北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
■ラーメン活動月報(5月)
□告知/スケジュール
■編集後記
■巻頭コラム
『「グルメンピック」だけじゃない。ラーメン店を狙う犯罪達』山本剛志
「ラーマガ120号」で無料公開した巻頭コラム「グルメイベントの怪しい落とし穴」で紹介した「グルメンピック」だが、その後運営企業が自己破産を申請。債権者集会に出店予定者が参加していたが、6月3日に、運営会社幹部らが逮捕される事案になった。イベントの開催延期が告知されてからの動きに不審な点があったが、逮捕を伝える記事によると「振込通帳をシュレッダーした」「開催に向けての費用はほとんど使われていなかった」など、当初から詐欺目的だったのではないかと思える。刑事事件としてきちんと裁判する事は当然だが、参加料を振り込んだ出店予定者にどれだけ弁済されるか、見通しは立ちそうにない。
今回の件は大がかりな詐欺になったので逮捕と報道に繋がったが、飲食店を狙う犯罪はこれだけではない。特にラーメン店は売上があがる一方で、少人数で営業しているため詐欺は少なくない。典型的なのは「広告詐欺」。求人誌に掲載した飲食店に、その記事の切り抜きと振込用紙を勝手に送り付け、掲載料名目で金を振り込ませようとするもの。振り込んだことを忘れたり、スタッフが勘違いして振り込んでしまう事は少なくない。
古典的な手口は「釣り銭詐欺」。これは私がアルバイトしていたファストフード店では何度か起きていた。5000円札で会計した後「10000円札だったんですが」と言い、5000円をせしめようとするもの。その時は該当レジを閉めて現金差がない事を確認。何度か確認したところ引き下がった。しかし、これも忙しいラーメン店ではそこまでできるか難しい。食券機の横に高額紙幣用の両替機を置くラーメン店が増えたが、これが一番理想的な対応に思える。
ところが、食券機を直接狙う窃盗犯も少なくない。ラーメン店は儲かると思われているのか、被害にあうケースがままある。毎日現金を抜いて厳重に保管するのがあるべき姿だが、朝は準備で忙しいラーメン店の中には、前夜にセットしてしまうケースもあるという。
また、商標を狙った詐欺も少なくない。商標登録をしていない繁盛店の商標を勝手に取得し、「うちが権利を保有している」として、高額での買い取りを求めるケース。その商標での営業実績がない相手なら、商標登録にかかる手数料以上の支払いは不要だが、忙しい店主を狙ってふっかけてくるのだろう。
他にも「詐欺とは断定できないが怪しい商売」が近づいてきたり、店舗の契約関連でトラブルが発生する事もある。最近はSNSなどで相談して、同業者からアドバイスをもらう店主も増えている。深刻な問題になった場合は弁護士もいるので、不審なケースはまずは表に出してみてほしい。グルメンピックの件も、最初に気付いたのはFBにアップした店主からの写真だったので。
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は今年3月にオープンした中川會の最新店「麺屋中川會 住吉店」の「醤油そば」を山路と山本が食べて、語ります。
「醤油そば」850円