1980年代後半の日本のバブルも同じような構図の中で起こりました。戦後、朝鮮戦争などの追い風を受け高度成長を謳歌していた日本経済は、 1973年の第一次オイルショックと1979年の第2次オイルショックで大きな打撃を受けました。そのため、1980年代中頃までは、日本経済が十分復活 しているのに将来への警戒感から、日本銀行が大量の資金供給を続けていました。
 もしマスコミや世の中そして日銀が「日本経済は十分復活した」ときちんと認識していれば、余分な資金供給など行われず、大型のバブルはやってこなかったでしょう。

 今回も同じです。黒田バズーカと呼ばれるほどの際限の無い資金供給を行い、企業業績が急速に回復しているのに、日本の将来(経済)に対する不安感が強く 残っています。したがって、日銀の資金供給は今後も潤沢に行われるはずです。そしてその結果、大型のバブルがやってくるのは必然です(そもそも、現在の日 本の金利水準が異常であると思わないことが異常といえます・・・)。


◎なお、念のため2015年単年については、1万8000円~20000円の日経平均の大きな壁を前にして、強含みの中で波乱はあるものの、結果としてそ れほど大きな動きは無いとみています(むしろ、ロシア、共産主義中国、南・北朝鮮の崩壊などがあればつれ安になるかもしれません・・・)そして、その結果 日銀の資金供給はより確実なものになります。

(大原浩)

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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)