僕は対振り飛車の時、この天守閣美濃をよく採用する。その一番の理由は、囲いの形が綺麗だからというもの。
【本格将棋ラノベ】俺の棒銀と女王の穴熊
ついに発売された『王手桂香取り!』のレビュー第3回です。
しかし昨日今日と関東地方が10年だか20年に一度の大雪で外出できず、まだ購入することができていません。幸い試し読み分が残っているので、そこを取り上げたいと思います。
第二局 金底の歩岩より固し
駒娘の力を借りて相良プロを叩きのめしてしまった歩くん。もちろんそれでハッピーなんてことにはなりません。アマチュアの中学一年生にプロが負けるなんてことは、絶対にあり得ない話! 反響が広がるのではないかとうろたえてしまいます。
何しろ将棋は、一切運の要素が介在しないゲーム。わざと手を抜いたりポカをしないかぎりは、絶対に上手いほうが勝つようになっているのです。
そこで駒娘たちのアドバイスで「ネット対局でプロ棋士であろう人の新手を見たおかげ」とごまかすのですが、これは現実にもありえることかと問われれば、皆無ではないでしょう。プロ棋士といえど知らないことは知らないわけで、ただのアマチュアでもプロが知らない勝利への道筋を知っているとしたら、勝てないことはない……。もちろん新手が出た先は純粋な力勝負になるわけで、実力で勝ち切るのは至難の業でしょうが。
ともあれ実力でプロに勝ったと思い込んでいる桂香先輩は、歩くんに興味津々。彼女のキャラクターは実にいいですね。将棋が強くて美人で物腰柔らかで。
そんな桂香先輩との対局が始まるのですが、歩くんが採用した囲いは――
天守閣美濃!
いやー、天守閣美濃、いいですよね。私もよく使います。プロ間では藤井システムの登場以降、ほとんど使われなくなっているという囲いなんですが、アマチュアはそんなこと気にしなくていいんです。
そう、こういう理由でいいんです。アマチュアは自由に指すべしという主張がそこはかとなく盛り込まれていることに、感動を禁じ得ません。
で、マンツーマン指導の約束をしてもらったり携帯番号&メルアドを交換したり一緒に大会に出ようと誘われたり、ロマンティックが止まらない状態の歩くん。このへんの中学生特有のドキドキ描写がまたいいですね。
そしてついに登場するライバルキャラ、二階堂有也。これまた傲岸不遜な感じで駒娘たちも憤慨するのですが、この二階堂は負かされれば素直に感銘を受けて「次は負けないぞ!」と叫ぶタイプなのではと予想します。
試し読み部分はこれで終わり。はたして予想は当たっているのかどうか、続きを読むのが楽しみです。
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