-
■久瀬太一/8月2日/24時
コメ0
3D小説「bell」本編 128ヶ月前
ソルから知らされていた通りだ。 夜、オレはまた夢の中であのバスに乗った。 ――確かバスが走るのは、残りは8日、15日、24日。 意外に少ない。だがこれでずっと、予定が立てやすくなった。 オレはきぐるみの隣に座る。きぐるみは言った。「機嫌がよさそうじゃないか」「どうかな」 ま、悪くはない。 みさきのメ...
-
■佐倉みさき/8月2日/20時35分
コメ0
3D小説「bell」本編 128ヶ月前
放送が終わってからもしばらく、そのモニターをぼんやりと眺めていた。 ――あのメッセージは、本物だったのかな? 久瀬くんからのメッセージ。 わからない。けど、なんだか疑えなかった。 私は深呼吸をする。 がんばろう、と思う。 その時だった。 背後で、コツン、と音がした。 知っている音だ。背筋が震える...
-
■久瀬太一/8月2日/19時50分
コメ0
3D小説「bell」本編 128ヶ月前
次のメールをひらいて、それを読んで、泣きそうになる。 そこにはみさきからの伝言が書かれていた。 彼女は小さな子供の、つまらない嘘を相手にしている場合じゃないんだ。 ――こいつにはさ、奇跡の魔法がかかってるんだよ。 そんなわけないじゃん。 ――こいつを持ってると、絶対に悲しいことは起こらないんだ。そ...
-
■佐倉みさき/8月2日/19時45分
コメ0
3D小説「bell」本編 128ヶ月前
ふいに、息が詰まる。 ――☀コレは伝言です、 と、コメントが流れた。 ――「あのキーホルダーは、嘘じゃない」 それを読んで、2秒か、3秒、遅れて、「あ」と言葉が漏れた。 強がってみても不安だったし、ノイマンが悪い人ではなかったとしてもここから解放されたかった。 一方で私は、彼に無理をしないでと言いたか...
-
■久瀬太一/8月2日/19時35分
コメ0
3D小説「bell」本編 128ヶ月前
オレは電車に揺られながら、ぼんやりと思考していた。 ――八千代と、手を組むべきか? 彼を信用するべきではないだろうし、仲間だと思えるはずもない。 それでも八千代が持っているであろう情報は欲しかった。少なくともあいつは、すでに聖夜協会の内部に入り込んでいる。 八千代がもしオレを裏切るとして、それは...
-
■佐倉みさき/8月2日/19時05分
コメ0
3D小説「bell」本編 128ヶ月前
生放送がはじまったようだった。ふいに映像が切り替わる。カメラが低いアングルで、テーブルの上を映している。「それではメリー、始めましょう」 と男性の声がきこえた。 続いて女性の声。「ノイマンがまだのようですが?」 ノイマンがいない? 遅刻、だろうか? 彼女は時間に正確な印象があるけれど、思えばそ...
-
■聖夜のつどい
コメ0
3D小説「bell」本編 128ヶ月前
http://live.nicovideo.jp/watch/lv187414203■ドイル登場煙 @smoke_pop 2014-08-02 19:01:44画面内に写っているグラスが8本、手前の女性のものが写っていないとすると今回のメンバーは9人? とうしん @toshin000 2014-08-02 19:01:50もやしさんきたー 空つぶ@3D小説bell参加中 @sora39ra 2014-08-02 19:01:56もやし...
-
■佐倉みさき/8月2日/18時57分
コメ0
3D小説「bell」本編 128ヶ月前
ノートPCを色々いじってみたが、ノイマンの言うとおり、手がかりらしいものはなにもみつからなかった。何度か、警察に助けを求めようか迷った。でも結局止めておく。 誘拐犯を信用するなんて、正気じゃないとわかっていたけれど、ノイマンはやはり最初の誘拐犯やニールとは違うように感じていた。 そうこうしてい...
-
■久瀬太一/8月2日/18時45分
コメ0
3D小説「bell」本編 128ヶ月前
八千代が追ってくる様子はなかった。 オレは大きな池のある公園のベンチに腰を下ろす。殴られた頭はまたくらくらとしていて、これ以上走る気になれなかった。 時計をみると、もう18時45分だ。 ――結局、食事会には参加できなかったな。 あの招待状に書かれていた時刻を過ぎている。 まあ、いい。あちらはソルに任...
-
■佐倉みさき/8月2日/18時30分
コメ0
3D小説「bell」本編 128ヶ月前
以前から、この日ノイマンは聖夜協会の食事会に行くと言っていた。 でもまさか誘拐した人間を、ひとり部屋に置いて出かけるつもりとは思わなかった。「もちろん逃げ出そうと思えば、逃げ出せるわよ」 黒一色のカバンを肩にかけながら、ノイマンは言った。「でも貴女はこの部屋を出ない」「どうしてわかるんですか?...
-
■久瀬太一/8月2日/18時10分
コメ0
3D小説「bell」本編 128ヶ月前
前方に、深い赤のジャケットがみえた。 ――八千代だ。 間違いない。奴はスマートフォンで誰かと電話しながら、悠長に歩いている。 オレは速度を緩めずに走る。目の前に迫った肩に手を伸ばす。 つかんだ。はずなのに。 指先にはなんの感触もなかった。八千代は身を捻ってかわし、こちらをみていた。「足音。うるさ...
-
■久瀬太一/8月2日/18時
コメ0
3D小説「bell」本編 128ヶ月前
考えろ。考えろ。そう胸の中で繰り返す。 ――オレが素直に行動するなら。 まっすぐに、正解のコインロッカーの前に移動する。 もし八千代がその場所を捜しあてられたとしても、多少は時間がかかるはずだ。先回りできることになる。 ――なら、八千代はどうする? オレの後をつける、というのが、正しいように思った...
-
■久瀬太一/8月2日/17時45分
コメ0
3D小説「bell」本編 128ヶ月前
オレは眉間に皴を寄せる。「話って、なんの?」「ありきたりな世間話だよ。君、聖夜協会のクリスマスパーティに参加したことは?」 どうして、そんなことを聞きたがるんだろう? わからない。が、やっぱりオレは嘘が苦手だと、昨夜反省したところだ。オレは事実を答える。「あります。幼いころに、何度か」「その会...
-
■久瀬太一/8月2日/17時35分
コメ0
3D小説「bell」本編 128ヶ月前
八千代は約束の時間に、5分ほど遅れて現れた。 彼は20代の後半ほどにみえる、背の高い男だった。細いストライプの入った、落ち着いた赤のジャケットを着崩している。顎の髭を少し残していて、胡散臭い芸術家のようにみえた。「やあ」 と八千代は微笑んで、オレの向かいに座る。 店員に向かって、「アイスオレね。...
-
■久瀬太一/8月2日/17時20分
コメ0
3D小説「bell」本編 128ヶ月前
八千代が待ち合わせに指定したのは、ちょうど駅と駅の中間ほどの落ち着いた一画にある、品の良いカフェだった。店の前にはオープンテラスもあったけれど、夏の陽射しが強く、そこに座ろうという気にはなれなかった。 店内にはレコードの、レトロな音が流れていた。曲名はわからなかったが、心地のよい音楽だ。 オレ...