■「ラーマガ」本誌に載せきれなかったレビューを掲載する「ラーメンレビュー増刊号」です
「ラーマガ」本誌では、各号で最大8件の個別レビューを掲載しています。遠征や連食などで、そこに収まらない私のレビューを、随時「ら~マニア共和国」で掲載します。
今回は巻頭コラムと、以下の13杯を掲載します。ラーマガ本誌と合わせてお楽しみください。
・「大つけ麺博」第一陣の6杯。
・8・9月の京都遠征レビューで紹介できなかった4杯。
・9月の茨城遠征レビューで紹介できなかった1杯。
□目次
1.巻頭コラム「大つけ麺博に行ってみた」
2.大つけ麺博第一陣レビュー
・無鉄砲 無心
・くり山
・信州鶏白湯 気むずかし家
・札幌つけ麺 風來堂
・千葉ラーメン 拉通
・ラーメン 海鳴
3.京都遠征:完全版
<本誌31号で「拳ラーメン@丹波口」「拳10ラーメン@西大路三条」のレビューを掲載>
<本誌32号で「ひばり@大津」「セアブラノ神@四条大宮」のレビューを掲載>
<本誌33号で「鶴武者@西院」「キラメキノトリ@神宮丸太町」のレビューを掲載>
<本誌34号で「夕日のキラメキ@一乗寺」「石田食堂@丹波口」のレビューを掲載>
<本誌35号で「かたぐるま@丹波口」「鶏谷@西院」のレビューを掲載>
<本誌36号で「猪一@河原町」「龍旗信@河原町」のレビューを掲載>
・第一旭@京都<京都の老舗、王道のすっきりした一杯>
・ほそかわ@西院<京都の老舗、まろやかな味に旨みあり>
・香来@丹波口<台湾まぜそばが市場の中にも>
・いっちゃんラーメン@東山<ジャマイカの香り、トマトの匂い>
4.茨城県日帰り遠征:完全版
<本誌35号で「えぞっ子蔦江@ひたちなか」「珈奈里屋@ひたちなか」のレビューを掲載>
<本誌36号で「二代目むじゃき@ひたちなか」「いっと@常陸多賀」のレビューを掲載>
・覇気@東海<いっと出身のスタミナ冷やし>
■巻頭コラム
「大つけ麺博に行ってみた」
今年で6年目になる「大つけ麺博」が、10月2日から新宿歌舞伎町の大久保公園で開始された。今年は「第一回みんなで選んだご当地つけ麺GP」というサブタイトルがつけられている。さっそく当日の昼に訪問。つけ麺博の概要としては以下の通りになります。
・会場の「大久保公園」は、東京都新宿区歌舞伎町2-42-3。
・毎週木曜日から水曜日まで、第一陣から第四陣が6店舗ずつ出店。
・営業時間は11:00~21:00(10/8、10/15、10/22は15時で終了)。
・全店共通の食券制。普通盛880円、女子盛(女性限定)800円。
・セブンイレブンの前売りは、普通盛だと830円になる。
そんなわけで、セブンイレブンで前売券を購入して会場へ。大久保公園は、新宿駅からだと歌舞伎町の歓楽街を突っ切って向かう形に。その雰囲気が苦手な人は、西武新宿駅の北口から歩くと近くて安心。会場の右半分にはプレハブが作られ、2階部分に客席、1階部分も雨がしのげる部分がある。平日の客数なら雨が降ってもつけ麺を食べるには支障はないと思える。行列をスルーできる時間指定制「ファストパス」もあるが、こちらも休日で時間がない人限定かな、という気がする。
客席には調味料がないので、調味料が必要な人は、つけ麺を提供するブースの前に置かれているものを使用。スープ割りができるブースもある。店員から渡されるのは割り箸と紙ナプキン。去年まで出口付近にあった「投票システム」が今年はなくなっているのが大きな違い。その分、容器の後片付けには時間がかからないと思われる。
第一陣の6軒のつけ麺、ラーメン仲間がやってきて皆でシェアしながら食べられたので、それぞれについて少し短めにレビューします。
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【無鉄砲 無心】
「烏賊豚骨つけ麺」880円
※10月8日まで
「豚骨馬鹿」を自称する赤迫店主が、大つけ麺博でもひたすら寸胴をかき混ぜる。今回は豚骨と烏賊干しと水だけで作り上げた怒涛の濃厚つけ麺を提供。1週間で100kgを使うという烏賊干しの匂いが存分に出ているので、烏賊が苦手な人にはオススメできないほど。しかも、無鉄砲の濃厚豚骨感も全く失ってない。「豚骨と烏賊の味を足して2で"割らない"」つけ汁なので、豚骨が苦手な人にもオススメできない。しかし、その両者が好きな人にはたまらないつけ麺が楽しめる。今回限定ということで、豚骨と烏賊が好きな人には是非食べてみてほしい。
小分けのスペースに入った柚子の欠片をつけ汁に入れるとややあっさりするが、烏賊と豚骨のインパクトが消えるわけではない。「胡麻」「辛子高菜」「ニンニク」「紅生姜」はブース前に置かれているものを麺に乗せた状態がこちら。これらの薬味も烏賊や豚骨を止める事はできないので、物凄いの一言に尽きる。「無心」は奈良市に店を持ち、東京には無鉄砲のつけ麺店として「無極」があるが、そこでも味わえない烏賊のインパクトは第一陣の期間内に食べてほしい。
烏賊豚骨 無心にかき混ぜ 無二の味
【くり山】
「つけめん」880円
※10月8日まで
