2016年早々、私を驚かせたのはD誌、T誌、E誌の経済3誌がそろって株特集を組んだことです。

 T誌はその紙面で自嘲気味に語ったことがあるように、「株特集を組むと、株価が下がる」という素晴らしい「外れ率」を誇る雑誌です。
 またE誌が株特集を組んだ時もほぼ間違いなく株価が下がるので、私は「株価先行インデックス」として丁寧にウォッチしています。

 当たったり外れたりする予想は役に立ちませんが、「いつも外れる予想」はとても貴重です。
(ただし、その逆をやれば必ず成功するとは限りませんのでご注意を…例えば事前に予想されたAかBかという選択ではなく、CとかDとかの全く事前に予想できなかった結果になることがしばしばあるからです)


 「なぜいつも外れるのか?」。
 それは、この2誌をはじめとしたマスコミが自分で勉強して考えることなく、世の中の主流の意見に迎合した記事を書くからです。言ってみれば、「新橋のサラリーマン100人に聞きました」という内容です。


 投資格言に「大衆は常に間違っている」というものがありますが、その間違っている大衆の意見に基づいて記事を書けば「いつも間違える」のは当然でしょう。


 さて、今回日本の株価が下げたことでマスコミは、「アベノミクスの失敗」、「アベノミクスの終わりの始まり」などと騒ぎ立てていますが、もちろんこれも間違いです。

 今回の円高・株安は、下記のリンク記事に明確に書いてあるように、チャイナをはじめとする海外の国々の危機の影響を受けた結果です。

 実際、チャイナ、南・北朝鮮、ブラジル、ロシア、トルコ、インドネシア、マレーシア等々数え上げればきりがないほど多数の国々が危機的状況に陥っていま す。このような状況の中で、「今後最も安全で、成長が見込まれる」国の筆頭が日本であるとの判断から、世界中の投資家が円を買ったことが今回の円高の主要 な原因です。


 私が銀行のトレーダーをしていたころは、大きな問題が起こるたびに世界最強の国の通貨である米ドルが買われ、そのことを「フライト・トゥー・クオリティ=質への逃避」と呼んでいましたが、今まさに円への<フライト・トゥー・クオリティ>が起こっているのです。

 また、原油(エネルギー)安、低金利、潤沢な資金供給という、バブルの三大要素はますます強化されています。1980年代後半の日本のバブルも、2度の オイルショックで不安感が立ち込めていた(実際には順調な発展を遂げていた)日本経済に必要以上の資金を低金利で供給したことが原因でした。

 2020年東京オリンピック、2026年札幌オリンピック(決定すれば…)、2027年リニア開業までの日本経済の長期的成長の道筋に変わりはないと考えています。

 ただし、海外情勢に不安があり、2017年~2019年の間にチャイナ崩壊が予想される以外にも多くの危険があります。
 例えば、EUの問題は周知ですが、優等生とされるドイツにも危機が迫っていると考えています。難民問題や他の欧州諸国のお荷物を背負わされているだけで なく、フォルクスワーゲンやドイツ銀行の経営状況を見る限り、ドイツの経済システムそのものに根本的なトラブルが起こっていると判断されます。

 また、日本以外の数少ない希望である米国は、まだまだ長期的に繁栄を続けると思われますが、20年サイクルにおいては景気後退期に入っているので注意が必要です。


 たぶん、今後の世界経済は、米国、日本を中心としたTPP加盟国という勝ち組と、それ以外の負け組に2分されるであろうと考えています。


(大原浩)

★現代ビジネス
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47855


【大原浩の書籍】

バフェットに学ぶ【永久不滅投資法】―損を出さないで永遠に資産を増やすことは可能かー(同友館)
日本株で成功する バフェット流投資術 (日本実業出版社)
企業情報を読み解け! バフェット流<日本株>必勝法=永久保有銘柄を見抜く18のポイント(日本実業出版社)
『勝ち組投資家は5年単位でマネーを動かす』(PHP研究所)
「バフェットからの手紙」に学ぶ(2014)大原浩著 昇龍社<Kindle版>
★「バフェットからの手紙」に学ぶ(2013)大原浩著 昇龍社<Kindle版>
 http://goo.gl/iz1GUV
★GINZAX30社! 大原浩著 昇龍社<Kindle版>
 上巻
 下巻
 GINZAXグローバル経済・投資研究会・代表大原浩著

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)