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日本経済の再生戦略~その4
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日本経済の再生戦略~その4

2016-01-28 15:12
    日本経済の再生戦略シリーズも今回が最終回です。


     内容は、今年の3月にコンサルティング会社で世界的に有名な「マッキンゼー」から発表された

    FUTURE OF JAPAN
    生産性向上が導く新たな成長の軌跡

    というレポートのポイントを解説します。

    レポートはこちら
    http://www.mckinsey.com/global_locations/asia/japan/ja/latest_thinking/future_of_japan

     前回の確認として、このレポートでは次の提言をしています。


    1.世界のベストプラクティスを組み入れる

    ・世界との統合を進める
    ・バリューチェーン全体にわたって組織能力を高める
    ・デジタル革命を継続する
    ・物理的に最適な拠点網を定める


    2.次世代のテクノロジーを採り入れる

    ・ビッグデータの力を活用する
    ・オートメーションを次のレベルに引き上げる
    ・製造工程に先端技術を配置する


    3.規律ある事業運営と業績向上に向けた環境を整備する

    ・競争力のある柔軟な事業環境を作りだすために必要に応じて再編する
    ・パフォーマンスとアカウンタビリティの文化を創出する
    ・あらゆるものを動員して、将来に向けた人材、リーダーシップ、スキルを構築する
    ・顧客に焦点を当てることで研究開発投資のリターンを拡大する


    最終回は、3を見てみましょう


    ・競争力のある柔軟な事業環境を作りだすために必要に応じて再編する

     企業間の競争というのは、生産性の向上には一番重要な環境です。

     競争の無い市場では、生産性はあまり向上しません。
    (今までと同じでも売れるという事ですから)

     日本の場合には、政府や官僚が規制をかけている産業で、競争が起こりにくいといったことが散見します。

     もちろん、規制は制定当初には必要であったと思いますが、世の中や環境が変わっても既得権益のように、そしてビジネスの競争が産まれないように残っている規制も多いと感じます。

     例えば、私のかかわっていた不動産業界で挙げると、

     宅地建物取引業の媒介手数料は物件金額ごとに手数料の上限が定められています。

     しかし、ここでは少額の(例えば100万円)の物件では、手数料が少なすぎて、仲介業者はその物件を媒介するインセンティブがない状況です。

     規制の制定当初(昭和27年)は、悪質な仲介業者を制限する意味での、手数料条件の設定でしたが、現段階では、手数料を自由化した方が競争は促進されると思われます。


    ・パフォーマンスとアカウンタビリティの文化を創出する

     経営者自身が、生産性の向上を目標に置くことが必要だということです。

     従業員の給与体系も、いわゆる「年功序列」のように生産性の向上と結びついていないところは修正が必要だという話です


    ・あらゆるものを動員して、将来に向けた人材、リーダーシップ、スキルを構築する

     ここで指摘されていたのは、主に女性と高齢者の活用です

     実際のところ、私の周辺でも優秀な女性でも2人目の子供を出産すると、仕事を断念するという状況を良く見かけます。

     これは社会環境の整備ももちろんですが、勤務している企業のサポートが不足していることも要因としては大きいものだと思います。

     こうした、女性・高齢者を上手に雇用して、オートメーション、フレックス制、在宅勤務などあらゆる手段で企業として多様性を持てる会社が、今後強くなっていくだろうということです


    ・顧客に焦点を当てることで研究開発投資のリターンを拡大する

     日本の研究開発能力が優秀であるのは間違いのないところです。

     ただし、その研究開発方向が、ユーザー目線で進んでいるかどうかは疑問のあるところです。

     顧客やサプライヤーと上手く連携を取りながら、イノベーションが起こせるかというところに日本企業の弱い点があります。


     最終回で見てきた項目も、頭の痛い問題です。


     日本の会社って(特に大手は)、周囲がやっているから、始めたからという理由で行動を起こすことが多い気がします。

     給与体系を変化させるのも、女性や高齢者の活用も、大きな変化ですので、先進的に取り組んだ企業を横に見ながらの、少しずつの変化で、あるところから急に大量に変化するという事が想定できます。

     問題は、その変化のスピードで、国際的に競争していけるかどうかということでしょう。


    株式会社マネーライフプランニング
    代表取締役 小屋 洋一


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