数年前まで影も形もなかったような企業が現れて成長意欲と未来の夢を投資家に示すことで企業は多くの投資家に評価され、結果として時価総額を高めていくことが株式市場では日常茶飯事に繰り広げられています。

 企業にとって上場とはどういうことなのか。
 投資家にとって株式投資とはどういうことなのか?

 卵が先かニワトリが先かの議論と同様に上場企業があるから投資家が存在するのか、投資家がいるから上場企業が存在するのか、議論の余地はあるでしょうが、企業も投資家も運命共同体であることは改めて言うまでもありません。
 その違いは企業は逃げられないがマジョリティを持たない投資家は逃げることができるということです。
 日本の株式市場には現在、約3600社が上場し様々なビジネス活動を通じて社会に貢献すると同時に利益を上げて投資家に利益を配分しています。まだ利益 を生んでいない企業は未来に対する熱い思いを語り、投資家に長期の保有を促します。今のところは利益が出ていないが、未来は明るいと・・・。


 先日開催された創薬ベンチャーとして過去15年もの間、活動してきたアンジェスMG(4563)もそうした夢を語る企業の一つ。主力のコラテジェンの開 発を推進して重度の糖尿病などで足の切断に迫られている患者に切断しないで済む注射薬を提供するという夢を投資家と患者さんたちにアピールして10年以上 を経過しています。

 企業が社会に貢献する方法はその企業が提供する財やサービスを一般企業や消費者が享受して豊かな生活を送ること、また企業で働く従業員やパートやアルバイトスタッフ、外注取引先などがお仕事を通じて金銭的な恩恵を受けることです。


 そうした企業活動によって、企業には利益がもたらされるとともに、未来の企業成長の方向性が示されれば投資家は安心してその企業の株式を保有し、夢を共有することができます。社会にとっても企業の夢が実現されれば恩恵を受けますので、期待が膨らみます。

 ただ、企業規模によって夢のベクトルは異なります。時価総額20兆円の世界企業、トヨタが語る夢と時価総額100億円以下の中小規模の時価総額企業が語る夢とでは大きな違いがあるかも知れませんが、少なくとも上場企業である以上は現実を踏まえて夢を語ることが大切です。

 一方の投資家も夢を抱いて投資活動をしています。よく理想買いの現実売りと言われますが、昨今は理想買いには慎重ながら現実買いに重点が置かれているようにも思われますが、夢を描いて企業を評価することも投資に求められる重要な要素なのかも知れません。
 企業は過去から現在までの収益基盤を背景にして未来の収益向上を図ろうと中期計画を示して投資家にアピールしています。


 トヨタは燃料電池車を世界中で普及させたいと願い、自社保有の関連特許5680件を無償提供する方針だとされますが、自動車の燃料が未来のエネルギーである水素を用いる方向性を示していることで投資家に現実の収益水準以上に評価を高める夢を提供しています。
 国家や国の施策を担う役人・政権を担う政治家はその更に上のスケールの夢を国民に提供しようとしています。財政問題という現実との綱引きながら夢があるからこそ国民は一致団結して取り組むことになるのだろうと思われます。


 ある株式同好会で昨年から注目しているSOL(6636)も夢の提供を行っていると考えれば良いでしょう。スーパーソルガムという驚異の成長スピードを もった植物栽培事業を通じて新興国のエネルギー問題や食糧問題の解決の一助になろうという夢です。その結果として収益が生まれ投資家にリターンを上げると いう循環をもたらそうと、規模はまだ小さいながら意欲的な取り組みを行っています。


 夢を見ながら現実を直視している億の近道の読者の皆様もドリームカムツルーでリスクマネーをリスク分散し、ポートフォリオを構築して運用に努めておられ るものと思います。現実の収益確保に留まらず上場企業は既存の投資家に夢を提供するインフラ機関として、存在感をますます高めていってほしいものです。

(炎)


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