株式市場にうごめくお金は投資効率を狙ってあちこちに動いていきます。
 億の近道の読者の皆さんもそうした個別銘柄の動向に関心をもっておられるものと思います。

 機関投資家が売買の対象とする主力株も銘柄ごとに異なった値動きを見せていますしましてや個別銘柄も動きはまちまちです。


 時には高いにしろ安いにしろなぜこんな株価がついているのかわからない銘柄もありますし、全体相場が調整した局面では需給面(信用取引)に影響を受けて想定以上の値下がりを見せたりする場合もあって、それぞれになかなか面白い変動が見られます。


 本日は私のカバー銘柄(中小型銘柄)からいくつか取り上げてみたいと思います。



1.超割安銘柄となったEJホールディングス(2153)
 時価1000円

 岡山に本社を置く総合建設コンサルタント。5月決算で先週末に決算発表。前期は想定を上回る決算となり、今期も高水準の決算見通しを発表。小幅の減益見 通しを出していることと宮崎県環境整備公社からの訴訟がありますので、この点が個人投資家にはネガティブに見られている可能性がありますが、数値面でこれ ほどの低評価の企業はなかなか見出せません。

 指標面では前期実績EPS243.8円、同PER4.1倍。
 実績BPS2552.1円。
 同PBR0.39倍。今期予想EPS226.48円、同PER4.4倍で減益見通しとは言え、割安感が顕著。
 今期予想一株当たり配当金22円(配当性向9.7%)。予想配当利回り2.2%。

 直近まで950円前後まで株価は低迷していましたが、前期の業績を上方修正したことで7月6日から7日にかけ株価は1139円まで上昇。6日にストップ 高(1106円)を演じ、大量の買いを残しておりましたので翌日もストップ高(1406円)が想定されましたが高値は1139円に留まり、全体相場の調整 に従い、7月9日には963円まで売られてしまいました。
 先週末は戻り歩調となり終値は1000円丁度となりました。

 週末の今期決算見通しの発表は今期減益見通しながら現状の株価との比較では割安感が強く一定水準までの株価上昇が期待されます。全体相場にもよりますが、ここから大きく売られることはないと考えられます。

 仮に売られたら格好の投資チャンス(ファンダメンタルズが現状の予想のままとして)だと見られます。

 火山・地震列島日本では今後一段と防災へのニーズが高まると見られ、防災関連企業として同社が担う役割が高まると考えられます。地方再生関連企業としても注目される企業です。
 地味な企業ではありますが、財務内容は良好で低PER、低PBRの東証2部企業ということでは見直しの余地があります。

 なお、保有現預金は100.92億円、有利子負債は短期借入金6.5億円に留まっていますので実質保有現預金は94.4億円となっています。これに対して時価総額は自己株152.1万株を加味して実質的に57.4億円にしか過ぎませんので、割安感があります。
 退職給付債務12.5億円を差し引いた保有現預金81.9億円で時価総額が評価されたとしても現状から株価は42.6%の上昇余地があります。つまり目 標株価は1426円となります。2020年に向けた中期計画では具体的な数値目標は掲げられていませんが、復興・防災関連企業としての存在感がますます高 まるものと期待され、業績の向上が更に期待されます。

 リスク要因としては宮崎県環境整備公社から受けている損害賠償請求(合計18.8億円)ですが、100%損害賠償に応じることはないと見られます。この点の早期決着(同社にとって有利な形で)が株価にもポジティブに働くかと思われます。


2.KG情報(2408)
 時価604円

 同社も岡山に本社を置いていますが、今12月期の第2四半期決算を早くも発表しました。
 株価は3月の高値725円から先週は580円まで調整してきましたが、多少反転の可能性が感じられます。第2四半期決算は売上こそ計画比未達ながら利益 は計画を若干上回る結果となっています。同社は配当性向25%を約束していますのでその結果、第2四半期の配当金を記念配5円を含めて年10.1円から 10.4円と計画比増配を発表。通期はその差なので実際には下期は12.4円から12.1円へとしていますが、結果としては業績の上方修正があれば更に計 画以上の増配も予想されます。

 引き続き現預金を蓄積しており、期末現預金は49.46億円に増加。自己株16.4万円を控除した実質時価総額は43.7億円。現預金並みの時価総額評価では株価684円が目標となります。