横浜市白楽の激戦区で、つけ麺が人気を集める店。東池袋大勝軒や六厘舎などで働いていたご主人の店。今回の大つけ麺博では「東池袋大勝軒の山岸さんの製麺機を譲り受けた」エピソードを紹介。ブース前の壁に貼紙したり、のぼりをたっぷりと並び立てるブースが多い中、それらをせずに看板一枚だけの静かな営業。
つけめんもシンプルに濃厚なつけ汁。豚骨、鶏ガラ、玉ネギ、ショウガ、煮干し、サバ節、鰹節を使っているとのこと。つけ汁の底にはチャーシューとメンマが沈む。しっかりコシを感じる太麺は啜り心地にインパクトを感じるもの。イベントでも自分の店の味を地道に出してくれるところが嬉しい。質実剛健な一杯を啜ってみてほしい。
つけめんの 王道貫き 新宿も
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【信州鶏白湯 気むずかし家】
「信州小麦薫る山賊つけそば+半熟味玉」880円+100円
※10月8日まで
長野を拠点に、東京でも「烈士洵名」「魚雷」を展開する塚田店主。長野に鶏白湯の流れを作り出した「気むずかし家」の名でつけ麺を提供している。
今回は塚田氏がプロデュースした長野県産の小麦「夢絆」を使用。麺の喉越しと旨みを両立させた「つるつるもちもち麺」は、つけ麺では理想的な多加水平打ちの太麺だが、この両立は難しいだけに嬉しい。つけ汁は鶏白湯を使ってしっかりした味を残しながら、しつこさは感じない。そして、このつけ麺最大のインパクトは、信州名物の「鶏の山賊焼」。そのまま食べてもいいが、つけ汁に潜らせた「つけ鶏」も美味しい。タルタルソースも山賊焼との相性がよい。塚田さんは最近山賊焼を推してるけど、確かにこれは美味しいんだよなぁ。半熟味玉は追加トッピング。黄身がやや流れる程度の半熟で滑らか。長野らしさを随所に加えながら、つけ麺の王道を行く味わいが楽しめるので、幅広い層にオススメしたい。
信濃から おらが小麦が 山賊と
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【札幌つけ麺 風來堂】
「味噌つけ麺」880円
※10月8日まで
札幌市豊平区のつけ麺専門店。去年に続いて二度目の「大つけ麺博」。店舗では「醤油」「塩」の「札幌つけ麺」も提供しているようだが、このイベントではやはり「味噌つけ麺」での参加。北海道産の味噌をブレンドした味噌ダレを使い、豚骨ベースに魚介を軽く加え、挽肉や玉ネギ・モヤシを炒めたものを入れてつけ汁に仕上げている。
黄色い麺は軽くプリッとして、これもまた札幌らしい。そして炒められた野菜が札幌ラーメンらしさを表現していて、ブレンドしてクセを抑えた味噌ダレともマッチ。かといって、味噌の味付けや油脂には頼りきらない、味噌つけ麺としての節度も守った味わい。これはなかなか美味しいし、つけ麺にした必然性もある。オススメできる一品。
北の香が 風に乗せられ たどり着く
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【千葉ラーメン 拉通】
「船橋ソースつけ麺」880円
※10月8日まで
ここ数年、船橋市や近辺の店舗が共同して「船橋ソースラーメンプロジェクト」を展開、ソースラーメンの新しい展開をし始めている。そちらに参加している「拉通」が、八千代市の店舗を休業してまで大つけ麺博に参加している。ソースラーメンプロジェクトに参加している「阿修羅」のご主人も連日こちらに来ている他、プロジェクト参加店の店主らが日替わりで厨房に入っている。
つけ汁はソースをしっかり入れて、デミグラスソースを思わせるまろやかなコクを感じさせるもの。ホワイトソースの効果もあって飽きさせない。このつけ汁だけで独自性のある味と感じられ、平打麺との相性も抜群。具には豚シャブ肉をたっぷり乗せ、ガーリックバターソースをかけて仕上げ。肉をつけ汁につければ、ガーリックバターが適宜つけ汁に流れていくのでその味の変化も楽しめる。ソースを効果的に使いながらつけ麺らしさをしっかりと楽しませてくれる。他にないつけ麺をこの機会に食べておきたい。
つけ麺も ソースで変わる 世界見せ
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【ラーメン 海鳴】
「黄金の鶏白湯つけ麺」880円
※10月8日まで
福岡市で話題を集める新進気鋭の店。ご主人は「凪」などの人気店で修業した経験を活かし、豚骨ラーメンに限らない魅力をラーメンで表現している店。本店で提供している豚骨ラーメンや豚骨魚介ラーメンを通販で販売している事もしっかりPR。
今回は豚骨ではなく、鶏白湯ベースのつけ麺。ちなみに写真は「特製トッピング」付きで、「焼き明太子」「山クラゲ」「チャーシュー増し」「半熟味玉」がプラスされている。
鶏白湯ベースながらあっさりし、それでも薄いわけではない滑らかさが、太めの麺にもしっかりと絡んできている。つけ汁の油がしっかり絡んでくるので、物足りなさはないので、幅広い層に受け入れられそう。
福岡の 海から上京 鶏鳴らす
□ラーメン実食レビュー
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