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ポートランドのDIYカルチャーに惹かれ実現。木造一軒家をセルフリノベ(江戸川)|リノベストーリー
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ポートランドのDIYカルチャーに惹かれ実現。木造一軒家をセルフリノベ(江戸川)|リノベストーリー

2018-01-23 06:00
    千葉県との県境にあたる東京都江戸川区。それまで1度も降り立ったことがなかったというこの場所に居を構えるのは、マネキンなどの立体物を中心にデザインを手がける山田哲也さん。

    会社からほど近いワンルームで“寝るだけ”の生活を送っていたという山田さんは、なぜ縁もゆかりもないこの一軒家に住むことを決めたのか。自身の仕事と密接にリンクしたお部屋探しのきっかけから、セルフリノベーションの意外な魅力をうかがいました。

    セルフリノベーションすることに決めた理由は?

    普段の仕事は、店舗に置くマネキンや什器の設計・デザインなんですが、今回勤めている会社がインテリアブランドを立ち上げることになったんです。それで、本格的にインテリアデザインにも挑戦することになったんですけど、当の自分の部屋が素敵なインテリアを置ける状況になく……(笑)。

    会社からすぐ近くの両国のワンルームに住んでいたんですが、本当に“寝るためだけ”の部屋で、なかなかそこに置く素敵な家具をイメージできなかった。キッチンもまともに機能していませんでしたし、部屋も狭いからベッドでいっぱいだったんです。そこで、インテリアデザインをする前に、まずは自分の部屋を素敵な空間に変えていこう、と。


    最初はデザイナーズマンションなども含めて検討したのですが、やっぱりレイアウトが固定されてしまっていると面白くない。

    また、サスティナブルな町と言われるポートランドやブルックリンなどを通じて盛り上がっているDIYカルチャーにも興味がありました。学生時代に内装の手伝いをしていた経験もあったので、どうせなら自分の手で部屋を作ってみようと思ったのが、セルフリノベーションすることにしたきっかけですね。

    どのように物件探しを行いましたか?

    蔵前のダンデライオンチョコレートの店舗のように、木造で天井の高い空間というのが1つの理想としてありました。それと、物件の購入も検討してみたのですが、スピード感とコスト面を考えると、賃貸の方が何かと便利。なので、「賃貸」「木造」「一軒家」と条件を絞り、「R-STORE」など、リノベーション可能な賃貸物件を扱うWEBサイトでひたすら物件を探しました。

    今の物件を見つけたのは、本当にたまたまです。実は1度も江戸川駅には降りたことがなかったんですけど、場所自体にこだわりがあったわけではなかったので、ここに決めました。

    セルフリノベーションはどのように進めましたか?

    最初の1ヶ月間はフリーレントにしてもらっていたので、前の部屋に住みながら、仕事が休みの日に来ては、少しずつ進めました。終盤は今の部屋に住みながら塗装したりもしましたけど、リノベーションにかかった時間は土日と有給合わせて14日間ぐらいだと思います。電気周りだけは資格が必要なので業者さんにお願いしましたけど、それ以外は基本的に全て1人で行いました。

    リノベーション前の2階リビング
    リノベーション前のキッチン

    主にリノベーションした場所は、天井と壁とキッチン周り。前に住んでいた方もデザイナーさんだったらしく、ところどころ改造されているのですが、フローリングやドアなどは全体のバランスを考えて、そのままにしました。新たに購入した家具なども含め、かかった費用は30万円程度だと思います。

    Yamada Tetsuyaさん(@tetsuyamadiy)がシェアした投稿 – 9月 30, 2017 at 10:25午後 PDT

    特にこだわったのは、やっぱり天井です。はじめから天井は抜くつもりだったのですが、実際に作業するまではどんな空間になっているかわからないのでドキドキでした(笑)。結果的に、存在感のある2本の梁と濃い目の木材の色が気に入って、当初は真っ白にしようと思っていたんですけど、あえてそのままに残しました。


    作業を進める上で大変だったことは?

    僕の考えが甘かったのもあるんですけど、築50年の物件に使われている製材って真っ直ぐのものばかりじゃないんですよ。壁を塗装するときは、まず石膏ボードを貼り付けて、つなぎ目をパテしていくんですが、もともとの製材自体に歪みがあるから、寸法通りのものを用意したはずなのにうまくはまらない(笑)。だから、現場で調整することも多くて、想像より時間がかかりました。

    あとは、もとの木が古いので、塗装した下から木のヤニが浮いて出てくるんですよ。普通は、シーラーっていう木材とペンキの間に塗る塗料を塗るとヤニを防止できるんですけど、この物件はペンキを突き破ってくる(笑)。これは、想定外でしたね。

    ただ、そういった想定外のヤニが出てきた上で、僕の場合はそのままにするという判断をしました。昔、ニューヨークでファッションの展示会に行ったことがあるんですけど、そこで使われている什器って飛び出したビスがそのままになっていたりする。意外と、その飾らない感じがかっこいんじゃないかな、と。

    だから、キッチン周りのタイルもよく見ると歪んでいたりするんですけど、あえてそこにはこだわらない。業者さんにお願いすれば、確実に計画通りのものに仕上がると思うんですけど、自分でリノベーションするメリットは、作業を進める中でその都度判断できること。“こだわらないというこだわり”ができるのが、セルフリノベーションの良いところなんじゃないかなと思いますね。

    編集部ノート

    ご自身がリノベーションした家に住み、ご自身がデザインしたインテリアに囲まれながら暮らす。そこには、「これしかなかったから」という諦めのない、非常に“自由”な暮らしがありました。

    既にあるものに対して不満を口にするだけではなく、ないものは自分の手で作ってみる。山田さんの話を聞きながら、そんな“当たり前のこと”に気付かせてもらったような気がします。

    Photographed by Yutaro Yamaguchi
    RSSブログ情報:https://www.roomie.jp/2018/01/412528/
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