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予想外に悪かった3月の米国雇用統計で、市場の米国利上げへのコンセンサスは「6月利上げ遠のく」に傾き、早期利上げ期待によるドル上昇には歯止めがかかりました。
ドル円相場は、発表された日がイースター祝日と重なり、薄いマーケットの中、短時間内に、120円寸前水準から118円70銭台へと急落したものの、 118円台は底堅くユーロ売りを中心にしたドル買いで、じわじわと反発、ドル円相場は13日には120円台後半をつけました。
直近では、浜田内閣官房参与の「購買力平価ではドル円は105円程度が適当」発言や、14日発表の米国の3月小売り売上高が期待外れだったことから119円台前半まで下げての動きになっています。
相場は動いたようですが、主に119~121円のレンジ内での上下運動に留まっています。
売られても、じわじわと買い戻される展開です。売られたところでは、日本からの海外直接投資や年金基金の外債投資、輸入決済などのドル買いが潜在的にあ り、下値を支えているでしょうし、米国の早期利上げ期待は萎んでいるものの、金融政策の「次の方向性は利上げだ」というコンセンサスは未だ生きていること は確かだろうと思います。
年初の米国経済指標が期待以下であったのは、悪天候に影響されているとされ4月からの経済指標を確かめたいという意思も働いているでしょう。また、前回 のコラムにも記しましたが、未だに期待される日銀の追加緩和期待、欧州中銀の肝が入った量的緩和、豪州準備銀行利下げ予想など、他の国の状況との比較から ドル買い要因が優位である状況に変化はないと思います。
年初からのドル円相場が基本的にレンジ内におさまっている一方で、その他の各通貨に対する円相場は一部通貨(スイスフランや台湾ドル、韓国ウオン)以 外、円高の動きです。年初来、円に対して最も売られたのがブラジル・レアルの13%強の下げ、ユーロ(12%下げ)、豪ドル(7%強の下げ)など、基本的 にドルも円も高いと言えます。
ブラジル・レアルは、ブラジル国内の政治経済の混乱などから、過去最低水準まで売られました。対円では3月27日に36円60銭台をつけ、4月に入り反 発して直近39円台まで戻しています。5年間の平均は45円台。3月につけた36円台が歴史的最安値になるのかどうかは分かりませんが、歴史的安値圏にあ ることは確かです。
ブラジルの債券利回りは、直近2年で1.35%、10年で4.1%台と歴史的低水準で、ブラジルのリスクにして利回りが低すぎる感はありますが、売られ過ぎた感のある為替レートの反発の可能性はありそうです。
さて、40ドル台前半まで売られた原油相場に持ち直しの動きが出ています。原油価格の代表的指標であるWTIは、3月中旬に44ドルをつけた後、直近で は53ドル台まで反発し、原油価格は底打ちしたか?の見方も聞かれます。その影響もあり、ロシアの通貨ルーブルは反発しています。
原油価格動向と米国長期債(10年国債利回り)の動きは相関する傾向も見られます。ドル金利は、為替相場にも影響を与える要因の一つでもあります。原油価格が底打ちするのか、一時的反発なのか、世界的にも物価動向に大きな影響を与えますので要注目です。
本日15日は欧州中央銀行理事会(珍しく水曜日)が開催されます。このところ、欧州関連の経済指標に好転したものが見られ、3月9日から開始された量的 緩和政策の今後の動向に変化があるのではないか?(市場が考えるよりも早期に終了する等)と見る向きもあります。今日の会議終了後にドラギ総裁が会見で政 策継続への強い意思をどのようにアピールして見せるか注目しています。
欧州中銀は、市場が考えていた以上に腰が入った量的緩和政策を実行しています。これによりユーロ安は当面続くものと思っています。また、ギリシャの問題 は不透明要因です。来週のEMU財務省会議で、ギリシャの改革案とEUが最終合意に至らないと、ギリシャの債務不履行の可能性も出てきます。以前に比べれ ば、ユーロ離脱や債務不履行の可能性は減ったとも伝わりますが、波乱要因には変わりないでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*4月15日午前11時執筆
