同社が上場したのは今から8年余り前の2006年12月ですが、150万株を2200円で発行しての上場でした。上場直後に2930円の高値をつけまし たが、その後は業績の低迷で株価は低迷。リーマンショック後に安値318円までつけその後は300円台と1000円台の往来相場を続けています。時価 800円という水準は今期予想PER7.5倍でPBRも0.42倍に留まるなど市場評価は低いですが、秘めたる実力を備えた企業です。
実質時価総額は83億円にしか過ぎず、今期の年商520億円、経常利益19億円の企業としては割安感があります。
今期の業績見通しは上場時の収益水準をまだ超えていない状況です。これは大手家電メーカー、パナソニックとの関係で高収益を保ってきた構図がディスプレイ関係の設備投資の減少で壊れたことに起因していると見られます。
現状は家電よりも自動車や半導体関連の売上構成比が高まっているほか、海外の家電メーカー、ダイソン社との取引増やタイヤメーカーからの受注増などから業績堅調が続いており、今期は期初計画を大きく上回り上場時の業績にようやく接近しています。
問題は来期以降の業績展望ですが、東京オリンピックに向けた人手不足もあり省人化ニーズが高まっていることから自動化設備を担う同社の業績は堅調に推移すると期待されます。
造船業向けの大型鋼板自動面取りシステムはその典型です。海外メーカーとの競争激化が絶えず想定される中で新たな市場に向けた展開が見られます。円安メリットを享受しながら新市場の開拓を図ることで業績は引き続き高水準を維持すると見られます。
もう間もなく終わる3月期決算は想定以上の結果となると推定されますが、いつもやや慎重な同社だけに来期は期初段階ではマイナスか横ばい程度で打ち出す 可能性はありますが、同時に打ち出す予定の中期計画でのポジティブな見通しが打ち出され成長性を確認できるものと見られます。
有利子負債がやや多い点がネガティブに見られがちですが、着実に財務内容も向上していくと見られます。また、好業績を背景に来期は東証上場に向けた取り 組みが期待されます。グローバル企業にも関わらず外国人投資家の持ち株比率は低く、投信の持ち株比率も低い現状を打破してほしいと願っている投資家、株主 は多いと見られます。
2月半ばにそれまでの700円以下での推移から800円台まで上昇した同社株はその後3月3日に917円の高値までありましたが、配当落ち後の直近は 791円まで値を下げるなど調整局面を迎えています。特段の材料がない中での株価調整ですが本質的な企業価値を見極めながらの投資が求められます。
(炎)
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