今回の「みんなの部屋」は、生活雑貨屋「sent.」の店主を務める秦さん。前職では都内のデザイナーズ物件やリノベーション物件などを紹介する「R-STORE」に3年半勤め、在職中に1Fが店舗スペースとして使えるこの部屋に引っ越してきた。そして今年7月、念願の生活雑貨屋をオープン。
オープンしたばかりの初々しさと、バタバタ(していたのだろう)感が織り交ざったこのお部屋。しかし器をはじめとするこだわりのアイテムは、雑貨屋店主らしい特徴的なものばかりだった。
名前:秦美咲さん職業:雑貨屋「sent.」店主
場所:埼玉県北本市
面積:66㎡(1階店舗部分含む) 2DK
家賃:7万円
築年数:約35年
間取り:
1Fはほとんど店舗部分。店の奥に風呂やトイレ、階段があり、キッチンは2Fという珍しい間取り
1Fに構える店舗「sent.」
お気に入りの場所
抜け感のあるキッチン以前住んでいた家は1Fだったため、キッチンの窓を開けると、2Fへの階段風景だけが見えていたそう。その点、この部屋は2Fにキッチンがあり、かつ建物もないので、外を眺めながらの料理が可能だ。
「角部屋なので窓が多くて、たくさん光が入るんです。埼玉は空が広いなぁって思ってます(笑)」
長野の古道具屋で買ったイスの上長野の「ninjinsan」という古道具屋さんで購入したこの椅子。ここに縮こまって座っていることが多いのだそう。
「値段を聞いたら『3000円』と。即決で買いました」
この椅子では器を眺めていたり(!)、本を読んだり、スマホをいじって過ごしているという。
器が並ぶ棚から、嬉しそうに何かを取り出した。
「器の他にも、お猪口を約20種類くらい持ってるんですよ。以前居酒屋でお猪口がいっぱい出てきて、自分で選ぶスタイルだったのを自宅でやりたいと思いまして(笑)」
以前住んでいた西荻窪では、とことん居酒屋で飲み歩いていたという。ただ今の自宅付近には居酒屋が少ないので、家で飲むことが多い。
さまざまな形のお猪口を本当にたくさん持っていて、そしてなにより、お酒の話をしている時の表情はとっても嬉しそうだ。
この部屋に決めた理由
秦さんは不動産会社に勤めていただけあって、年に1度のペースで引っ越しをしていた。東京を転々としていたというが、2016年の12月、この埼玉県北本市へ。どうして都心からそこそこ距離のある北本を選んだのだろうか。
「東京は楽しいけど、疲れてきちゃったなぁと(笑)。
もともとは栃木が結構好きで、よく行ってたんですよ。友人と一緒に大谷石の採石場跡でイベントをしたりもしていて。でも栃木に住んでも都内には通えないし、地元である福岡にも帰りにくい。埼玉だったらギリギリ大丈夫だろうなぁというところからですね」
そこから部屋探しを行うが、さすがに周りに誰もいない土地では難しいと感じたため、友人が近くに住む北本市に決めた。
たまに「移住」と言われることもあるそうだが、秦さんの中では「引っ越し」の範囲内。
「探す基準は『路面店の店舗付き』『開けた場所』くらいでしたね。向かいに朝早くからやっているパン屋さんがあるし、条件もバッチリなので決めました。
引っ越した当初はまだR-STOREに勤めていたので、ここから通っていたんです。西荻窪に住んでいた時の感覚で飲み歩くと終電がすぐやってきますから、結構終電を逃してました(笑)」
残念なところ
窓のないベッドルーム「冬はあったかくて良いのですが、夏はちょっと暑くて。あと朝起きた時に暗いのがちょっと嫌ですね……」
トイレ~洗濯機置き場にかけての謎なつくり
赤い部分が窓
トイレの隣に洗濯機置き場。そこには小窓が付いている。しかしトイレにも窓。トイレから窓を開けると洗濯機置き場が見えるという不思議なつくりとなっている。
お気に入りのアイテム
バルミューダの扇風機暑さが限界に達したため、購入したというバルミューダの扇風機。すっきりとしたデザインでどんな部屋でも合いそうだ。
「この扇風機、めちゃめちゃ良いんですよ。音が全然しないところも良いのですが、一番は『そよ風』を出してくれるとこ。寝る時にちょうど良い風力なので、心地良く眠りにつけます」
ドイツ製のアイロン「前はコードレスを使っていたんですけど、コードレスっていちいち置かなきゃならないじゃないですか。それがめんどくさくて。
ドイツ製のものですが、重みで伸ばしていけるので使いやすいんですよ」
まげわっぱ「本当はお弁当箱なんですが、そういう使い方はしていなくて。普段ご飯は鍋で多めに炊くんですけど、ひとり分くらいこのまげわっぱに入れておくと、冷めててもおいしいんですよ。おひつの代わりになりますからね」
直火OKの耐熱皿「益子で作陶されている廣川温さんが作った耐熱皿です。直火OKで、そのまま調理できるので便利なんですよ。たくさんある器の中でも特にお気に入りです」
暮らしのアイディア
カーテンは布切れで作る引っ越し好きな秦さんならではのアイディア。引っ越す度にカーテンを買い替えるのは野暮なので、IKEAのクリップを活用し、布切れを挟んでいるだけ。
これからの暮らし
お店のオープン準備で、2Fの居住空間はほとんど手が付けられていなかったという秦さん。
「やっと店の改装も落ち着いてきたので、部屋の方に取り掛かりたいですね。本棚を作ったり、洋服の整理をしたり……。棚などを購入しても良いですが、家に合わせた方が一番使いやすいと思うので、作って揃えていきたいと思っています」
「みんなの部屋」バックナンバーNIKE発祥の地、洗練された暖炉付きスタジオ(ポートランド)
ベッド下からトランポリン。光のあふれる一室で暮らす、広告代理店勤務の女性(駒場東大前)
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Photographed by Kayoko Yamamoto