北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
■連載コラム(第36回)
『ラーメンの憂鬱』〜サスティナビリティが欠落したラーメン屋(山路力也)
『教養としてのラーメン』〜戦後ラーメン史(11)~濃厚つけ麺と二郎インスパイア、そして食べログの流行~(山本剛志)
□告知/スケジュール
■編集後記
■巻頭コラム
『ラーメンの写真撮影に思うこと』北島秀一
ラーメンに限らず一般論としては「外食時にその食事の写真を撮る人」の人口は本当に増えた。これは言うまでも無く携帯やスマホなどの「撮影機器」が以前に比べて圧倒的に増えた事と、blogや食べログ、SNSなど個人情報の「発表の場」が整った事が両輪になっている。
そんな中で、ラーメンは特に素人撮影の歴史が古い。blog以前に、個人がHTMLを駆使してHPを作っていたごく初期から写真を載せる人は現れている。その当時は撮影の是非以前に「HPに写真が載っていたら重くてたまらないから勘弁してくれ」と言われてサイズや圧縮率を工夫して写真ファイルの容量を下げるとか、借りているHPの容量が足りないので半年以上前の写真は削除するとか、管理人はみな涙ぐましい努力を重ねていた。撮影機器は当然まだまだ珍しかったデジカメで、外食の撮影自体も認知されていない。そんな時代から「撮影論争」はあったりする。
あまり昔話をしても仕方がないが、その当時から写真議論のキモは「他人に不愉快な思いをさせないか否か」に集約される。一番やり玉に挙がるのはシャッター音とフラッシュで、これは正直私から見ると反論の余地はない。滞留時間が短く、雰囲気も比較的ざわついているラーメン店ならいちいち怒る人も少ないかも知れないが、雰囲気を大切にするレストランなどだとつまみ出されても文句の言えない所ではある。個人的に、撮影は必ずデジカメを使うのも、写真のクオリティもさる事ながらシャッター音を完全に消せるから、と言うのが大きい。
また、個人的には遭遇した事はないが、写真撮影の動作などがあまりに大きくて目立つ場合もお店からは嫌われると聞く。やたらに何枚も撮影したり、立ち上がってアングルを探したり、他のお客が入るのも厭わず店内をやたらバシバシ撮っていたり、などの行為だ。
先述のように、以前に比べて外食時の写真撮影と言う行為自体はかなり珍しくなくなっては来たが、100%の認知がされた訳ではないと言うのは常に意識しておきたい。写真を撮らない人が、撮らない事で周囲に迷惑をかける事はあり得ないが、撮る事でムカつかれる可能性は充分にある。ただ、それをいちいち咎めていては面倒くさいから黙っているだけかも知れない。そこは謙虚に自覚をもった上であれば、例えば「初めてのお店なら必ず許可を確認する」くらいの事はごく自然に出来る筈だ。(ラーマガ017号より転載)
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は南千住に4月オープンしたマタドールの新業態『牛骨らぁ麺マタドール ANNEX』の「黄金の鶏塩 中華そば」を、山路と山本が食べて、語ります。