北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
□告知/スケジュール
■編集後記
■巻頭コラム
「豚骨の面白さ」山路力也
ラーメン評論家としてはフラットにものを見るように心がけていますので、どんなラーメンでも好き嫌いなく向き合うようにしていますが、一ラーメン好きとしては豚骨ラーメンが好きです。最初にハマったラーメンが熊本ラーメンの「桂花」ということもあるかも知れませんし、家系ラーメンも大好きということもあるかも知れませんが、色んなラーメンの中でも豚骨ラーメンが好きな自覚があります。
そしてそれは私個人の嗜好ということだけではなく、おそらく一般的に豚骨ラーメンを好きという人の率は高いのではないかと感じています。個店レベルで考えればどこの醤油が好きとか、そこの塩が好きとかはあるでしょう。しかし大局的に捉えた時に清湯ラーメンよりも豚骨ラーメンの方が好まれているのではないでしょうか。
先日「Tokyo Raumen On Air」の生放送中にも話したのですが、豚骨ラーメンの面白さはその多様性にあるのではないかと。清湯醤油ラーメンの場合は、ある一定の枠の中に収まっている印象がありますが、豚骨ラーメンの場合は古くからの博多ラーメンのような粘度の低いスープもあれば、昨今のどろどろ濃厚系まであります。つまり清湯醤油の表現の幅と白湯豚骨の表現の幅を較べた時に、間違い無く豚骨ラーメンの方が広く感じるのです。
また、ノスタルジックな醤油ラーメンは元を辿れば中国料理にその源流をみることが出来ますが、豚骨スープはラーメンの中から生まれたスープであり、他のジャンルの料理にはないスープです。その結果として世界各国でラーメンの代名詞として豚骨ラーメンが愛されているのではないかとも思っています。今までにない新しい麺料理というポジションは、豚骨ラーメンでなければ辿り着けなかったことでしょう。
今年は久留米で豚骨ラーメンが生まれてちょうど80年という節目の年。秋にはラーメンイベントも予定されています。例年以上に今年は豚骨ラーメンを食べ歩きたいなと個人的には思っています。
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は昨年暮れ、護国寺にオープンした「MENSHO」の 「潮らーめん」を、山路と山本が食べて、語ります。
MENSHO@護国寺