北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
■新連載コラム(第3回)
『ラーメンの憂鬱』〜文化を紡ぎ出せない人たち(山路力也)
『教養としてのラーメン』〜札幌における戦前のラーメン(山本剛志)
□告知/スケジュール
■編集後記
■巻頭コラム
『「ラーメンショー行列予想」は何故当たらないのか?』
10/24(金)から始まった「東京ラーメンショー2014」。今年で6回目でありながら、週末には長い行列ができたものの混乱は少なかった。ラーメンの魅力がまだまだ多くの人を引き寄せている。私も「東京ラーメンショー2014徹底予想」で行列を予想したが、正直な所、今年も外れを認めざるをえない。現地でいろいろな情報を集めたので、第一幕の状況から言い訳をさせていただきたい。
(1)看板の訴求力
通常のラーメン店と違い、一列に20種類のラーメンブースが並ぶ東京ラーメンショー。看板で、いかに食べたくさせるかという要素が大きい。ブースの上に掲げた看板がお客に与えるインパクトで、一番強いのは「ラーメンの現物写真」。次に商品名で、店名や団体名はあまり効果がない。店主の写真は、よほどの有名人でないと意味がない。そしてこの看板がどうなっているか、私も当日にならないと分からないので、予想を外すことになる。
一例として「上越革麺会」を挙げたい。こちらの商品は美しい雪景色を思わせるラーメン。若い女性を対象にしたテレビのアンケートでは、ラーメン画像を見て食べたいと思わせるランキング1位だった。しかし看板にはラーメンの画像がなく、行列も出来てはいたが予想よりは短かった。もちろん並ぶところに立てかけた看板には商品の写真を掲げていたが、人が多くなればそこは見る事が出来ない。ブース上の看板が圧倒的な意味を持っている。
(2)テレビで取り上げられる回数・タイミング
短期のイベントなので、テレビで紹介される機会が多い。今年の様子も夕方のニュース番組を中心に紹介されている。テレビで紹介されたブースに翌日長い列ができる事が多いが、それもタイミング次第。同じテレビ番組の中でも時間帯で視聴率が異なる事もあって、テレビ露出の効果は不確定である。
(3)地名の持つインパクト
「ご当地ラーメン」をテーマの一つに掲げる東京ラーメンショーなので、その「地名」が持つブランド力もある。「札幌」「博多」といったラーメンで知られる土地や、「佐伯」「大船渡」といった滅多に行けない土地は有利に働く。
一方で今回伸び悩んだ「船橋ソースラーメン」は、東京から近いことで「船橋だったらそのうち行くし」と思われてしまい、今回は不利に働いたと思われる。また、「ばふ。×力皇」のコラボも地名がなく、格闘家同士のイメージが先に立ち、本格的な鶏と味噌、白菜の味わいが食べてみないと分からなかったのではないだろうか。
(4)回転の向上
行列を予想していたブースでも、特に問題になるような回転の遅さはなかった。スタッフを増強したり、これまでイベントに出店していたラーメン屋がサポートに入るなど、ラーメンをなるべく早く、いい状態で提供しようとする心意気が、各ブースに見られた。毎年の様子を見ていると、改善が進んでいると感じつつ、その分行列が短くなる結果になりました。
その味を食べてない人が多いイベントでは、「味」よりも「味以外の要素で客を引き付ける」事が大事になってくる。そんなわけで、東京ラーメンショーも今日から第二幕。今回も最新情報をラーマガにて紹介していきますので、そちらも参考になさってください。
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回10月29日、新横浜ラーメン博物館にオープンした『NARUMI-IPPUDO』の「黄金に煌めく超絶〜コンソメヌードル〜」を山路と山本が食べて、語ります。
「黄金に煌めく超絶〜コンソメヌードル〜」980円