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「育てることは育つこと」
コメ0 草の根広告社 8ヶ月前
小学校の片隅に小さな植木鉢がたくさん並んでいる。一年生の子供たちが球根を植えたチューリップだ。子供たちは毎日登下校の際に自分の鉢に水をやっている。「やっと芽が出たよ」「茎が伸びたよ」「どうしよう、赤白黄色を離して植えたのにどんどんくっついて来ちゃったよ」 植木鉢という小さな世界の中で生きている...
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「嗜好品とうまくつきあいたい」
コメ0 草の根広告社 8ヶ月前
先週、急性扁桃炎で発熱して二日間ほど寝込んだのをきっかけに酒とコーヒーを飲まなくなった。案の定よく眠れている。腸内環境も良くなって花粉症の症状まで緩和された。いつもどこかに不調を抱えていたのが嘘のように体調が良い。15年ほど前に煙草を吸わなくなったときも、これまでに何度も酒を飲まなくなった時も同...
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「風が吹き抜けるたびに、永遠が訪れる」
コメ0 草の根広告社 11ヶ月前
晩秋のやわらかな木漏れ日を浴びて7歳の娘がうれしそうにかけていく。その小さな影を不思議な気持ちでゆっくりと追い掛ける。トトロの森に向かうような小径を抜けたところに、あの人の畑がある。
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「何を探しているかはわからないけれど、ずっと何かを探し続けている」
コメ0 草の根広告社 12ヶ月前
藤沢駅で箱根そばを食べようとしたら閉店していた。湘南台駅で下車して地下コンコースにある箱根そばに入る。販売機の前に立つといつもは食べない「コロッケそば」に指が伸びていた。だし汁に程良く浸かった熱々のコロッケを久し振りに頬張った瞬間、カレー味の中身とともに晩秋の大和駅ホームで同じものを食べたとき...
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「ぼくが彼だったかもしれない」
コメ0 草の根広告社 13ヶ月前
自分が彼(彼女)だったかもしれないと感じる人と擦れ違う瞬間はないだろうか。ぼくはたびたびある。たとえば徒競走で横並びだったランナーのひとりが最終コーナーで転んだとき。たとえば通勤ラッシュ時に駅の階段を昇っていて目の前の人が派手に転んだとき。タイミングを間違えていればぼく自身が彼(あるいは彼女)だっ...
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「人生をスキャニングする」
コメ0 草の根広告社 14ヶ月前
遅ればせながらスキャナーを買った。きっかけはコストカットの為に始まった事務所のフリーアドレス化だった。個人の所有物としてロッカーに堆積していた膨大な紙資料や税務帳簿を片っ端から電子化していく。ダンボール箱のひとつ一つに仕事を始めた20歳の頃からの歴史が冷凍保存されていた。永久凍土の下で何万年も眠...
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「人生は長い暇潰しである」
コメ0 草の根広告社 16ヶ月前
娘が夏休みの計画表を作っていた。「やるべきこと」と「やりたいこと」を書き出してカレンダーの空欄を埋めていく。「先生がね、無駄に過ごす日を作らないようにして下さいって」「無駄に過ごす日ってどんな日?」「だらだら、ごろごろしているとか」 無駄に過ごす日があってもいいと思うけどな、とぼくは言った。「...
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「眠れない夜もある」
コメ0 草の根広告社 16ヶ月前
これでいいんだろうか、と娘の寝顔を見るたびに不安になる。天井の闇を見つめ、ぼく自身の行き当たりばったりな人生が娘にも行き当たりばったりな人生を強いているのではないかという茫漠たる不安に苛まれる。余計なことを考えずに早く眠ってしまいたいと思う。だが、そういうときに限って眠れない。これもまた夜しっ...
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「諦めること、諦めないこと」
コメ0 草の根広告社 21ヶ月前
他者に育てられた経験しかなかった頃のぼくは幾つになっても子供のままだった。ましてや一度も就職経験のない個人事業主。組織というしがらみの中で自分を押し殺したこともない。自分中心の人生。周囲には迷惑を被った人もいたと思う。それでも「人の気分は人の気分だ」とTheピーズの「何様ランド」を歌いながら自分中...
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「ありがとう、を言われて改めて気づいたこと」
コメ0 草の根広告社 23ヶ月前
「勤労を感謝されたの初めてじゃないかな」と妻が顔を綻ばせた。隣りで娘が笑っている。小さな手に「いつもありがとう」と書かれたキャンディー型のラッピング袋。中に紙粘土で作った自作の磁石が3個入っていた。 確かに言われてみれば、だ。30年以上社会人として働いて来たけれど、誰かに勤労を感謝されたことはない。...
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「責任ある消費者でいるために」
コメ0 草の根広告社 25ヶ月前
この夏の菜園は、最低の収量だった。 最大の理由は暑さだ。里山といえども草毟りができるような気温じゃなかった。来年以降もこういう日が続くならば夏場は除草用のロボットを遠隔操作するくらいじゃないと自然の猛威に太刀打ちすることはできないだろう。まあ、除草剤が使われているうちはそんなロボットが開発され...
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「ただいまとおかえりと」
コメ0 草の根広告社 28ヶ月前
ただいま、と言える誰かがいる。おかえり、と言ってくれる誰かがいる。ただそれだけのことがどれほど心の安寧を保ってくれているかをこの2年半しみじみと実感している。
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「正五角形を追いかけて」
コメ0 草の根広告社 28ヶ月前
如何にして手を抜くか。それが物事を持続させるコツだと言う話がある。理解はできるし、共感もできる。が、手を抜くかのって言うほど簡単じゃない。たとえば、畑だ。特に夏のこの時期は手を抜いたことが如実に表面化する。トマトは忙しさにかまけて剪定を先延ばしにするとあっという間にジャングルになる。キュウリは...
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「人は海辺での暮らしにどんな理想を描くのだろう」
コメ0 草の根広告社 29ヶ月前
人は海辺での暮らしにどんな理想を描くのだろう。朝、仕事の前にマリンスポーツを満喫したい。或いは夕暮れの浜辺をビール片手に散歩したい。どちらも暮らしという日常の中に海があるからこそ可能なことだ。が、暮らしは海辺でも仕事が都会にあるとそうは行かない。通勤に1時間半から2時間を要するからだ。仕事は日中...
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「2022年5月2日」
コメ0 草の根広告社 30ヶ月前
母を秋谷に連れてきた。久し振りだった。前に来てくれたのがいつだったか忘れてしまうくらい。大型連休の中日だった。平日朝の誰もいない渚。雨上がりの太陽を独占して光と戯れるたったひとりの孫を目を細めて見つめていた。 「五十年前に会社の仲間とこの海岸に来たのよ」 母はここに来るといつもその話をする。