 先行投資の成果は今期下期以降に表れると考えられますので、まだ株価の急上昇には至っていませんが、業績の本格向上が確認される第3四半期以降は株価上昇も期待されます。


3.エストラスト(3280)
 時価639円

 山口県最大のマンション開発業者。2012年11月に上場し、既に東証1部市場に上場。
 先週発表された今期第1四半期(3-5月)の業績は前年同期に比べると大きく向上したようですが、これにはマンション開発予定の事業用地の売却(約13 億円)があったためです。通期の業績は変えていませんが、契約進捗率は82.7%で高水準。前期のマンション分譲戸数429戸に対して今期は370戸と減 少が見込まれますが、戸建分譲の増加と事業用地売却などでカバーし増収増益を維持する計画です。

 先週は一旦590円(上場来安値)まで売られましたが、週末は一気に644円の高値まで戻ってきました。昨年8月の東証1部上場後の株価は冴えません が、時価PERは6.6倍で、今期ROEも17.7%と高いことを踏まえると現状の株価は底値圏にあると見られます。7月に入っての出来高は累計で19万 4800株、発行済み株式数616.7万株の3.16%となってきました。今後3年分の開発案件仕入を終えている点からも中長期スタンスでの投資のチャン スが訪れているのではないかと見られます。


4.海帆(3133)
 時価1870円

 調整相場の中で異色の株高を演じたのが今年4月に上場したばかりの海帆です。週末は上場直後の高値1880円を一気に抜き高値1931円までありまし た。名古屋を本社にした昭和食堂というブランドで郊外ロードサイド型の居酒屋店を展開。無料送迎バスを駆使した展開で、店舗数を拡大中。積極出店で事業規 模が急拡大している点で評価されているものと考えられますが、時価は予想PER21.5倍。今週もこの勢いで人気が続くか注目。


5.FFRI(3692)
 時価8480円

 どう考えても割高な銘柄ではありますが、ネットのセキュリティに対してのニーズが高まっているご時世だけに致し方ないところです。今期予想経常利益 2.6億円に対して時価総額は649億円。6月22日には9610円まであり、その後の調整を経て再び7月7日には9230円という高値をまで買われまし たが、先週は7600円まで調整しました。

 既に経常利益60億円までを織り込んでいますが、昨年9月の上場時に投資していた方は資産が8倍にも膨れていることになります。FFRIと同じようにセ キュリティ分野に注力を開始したのがアドソル日進(3837)ですが、FFRIを思い切って売却してアドソルに乗り換えてみるのも投資作戦としては名案か も知れません。


6.アライドアーキテクツ(6081)
 時価679円

 FFRIとは反対に2013年11月の上場以来、下落続きの銘柄が同社です。SNSマーケティング支援会社でフェイスブックサービスをコアにビジネス展 開し成長期待があったのですが、ここまでの状況は苦戦の連続。上場時の公募価格1700円と比べ半値以下。上場後の高値6600円からは約10分の1の水 準になっています。
 フェイスブックのビジネスモデル変更による影響に先行投資負担が重なっての2期連続の減益がここでの株価下落につながっているようです。2位株主のド リームインキュベータが保有株を減らしている点も気になるところですが、既に時価総額が29億円台まで減少しており、財務内容も良好なことから、回復傾向 だとされる第2四半期(8月発表予定)の決算内容を吟味しての投資で成果を得られるものと期待されます。

 それにしても良く下がってきました。どこまで下がるか皆さんと一緒に今後ウォッチしたいと思います。


7.アサンテ(6073)
 時価1549円

 海帆と同様にこの調整相場で強かった銘柄もあります。同社もその類ですが、なぜ強かったのかと言うと、6月の月次情報が+7.5%と予想以上に良かったためです。

 この結果、4-6月の売上高が+5.3%の38億97百万円になったのです。中間期の売上計画は76億18百万円(+7.1%)ですから7-9月期で37.2億円が達成されれば良いことになりますが、今後の頑張りに期待が寄せられます。

 同社は2013年3月に上場したのですが、その際の公募価格は930円。そこから一旦は800円割れまでありましたが、現在は7月1日に1600円をつけるなど順調な株価上昇が見られます。

 先週は一旦は9日に1455円の安値をつけましたが週末はすぐに戻ってきました。今期の予想EPSは134.6円で同PERは11.5倍にしか過ぎません。

 住宅を大事にする風潮を受けて同社の白蟻駆除サービスはますます市場で評価を高めていくものと期待されます。外国人投資家からの評価が高いので今後も市場平均並みのPERに向けた株価上昇が期待されます。


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(炎)


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