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作家はみんな自分だけの「金ピカ」を持っている。(SE編集者のコラム)
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作家はみんな自分だけの「金ピカ」を持っている。(SE編集者のコラム)

2021-02-18 19:00


    皆さま、こんにちは、よぴおじです。
     
    さて早速ですが、皆さんはこの【名言】をご存知でしょうか。
     
    「どんなにアホに見えたって、偽物じみた金ピカだって、俺が、俺たちが、それはすごいって思ったらそれはすごいんだよ。」
     
    これはウィリアム=マサチューセッツという人物が行った、とある演説のなかで語られた一文です。
    実はこの言葉をきいたとき、私は感情が盛り上がり涙を流してしまったものです……。
     
     
    はい、持って回った言い方をしましたが、「アホ」や「俺」が入ってることからも既にお察しかもと思いますが、これは実在する偉人などの演説ではなく、小説『ログ・ホライズン』の作中台詞です。
    それらしい響きですが、ウィリアム=マサチューセッツという呼び名も、日本人キャラクターのハンドルネームです。
     
    まず小説『ログ・ホライズン』について軽くご紹介すると、
    剣と魔法の世界を舞台にしたMMORPGゲーム「エルダー・テイル」。そのゲームの全プレイヤーが、「エルダー・テイル」にそっくりな世界に自分の操作キャラクターと見た目が同じ姿で、転生されてしまう。
    冒険者(=転生者)となった主人公たちは、ゲームの頃に獲得した強力な能力を保持したまま転生しており、その力と知識は本来この世界で生活していた大地人(=NPC)に対して大混乱をまねくこととなる。
    元「エルダーテイル」プレイヤーたちは大地人との共存、そして地球世界への帰還方法と世界の謎を探求していくことになる。
     
    ざっくりと上記のような、あらすじとなるのですが、
    件のウィリアム=マサチューセッツ(以下、ウィリアム)は主人公陣営ではありますが、そこまで出番の多いキャラクターではありません。
     
    かつてMMORPG時代(=前世?)に廃人ゲーマーだったウィリアムは、レイド攻略を生きがいとしていました。レイド攻略とはレイドボスと呼ばれる敵を倒す長時間の戦闘のことで、彼は転生後の世界でもレイド攻略に自らの意思で挑むことになります。
    レイド攻略は倒さなくても誰も困らないボス、倒す必要のない超強大な存在を、仲間と協力し何十時間ものを費やして達成します。
     
    まだゲームだった頃の「エルダー・テイル」のレイドボスは、
    倒すことで社会的な評価は得られません。
    倒すことで効率よくお金を稼ぐことはできません。
    倒すことで自分が賢くなるわけでもありません。
     
    しかしウィリアムとその仲間たちは、今も昔もレイド戦に本気で挑みます。
     
    レイド戦の実績を、ゲームプレイヤー以外は誰も褒めることはありません。
    ひとによっては膨大な時間を費やすことを馬鹿にするかもしれません。
    それでもウィリアムたちがレイド戦に挑戦するのは、なぜなのか。
    それが、自分たちにとって「価値がある」と思うからです。
     
    やってみなければわからない「面白さ」
    仲間と共に何時間もの苦労を繰り返し、終わった後に笑い合う掛けがえのない時間と達成感
    それは彼らだけの何よりも得難い「金ピカ」なのです。
     
    ゲーム時代のウィリアムは不器用な男で、実生活では建設的なことを上手くこなせない人間でした。
    でもレイド戦だけでは、彼は有能なリーダーとして活躍できたのです。
    前世の頃からウィリアムにとってレイド戦に挑むことは、誰が何と言おうと、自分の信じ仲間たちもまた共有する「金ピカ」であり、価値のあるものでした。
     
    『ログ・ホライズン』の該当のシーンを読んでも共感できない人はいるかもしれません。
    しかし台詞のこのシーンで、私はマジで泣きました!
     
    それは自分がゲーマーだからということもありますが、何より自らの信じる「金ピカ」の価値を信じ行動すること。
    その「価値」を私自身も信じたいと思っているからです。
     
    さて、ここまでが『ログ・ホライズン』の紹介です。
    このコラムでは作家さんやクリエイターの皆さん向けのブロマガですので、ウィリアムのいう「金ピカ」の精神はクリエイターにとって、もしかしたら「何よりも大事なこと」かもしれません。
     
    「金ピカ」の精神に通ずる、作家さんにとって「大事なこと」について書こうと思います。
     
     
     
     
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