本号の情報は4月14日米国市場終値水準を主に引用しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
ドル円相場は、発表された日がイースター祝日と重なり、薄いマーケットの中、短時間内に、120円寸前水準から118円70銭台へと急落したものの、 118円台は底堅くユーロ売りを中心にしたドル買いで、じわじわと反発、ドル円相場は13日には120円台後半をつけました。
直近では、浜田内閣官房参与の「購買力平価ではドル円は105円程度が適当」発言や、14日発表の米国の3月小売り売上高が期待外れだったことから119円台前半まで下げての動きになっています。
相場は動いたようですが、主に119~121円のレンジ内での上下運動に留まっています。
売られても、じわじわと買い戻される展開です。売られたところでは、日本からの海外直接投資や年金基金の外債投資、輸入決済などのドル買いが潜在的にあ り、下値を支えているでしょうし、米国の早期利上げ期待は萎んでいるものの、金融政策の「次の方向性は利上げだ」というコンセンサスは未だ生きていること は確かだろうと思います。
年初の米国経済指標が期待以下であったのは、悪天候に影響されているとされ4月からの経済指標を確かめたいという意思も働いているでしょう。また、前回 のコラムにも記しましたが、未だに期待される日銀の追加緩和期待、欧州中銀の肝が入った量的緩和、豪州準備銀行利下げ予想など、他の国の状況との比較から ドル買い要因が優位である状況に変化はないと思います。
年初からのドル円相場が基本的にレンジ内におさまっている一方で、その他の各通貨に対する円相場は一部通貨(スイスフランや台湾ドル、韓国ウオン)以 外、円高の動きです。年初来、円に対して最も売られたのがブラジル・レアルの13%強の下げ、ユーロ(12%下げ)、豪ドル(7%強の下げ)など、基本的 にドルも円も高いと言えます。
ブラジル・レアルは、ブラジル国内の政治経済の混乱などから、過去最低水準まで売られました。対円では3月27日に36円60銭台をつけ、4月に入り反 発して直近39円台まで戻しています。5年間の平均は45円台。3月につけた36円台が歴史的最安値になるのかどうかは分かりませんが、歴史的安値圏にあ ることは確かです。
ブラジルの債券利回りは、直近2年で1.35%、10年で4.1%台と歴史的低水準で、ブラジルのリスクにして利回りが低すぎる感はありますが、売られ過ぎた感のある為替レートの反発の可能性はありそうです。
さて、40ドル台前半まで売られた原油相場に持ち直しの動きが出ています。原油価格の代表的指標であるWTIは、3月中旬に44ドルをつけた後、直近で は53ドル台まで反発し、原油価格は底打ちしたか?の見方も聞かれます。その影響もあり、ロシアの通貨ルーブルは反発しています。
原油価格動向と米国長期債(10年国債利回り)の動きは相関する傾向も見られます。ドル金利は、為替相場にも影響を与える要因の一つでもあります。原油価格が底打ちするのか、一時的反発なのか、世界的にも物価動向に大きな影響を与えますので要注目です。
本日15日は欧州中央銀行理事会(珍しく水曜日)が開催されます。このところ、欧州関連の経済指標に好転したものが見られ、3月9日から開始された量的 緩和政策の今後の動向に変化があるのではないか?(市場が考えるよりも早期に終了する等)と見る向きもあります。今日の会議終了後にドラギ総裁が会見で政 策継続への強い意思をどのようにアピールして見せるか注目しています。
欧州中銀は、市場が考えていた以上に腰が入った量的緩和政策を実行しています。これによりユーロ安は当面続くものと思っています。また、ギリシャの問題 は不透明要因です。来週のEMU財務省会議で、ギリシャの改革案とEUが最終合意に至らないと、ギリシャの債務不履行の可能性も出てきます。以前に比べれ ば、ユーロ離脱や債務不履行の可能性は減ったとも伝わりますが、波乱要因には変わりないでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*4月15日午前11時執筆
本号の情報は4月14日米国市場終値水準を主に引用しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)