北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
■ラーメン活動月報(10月)
□告知/スケジュール
■編集後記
■巻頭コラム
『家系ラーメンの趨勢と次のブーム』山本剛志
ラーメン界には様々なブームが存在している。東京近郊に関していえば、古くは昭和40年代の「札幌ラーメン」に始まり、「つけ麺」「喜多方ラーメン」「博多ラーメン」「油そば」などがあった。21世紀に入ってからは「ご当地ラーメン」「青葉インスパイア」「牛骨ラーメン」「濃厚豚骨魚介」「鶏白湯」「二郎インスパイア」「台湾まぜそば」など、大小さまざまなものがあった。
中でも最近大きなブームになっているのは「横浜家系ラーメン」である。1974年に創業した「吉村家」が考案したスタイルで、鶏と豚骨を煮出した白濁スープに醤油ダレをあわせたもの。長い間、横浜市近郊のご当地ラーメンとして知られていたが、ここ数年で新たな動きを見せた。
そのきっかけは、「町田商店」「魂心家」など、多店舗展開を行う店が「家系ラーメン」を看板に掲げた事。醤油味だけだったこれまでの家系ラーメンと異なり、塩味や味噌味があったり、スープにマッチするライスを食べ放題にするなどのサービスも話題を集めた。しかし、2017年も後半に入ってきて、その勢いもピークを越えたと思われる。新規出店のペースが落ちる一方で、閉店する店舗も見かけるようになった。
では、次のラーメンのトレンドは何か。それを言い当てるつもりはないが、東京近郊では気になる動きが二つある。一つは「鶏清湯」。個人店の名店が多い一方、最近はチェーン店を手掛けている企業によるネクストブランドでそれを出すようになってきた。淡麗系のラーメン店でよく使われている鶏油だけでなく、「蔦」のミシュラン星獲得に影響されてか、トリュフオイルなどを使うケースも見られる。ブランド鶏をアピールする事もできるので、いわゆる「原点回帰」や「ネオ・クラシカル」といった言葉とは異なる、「鶏清湯」を手掛ける店はこれから増えるのではないか、と思っています。
もう一つは、「担々麺」専門店の増加。激辛ブーム以降、辛い食べ物に対する需要は増していて、都心部では担々麺、特に山椒を売りにした店が増えている。辛さでは個人差が強く出る為、大ブームにはならないと思うが、着実に店舗数を増やしていきそうな最近の状況である。
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は6月にオープンしたDue Italianの新業態「Ramen ドゥエ Edo Japan」の 「醤油らぁ麺」を、山路と山本が食べて、語ります。