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西村仁美【とりあえず行ってみる】vol.8「「原発を問う民衆法廷」での『代読』発言から思うこと」
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西村仁美【とりあえず行ってみる】vol.8「「原発を問う民衆法廷」での『代読』発言から思うこと」

2012-03-24 08:42

    週刊 石のスープ
    定期号[2012年3月24日号/通巻No.31]

    今号の執筆担当:西村仁美
    ※この記事は、2012年3月に「まぐまぐ」で配信されたものを、「ニコニコ・チャンネル」用に再配信したものです。



      小雨の降る中、先月25日、「原発を問う民衆法廷」(同実行委主催、以下原発民衆法廷とする)が都内で行われた。場所は東京タワーの真向かいの機械振興会館(東京都港区)だ。原発民衆法廷はいわゆる「模擬裁判」だ。だが、一般的な模擬裁判と違うのは今回のケースでは、その申し立て人が東京電力・福島第一原発事故の実際の被害者たちばかりということだ。
     また今回でいえば、同原発事故の責任者として菅直人前首相や東電社長の清水正孝前社長、原子力安 全委員会の斑目春樹委員長などが被告人となり、彼らへの原発民衆法廷への呼び出しも書面を通じ行われている。判事団の下した判決を主催者側が実際の政府や国際社会に勧告的意見を提出するなど政府や世論への積極的働きかけも今後行われることになる。日本でもこのような民衆法廷が過去にいくつか行われ来たようだが、私自身は一度も経験したことがなかった。昼過ぎから夜まで約半日と長丁場の原発民衆法廷ではあるが、どんな内容かと楽しみにしていた。

     当日の原発民衆法廷は、実際の裁判と似た形で行われた。
      法廷は会場のステージ場に作られた。ステージの壁の真ん中にスクリーンが張られ、客席から向かって左側から順に検事団席、判事団席、アミカス・キュリエ席となっていた。アミカス・キュリエとはラテン語で「法廷の友達」という意味だ。裁判部によって指定された論点について意見陳述する者をいう。馴染みがなく、舌をかみそうな名だが、今回は原発事故の責任者、被告人として先ほど挙げた3.11の事故発生当時の東電や政府、関係機関幹部の代弁者を務める。
     それらの席の手前左手に証言台が置かれていた。
     そしていわば「傍聴人」である私たちの客席が「傍聴席」といった格好だ。
     同実行委員会顧問の挨拶があり、それから法廷規定の説明、検事団の一人による起訴状朗読が行われた。それからこの日の原発民衆法廷の肝と言える、福島出身で実際の東京電力・福島第一原発事故の被害当事者7名による意見陳述が行われた。


    「聞き取り辛い。代読を」

      申し立て人7名のうち車イスで参加した「JDF被災地障がい者センターふくしま」の設楽俊司さんの意見陳述の際(今週発売中の『週刊金曜日』3月2日号の 「金曜アンテナ」欄で関連記事を書いている)、ハプニングがあった。
     設楽さんは言語障がいがあり、自身のパソコンを会場機材につないで、訴えたい部分をスクリーンに文字を映しだし、話をしながら意見陳述の内容を説明する予定だった。その件を前もって私たち「傍聴者」に本人が説明した。ところがどうも接続の不具合か何かでスクリーンに思うように文字が映し出せず、なかなか話ができないでいた。会場スタッフと思われる人が、この後の進行を危惧し、途中で設楽さんに時間が押しているので急いでください、といった内容を伝えに来た。
     
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