今週に入って朝晩、冷えることが多いですが、
体調崩されていないでしょうか?
露木行政書士事務所・露木幸彦と申します。


最近、必ずしも「結婚」という形にとらわれない、
新しい形(あえて籍を入れない)を模索する男女のカップルが
増えているようです。



これはどういうことでしょうか?



例えば、NHKの世論調査「日本人の意識調査」によると
「結婚するのが当たり前だ」と考えている人は1993年から
15年間で約10%も低下し、2008年の時点では約35%しかおらず、
このことから結婚という形が少しずつ形骸化していることが分かります。



ところで「婚外子」という言葉をご存知でしょうか?



これは結婚していない男女の間に産まれた子のことです。
日本においては出産全体に占める婚外子の割合は、
日本ですと28年の間で2.6倍に増えたのですが
(1980年は0.8%。2008年は2.1%)



出産全体の98%は結婚している夫婦の間に産まれた子なので
現在のところ、婚外子の存在はまだまだ少数派で
マイノリティーです。



一方、他国の事情はどうでしょうか?



例えば、フランスでは28年間で約4.6倍(1980年は11.4%。2008年は52.6%)
イギリスでは約3.8倍(1980年は11.5%。2008年は43.7%)
そしてアメリカでは2.2倍(1980年は18.4%。2008年は40.6%)に
増加しているようですが、増加傾向なのは日本と同じですが、



日本との違いは全体に占める婚外子の割合です。
このように欧米諸国では約半数に達している国が
多いというのが現状です。



(他にはスウェーデンやデンマーク、オランダなど。
前述の数字はすべて平成25年の厚生労働白書より)



日本では価値観の多様化、非正規雇用の拡大、
そして出会いの場の減少などによって非婚化、晩婚化、
そして少子化がますます進んでいますが、



それらの原因の背景にあるのは「若者が結婚へのハードルが
高すぎると感じているからではないか」と
いう議論がそこかしこで行われており、



「結婚へのハードル」を解消する策として事実婚
(籍を入れないけれど、まるで夫婦のように一緒に
暮らしている男女のこと)を推奨しようという機運が高まっています。



今までは「籍を入れている夫婦(法律婚)」の
ケースばかりを取り上げてきましたが、実際のところ、
私のところに相談しに来るには必ずしも法律婚だけでなく、
事実婚の男女も一定数、存在するのです。



特にここ2,3年で「事実婚の女性」が増えているという印象です。



例えば、前述のケース(籍を入れずに夫婦同然の生活をしている男女)
だけでなく、妊娠をきっかけに結婚の約束(できちゃった婚)を
したけれど、籍を入れる前に喧嘩別れをしたり、



男性が既婚者なので籍を入れることが叶わなかったり(=内縁)、
女性の妊娠が分かった途端に男性が同棲先から逃げていったり・・・



このように事実婚の内情は多種多様です。

今後、日本が他国のように事実婚が増える可能性がありますが、
男女の関係がずっと良好なら問題ありません。



しかし、法律婚にせよ事実婚にせよ、他人同士が接点を持つのだから、
途中で関係がこじれて、残念ながら、結果的に解消せざるを

得なくなるケースもあり、結果的に事実婚の数が増えれば
増えるほど関係解消にまつわるトラブルも
増えることが予想されます。



今回は事実婚のなかでも男女間に子どもがいる場合・・・
「婚外子」についての相談を紹介しましょう。
(名前、住所等はすべて仮称)



今回の相談者は熊本良子さん(32歳)。良子さんは彼氏
(福岡太郎さん、42歳)と付き合っており、今年で交際3年目。



もちろん、3年の間に何度となく結婚の話が出たそうですが、
太郎さんの両親が2人の結婚に反対しているようで、
今だに入籍できずにいました。



太郎さんの「何とか説得する」という約束を信じて、
良子さんが熊本から転居し、太郎さんの福岡のマンションに
移り住むという形で同棲を始めたそうです。



しかし、その後も太郎さんはなかなか両親を説得できず、
先の見通しが立たず中途半端なままで、ずるずると時間ばかりが
過ぎていったのですが、



そのせいで良子さんは不安な気持ちを
日増しに膨らませていき、2人の間に雰囲気が悪くなり、
些細な喧嘩がたびたび起こるようになっていったのです。



そんな矢先、良子さんが怒りを爆発させ、
思わず「出て行ってよ!」と口走ってしまったそうです。



太郎さんはさすがにカチンときたようで、マンションから
出て行き、実家に向かったのですが、良子さんは
取り残されてしまったのです。



しかし、それだけではありませんでした。



よりによって、そんなタイミングで良子さんは
妊娠していることに気が付いたのです。



本当なら一刻も早く、太郎さんに「戻ってきて欲しい」と
頼まなければなりませんが、良子さんは自分の方から
「出て行ってよ!」と言ってしまった手前、太郎さんへ
連絡をとれずにいました。



もともと良子さんは同棲を始める際、「いずれ彼と結婚して
一緒に子供を育てていく」という理想が現実になると
信じて疑わなかったのですが、今現在の良子さんはどうでしょうか?


このままでは「彼と結婚せず1人で子供を育てていく」ことに
なりかねず、理想と現実はあまりにも大きくかけ離れており、
そのせいで思考停止に陥ってしまったそう。



結局、良子さんは太郎さんに妊娠のことを伝えることが
できないまま、妊娠6ヶ月をむかえ、いよいよ出産する他に
選択肢がなくなったのですが、平成25年6月、良子さんは
ようやく意を決して私のところに相談しに来たのです。



ところで良子さんが太郎さんに対して何を求めることが
できるでしょうか?具体的にいうと子供の認知、養育費、
出産費用の支払という3つですが、順番に見ていきましょう。




まず認知ですが、両者間の子の扱いについて法律婚と
事実婚では大きく異なります。



まず結婚している夫婦の間に子が産まれた場合、
子は夫婦の戸籍に入り、子の戸籍の父親欄には
夫、母親欄には妻の名前が記載されますが、
必要な手続は役所に出生届を提出するだけです。




一方、事実婚の場合はどうでしょうか?





(次回に続く)



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