北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
■【新企画】ラーメン活動月報(4月)
□告知スケジュール
■編集後記
■巻頭コラム
『「ラーメンのスープ研究」を見に、大阪まで行ってきた』山本剛志
料理人を中心に、関西の食文化を研究し、関西の飲食業界を活性化する「関西食文化研究会」。こちらで4月20日、「ラーメンのスープ研究」という「1テーマ・スタディ」が開催されると聞き、「拳ラーメン」「龍旗信」の店主がスープ作りを見せるという事もあり、この為に関西食文化研究会に入会して参加してきた。(そのついでに大阪遠征してきましたので、そちらは後日レビューします)
大阪ガスの博物館「ハグミュージアム」5階で、130人程が観覧できる「ハグホール」が会場。ほぼ満席で、様々な飲食関係の人達が集まっていた。今回は「基調講演」「料理デモンストレーション」「トークセッション」の三部構成。
コアメンバーである門上武司氏(フードコラムニスト)の開会宣言に続いて、「味博士」を名乗る鈴木隆一氏による基調講演「味覚センサーによるスープ解析と飲み比べ」。拳ラーメンと龍旗信のスープを味覚センサーにかけ、その成分を公表。中でも旨みを感じる成分と塩分の関係に興味を惹かれた。旨みが増していく中で、一定量の塩分があると旨みの効果が薄くなる時があるという。また、「旨味を効率的に抽出する為の科学的方法」に関する議論も行われた。今回はスープに加えるタレと香味油の重要性を感じる為、我々にはスープだけを入れた紙コップが配られて、まずはそちらを味見した。
その後、第二部では「拳ラーメン」「龍旗信」店主が、スープ作りの様子をモニターしながらプレゼン。モニターで映しながらラーメン作りの様子を見るのは新鮮だし、澄んだスープと白湯スープ、作り方は違っても、素材をなるべく使い切ろうとする姿勢が共通だったり、それぞれの考え方を聴きながら作られていくスープは新鮮でした。その間に、「セアブラノ神」「極鶏」など京都のラーメン店主らが応援に入り、奥の厨房スペースで作った、一口サイズのラーメンが提供されてきました。「拳ラーメン」は「ラーマガ31号」、鶏たいたんラーメンを提供している「龍旗信RIZE」は「ラーマガ38号」でレビューを掲載したので、詳細はこちらも参照してほしい。
それぞれのスープに合わせた麺は、京都の「麺屋棣鄂」が担当。両店主と棣鄂の工場長、そして門上氏、鈴木氏とのトークセッションでは、山口浩氏(「神戸北野ホテル」総支配人・総料理長)と山根大助氏(「ポンテベッキオ」オーナーシェフ)からの問題提起もあり、意義深い討議になっていました。龍旗信の白湯スープについて、素材をすりつぶして加える所に、ソースとの共通点を感じるといった指摘は、ラーメンばかり見ている私には気づかない視点でした。
今回のイベントを見て思ったのは、こういったラーメンの勉強会が、もっと関東でもあってしかるべきではないかということ。もちろんスープの勉強会は各地で開かれていると思うが、ラーメン以外の飲食店も含めた食文化全体で学ぼうとする姿勢は、私には見えてこない。昨年聴講した「全日本・食サミット」も関西の飲食店店主らによる取り組みだった。関東でも、もちろん全国各地でも、こういったイベントが開催されるようになってほしいと感じた。
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は2月20日西武新宿にオープンした、焼きあご塩らー麺 たかはしの「焼きあご塩らー麺」を山路と山本が食べて、語ります。
「焼きあご塩らー麺」800円