このコーナー毎週更新の掟だったのに締切を2週もとばしちまって

申し訳けございません。

そんな締切破りな「私は私が大嫌い」ということで

今回のオススメはマーニーです。そう、またジブリ。オーイェスジブリ!

「ジブリのことが大すき。」

ということで


思い出のマーニー 

原作 ジョーン・G・ロビンソン 監督 米林宏昌


イギリスの作家ジョーン・G・ロビンソンの児童文学「思い出のマーニー」(岩波少年文庫刊)を、スタジオジブリがアニメーション映画化。

物語の舞台を北海道の美しい湿地帯に置き換え、心を閉ざした少女・杏奈が、金髪の少女マーニーと出会って秘密の友だちになり、体験するひと夏の不思議な出来事を描く。


【あらすじ】

札幌に暮らす12歳の内気な少女・杏奈は、悪化するぜん息の療養のため、

夏の間、田舎の海辺の村に暮らす親戚の家で生活することになる。

しかし、過去のある出来事から心を閉ざしている杏奈は、村の同世代の子どもたちともうまくなじむことができない。

そんなある日、村の人々が「湿っ地屋敷」と呼び、長らく誰も住んでいないという湿原の古い洋風のお屋敷で、杏奈は金髪の不思議な少女マーニーと出会い、秘密の友だちになるが……。


「借りぐらしのアリエッティ」で監督デビューした米林宏昌の長編第2作ですね。

「アリエッティ」も見ましたが大変うまく作られていてザ・ジブリという感じでした。

今回なんの予備知識もなく「あ、もうすぐ終わるやん。見なきゃ!」

とノルマ・オブ・ザ・ジブリ(類語ノルマ・オブ・ザ・ディズニー)で拝見したのですわ。


いやはや、これは…すごいです。

予告編とか見る限り、百合もの?とか思うじゃないですか。

たぶん「杏奈」がお屋敷に引きこもりの「マーニー」を外の世界へ誘う感じ?

とか思ってたんですが…


杏奈、ショートカットのくせにコミュ障


今でのマンガやアニメですとショートカットの子は大概、明るく活発で男勝り的なキャラ付けなのですが、本作ではナイーブで傷つきやすく、コミュ障。


ショートカットの方向がパンクとかハードコアの方向なんです?


学校の授業での校外スケッチ。

内気なんですが絵が結構イケてる杏奈ちゃん。

先生に「どれどれ?」と声をかけられると

まんざらでもないんですがドギマギして

「途中なんで…」とか言ってるうちに

ほかの生徒のほうへ先生が行っちゃってボッチ。みたいな。

さらに、杏奈ちゃんのモノローグでつかみはバッチリです。

「この世には目に見えない魔法の輪がある。

輪には内側と外側があって、私は外側の人間。」


これは、オレの映画ですか?


勉強とか運動とかダメでクラスの友達にも馴染めず

一人でノートに絵を描いたり図書館で本読んだりして

現実から逃避する的な…今までのジブリ(宮崎アニメ)になかった

中二ヒロインを主人公に持ってきてくれたんですね。


マロ、グッジョブ!

(監督の米林宏昌さんは通称「マロ」と呼ばれているそうです)


宮崎駿さんや高畑勲さんがノータッチということで

様々なプレッシャーもあったと思いますが

よくぞこの路線で作り上げたもんだと。


オレたちのジブリ、誕生。


まあ中二設定アニメは珍しくありませんが

こんだけメジャー路線でやれたのは素晴らしいことです。

あ、お話とかも面白いですし作画もすごくいいです。

そのへんのご紹介はあえて割愛。


また、この映画、テーマソングが泣けます。

アメリカ出身のプリシラ・アーンさんが作詞作曲されました。

歌は英語で歌われてますが歌詞を和訳するとこんな感じ。


「Fine On The Outside」


小さい頃からずっと 友達は少ないほう

だから平気でいられるようになったの

ひとりでも ひとりでも


これからも外側にいたっていいの

学校ではひとりで食べるのが好き

いつもそう ずっといると思う

ここに ここに


これからも外側にいたっていいの

夜更けに何時間も 自分の部屋で座って月を眺め

誰が私の名前を知っているか思いをめぐらす

もし私が死んだら 泣いてくれる?

私の顔を覚えていてくれる?


ある日 家を出たの

荷物をまとめて 自分の過去から遠く離れて

笑う 笑う


だから外側にいても大丈夫な気がする


ときに迷い ときにわからなくなって

ときに ぜんぜん大丈夫じゃなくなって

泣いてしまう 泣いてしまう 泣いてしまう


夜更けに何時間も 自分の部屋で座って月を眺め

誰が私の名前を知っているか思いをめぐらす

もし私が死んだら 泣いてくれる?

私の顔を覚えていてくれる?



うわーーーーーーーん。

これ、オレの歌ですか?


「学校ではひとりで食べるのが好き」とか胸が苦しくなります。


とにもかくにも新たな表現世界を垣間見ることのできる

ジブリ(マロ)の新境地だったのですがジブリ、制作部門解体とか。

実に残念。実にバルスな。。。


しかし、へんしうちょは今後も

ジブリを、マロを、
全力で応援したいと思います!


蛇足

ショートカット原理主義のへんしうちょは全編杏奈ちゃんが

キレイに描かれていてそういう方面でも大満足でした。



というわけでもうやってねーよ、マーニー。なご紹介でした。

レンタルでみようぜ!

次回はショートカットではない「む」がお届けします!








【へんしゅうちょ】
PHP研究所 PHP-COMIXの編集長。社風にそぐわぬ異色の企画をプロデュースし続ける45歳。尊敬する漫画家は、藤子F不二雄。好きな映画はゾンビもの。8月で2歳になった娘をマーニーな一児のパパ。



◎バックナンバー

【第0回】 ごあいさつ
【第1回】『鳥海浩輔・安元洋貴の禁断生ラジオ本』
【第2回】 九井諒子さんの作品集×3作品
【第3回】『ヨルムンガンド』『乙嫁語り』『小南正太郎、家から出るをはじめました。』
【第4回】 へんしゅうちょの机
【第5回】『風の谷のナウシカ』
【第6回】『ここはグリーン・ウッド』
【第7回】『ワカコ酒』
【第8回】『ピンポン』
【第9回】『銭ゲバ』
【第10回】『ペルソナ3・4』
【第11回】『11人いる!』
【第12回】『All You Need Is Kill』
【第13回】『虹の娘』
【第14回】『ペルソナ3・4 その2』
【第15回】『夏と花火と私の死体』
【第16回】『3D彼女‐リアルガール‐』『ノーゲーム・ノーライフ』『君と僕。』
【第17回】『Play Dead』『CARGO』
【第18回】『スペース☆ダンディ』
【第19回】『幽★遊★白書』
【第20回】『白アリッッ!』『Alicemare』『Alice in musicland』